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2021.05.25

【実施報告】「アンガーマネジメント×1on1コミュニケーション」HRイベント

戸田久実氏/世古詞一氏

5月25日に、数多くのメディアでアンガーマネジメントを伝えている戸田久実氏と、対話で組織変革を行う1on1コミュニケーションの専門家・世古詞一氏の対談イベントを開催しました。現在の社会的背景からアンガーマネジメントや1on1が求められる理由、企業の傾向、課題と対策についてお伝えしました。
当日の様子を一部お伝えします。

1on1/アンガーマネジメントのニーズが高まっている背景や打ち手

(戸田氏)この1年間、コロナ禍の環境変化で心理的負担が多くなって、イライラしやすくなった、ストレスが増えたというご相談があります。仕事のやり方がいままでどおりいかなくなった、コミュニケーションの取り方が変わってきた。それゆえの行き違いが起こっているようです。また、リモートワークでネガティブなフィードバックがしずらくなったという方も多いです。対面では、耳の痛い話でも相手の反応を見ながら伝え、フォローできたけど、オンラインだと言いにくくなりました。特にパワハラ防止法によって、どう伝えたらハラスメントにならないか困っているという声も聞きます。さらに、価値観が多様化する中でどうコミュニケーションをとっていけばいい、どのようにチームビルディングをすればいいかなどの課題の相談も受けています。

(世古氏)価値観の相違によるとまどいは多いですね。昔は、会社の価値観や上司の価値観などで統一されてきましたが、今は個の尊重や多様性が重視されるようになりました。心理的安全性などが求められ、一人ひとりの話を聞く対話が必要になりましたが、どうやっていいかみんなわからないです。1on1は、自分と相手が持っている価値観や考えのすり合わせの場です。一方的に話したり、聞いたりする場ではありません。一方で、組織の中でのコミュニケーションは短期的な成果を生んでいくために、情報交換のコミュニケーションがほとんどです。価値観や違いを埋めていくには、意味を紡いでいく、背景を知るなど丁寧な対話のコミュニケーションが必要です。現状は、丁寧なコミュニケーションをする時間やスキルがまだ足りていないのではないでしょうか。それを1on1で補っていけたらいいなと思っています。

(戸田氏)私がよく伝えるのは、いろんな価値観があり、「べき」を持っていてもいい。それぞれの持っている価値観や「べき」には、その「べき」ができた背景があり、ストーリーがある。その背景に耳を傾けたり、引き出していったり。反対に自分が持っている価値観や「べき」をどうして大事にしているのかを相手に語る場が1on1の場ですね。

(世古氏)昔は、飲みニケーションの場でできていたことでしたが、いまはコロナの影響やそれ以外の理由でやらなくなってきた。組織のコミュニケーションをちゃんと設計しないと、昔できていたことができなくなっています。例えば、なぜこの会社で働いているのかなど、そもそもの意味を話す機会はなかなかないですよね。いまは、意味を求める時代になっています。特に若い人は、物欲が満たさせている中で育ってきているので、その傾向は強いです。「なぜこの仕事をやらなければいけないの?」ということをしっかりとすり合わせていく。一方通行だとなかなか理解してもらえないので、相手の持っている価値観と合致させていくことが大切です。いまこそ対話を丁寧に行っていくことが本当に求められていますが、目先のやらなくてはいけないことを優先して、対話が後回しになっています。

(戸田氏)みなさん、よく時間がないとおっしゃるんですよ。マネジャー層になるとかなり忙しいですよね。一人ひとりの1on1の時間をとるのが難しいかもしれませんが、それを理由に対話をせずにいたら、すれ違ったり、コミュニケーションがうまくいかなくなってしまいます。それで、生産性が低くなったり、上司と部下のすり合わせがうまくいかなくて、離職率が高まっている企業もあります。

(世古氏)異動してきた人もリモートで新しい環境で信頼関係を築けずに通じづらいこともありますね。「急がば回れ」です。最初は時間がかかるけれども、信頼が築ければ生産性も高まってくるので、積み重ねていってくれればと思います。

(戸田氏)若い世代は意味を求めると、さっき話がありましたが、昔だったらそこまで言わなくても意味は通じたんだよと聞きます。例えば叱るにしても、「なぜこれをしてはいけないのか」「なぜこれを改善してほしいのか」意味を腹落ちさせないと、なかなか人は動かなくなったなと多くの人がおっしゃいます。意味を擦り合わせていく時間は、より必要になってきます。

(世古氏)世の中は分かりやすくなってきていますよね。消費者に選ばれるために供給する側が高度化されてきて、直感で分かるものが選ばれています。「分かりやすい」教育で育ってきたので、「分かり辛い」環境に慣れていない。新入社員が「上司が自分に合わないから、私の成長のために上司をかえてほしい」と言ったという話も聞いたことがあります。上司は、時代によりコミュニケーションを変えていかなくてはいけません。役割は上司と部下ですが、上から下へのコミュニケーションではなくて、フラットに対話していくことが必要になっています。「マウントをとる」という言葉があるように、若い世代は上からのコミュニケーションに敏感なようです。

(戸田氏)アンガーマネジメントと合わせて、アサーティブコミュニケーションをお伝えしているのですが、アサーティブは「対等に」と言うことがキーワードです。自分の方が立場もキャリアも経験も上だと、上から「こうすればいいんだよ」というコミュニケーションを取りがちです。立場が下の人は「私なんかが」とへりくだる必要はありません。対等に向き合えるコミュニケーションを目指しましょう。1on1でも、フラットな向き合い方をしつつ、コミュニケーションをとるということですね。アンガーマネジメントとアサーティブは親和性が高くて、「怒っても叱ってもいいけど適切な怒り方をしよう」という考え方に、アサーティブコミュニケーションを使った伝え方のスキルが当てはまります。

さいごに-組織マネジメントに効果的に活かすために

(戸田氏)
個人の感情を抜きにしてはマネジメントはうまくいかないと思っています。マネジメントのスキル・やり方はありますが、人が関わっていることを意識してください。人には価値観や感情があります。よりよい質の高いコミュニケーションを求めたり、生産性を高めたりするには、一人ひとりの感情・価値観をどう扱い、向き合っていくかということは欠かせないと感じています。

(世古氏)
私は、1on1を組織のコミュニケーションインフラと呼んでいます。組織の階層のコミュニケーションを良くすると、経営が持っている情報が誤解なく現場に伝わり、浸透していくし、現場の持っている問題・課題が経営に伝わる。それによってソリューションがうまくいく。コミュニケーションの血流をよくしていくためにも、対話が必要です。対話の場が仕組みとして用意されている組織と、用意されていない組織では大きく差が出てきます。組織の競争力の源泉になるんじゃないでしょうか。

ご参加者の声

・休みや在宅でコミュニケーションが不足する中で世代間のギャップを埋めていくには、部下とフラットな関係を築く事や自分たちが時代のニーズに合わせて変化していく事が重要だと感じた。
・おふたりの専門分野について、現在の課題感や今後の方向性についてお伺いすることができて勉強になった。
・現環境とマッチした内容とコメンターで大変勉強になった。
・離職率が高く、中途採用が多い職場。転職前の職場とは違う価値観の中での仕事の進め方や、スタッフとの「当たり前」のすり合わせの必要性がよくわかった。
・価値観の違う方とのコミュニケーションをとるためには、信頼関係という下地が大事だということが理解できた。
・自分の経験にとらわれることなく、時代に応じたコミュニケーションの取り方があり、そのコミュニケーションの取り方に柔軟に順応していく必要があることが認識できた。
・今の組織が様々な感じ方・価値観の人で構成されていて、コミュニケーションに配慮が必要であること、アサーティブマネジメントが必要なことを再確認できた。
・中途入社の方へのマネジメント(既存社員の常識は中途入社者の常識ではない)の重要性も再確認できた。
・アンガーマネジメントと1on1を組み合わせて、職場内での早期立ち上げや新人育成での異文化社員対応を検討できるように感じた。
・アンガーマネジメントと1on1のいずれも関心があり、かつ社内でも取り組んでいる内容であるが、2つが一緒になって課題に向き合ったときに、また新たな相乗効果も期待できる印象を持った。

講師プロフィール

戸田久実/世古詞一 (とだくみ/せこのりかず)

戸田久実
アドット・コミュニケーション株式会社代表
一般社団法人日本アンガーマネジメント協会理事

立教大学文学部卒業後、大手企業勤務を経て研修講師に。銀行・製薬会社・総合商社・通信会社など、大手民間企業や官公庁などで「伝わるコミュニケーション」をテーマに研修や講演を実施。対象は新入社員から管理職、リーダーや女性リーダー、役員まで幅広い。
講師歴27年。「アンガーマネジメント」や「アサーティブコミュニケーション」「アドラー心理学」をベースにした「言葉がけ」に特化するコミュニケーション指導には定評があり、これまでののべ指導人数は22万人に及ぶ。近年では、大手新聞社主催のフォーラムへの登壇やテレビ出演など、さらに活躍の場を広げている。
著書は『アンガーマネジメント 怒らない伝え方』『アドラー流 たった1分で伝わる言い方』(以上かんき出版)、『働く女の品格』(毎日新聞出版社)など多数あり、本書が10冊目の著作となる。

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世古詞一

1973年生まれ。千葉県出身。
組織人事コンサルタント。月1回30分の1on1ミーティングで組織変革を行う1on1マネジメントのプロフェッショナル。
早稲田大学政治経済学部卒。株式会社サーバントコーチ代表取締役。株式会社VOYAGE GROUPフェロー。
Great Place to Work®Institute Japan による「働きがいのある会社」2015、2016、2017中規模部門第一位の株式会社VOYAGE GROUPの創業期より参画。
営業本部長、人事本部長、子会社役員を務め2008年独立。コーチング、エニアグラム、NLP、MBTI、EQ、ポジティブ心理学、マインドフルネス、催眠療法など、10以上の心理メソッドのマスタリー。
個人の意識変革から、組織全体の改革までのサポートを行う。
クライアントは、一部上場企業から五輪・プロ野球選手など一流アスリートまでと幅広く、コーチ・コンサルタントとして様々な人の人生とキャリアの充実、目標実現をサポートしている。

著書に、『シリコンバレー式 最強の育て方-人材マネジメントの新しい常識1on1ミーティング―』(かんき出版)、『対話型マネジャー 部下のポテンシャルを引き出す最強育成術』(日本能率協会マネジメントセンター)がある。

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