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育成のプロに聞く!人材育成とは

2018.02.01

「行動科学」は理論よりも実践!
導入すれば必ず数字に結びつく

社団法人行動科学マネジメント研究所 所長
株式会社ウィルPMインターナショナル代表取締役社長兼最高責任者
石田淳氏

「やる気」や「気合い」などではなく、人の「行動」に焦点を当てる “行動科学”に基づいたマネジメント・メソッドを日本に導入したのが石田淳さんです。弊社から出版された著書はベストセラーシリーズになっており、その誰もができる再現性のあるマネジメント法を教える研修やコンサルティングも大評判となっています。そんな石田さんにお話をお伺いしました。

文/山岸美夕紀 撮影/榊智朗

――石田さんは、どのような経緯で「行動科学マネジメント」に出会われたのですか?

私は、サラリーマンを経て起業したのですが、その自社でのマネジメントに行き詰まってしまったのがきっかけでした。やっぱり、若手の育成がなかなかできない。採用も難しく、採用できてもすぐ辞めてしまう。現代の企業の多くが抱えている課題と同じですよね。

当時はそれこそ、松下幸之助やドラッカーなど、実にさまざまなマネジメント理論を取り入れて模索しましたが、どれも決め手に欠けたんですね。僕が本当に知りたかったのは、たとえば半年から1年など決まった期間でマネージャーを育てる、というような具体的な方法だったんです。

そんなとき、「アメリカに“パフォーマンスマネジメント”がある」と聞き、これが最後のチャンスと思って渡米しました。

――素晴らしい行動力でいらっしゃいます。そのメソッドをアメリカで学ばれて、「行動科学マネジメント」として日本に持ち帰られたのですね。

はい。「やる気」や「気合い」といった内面的なことではなく、人間の「行動」のみに焦点を当てて考えるというメソッドを知り、本当に目から鱗が落ちました。しかもこれは、単なる理論ではなくて完全に実践的なものなんです。

当時の日本のビジネス界はモチベーション全盛期であり、できない社員は、「やる気がない」「気合いが足りない」といった言葉で片付けられがちでした。でも、良く考えると、そもそも誰も「教え方」なんて教わっていないですよね。特に社会に出ると「背中を見て学べ」「自分の頭で考えろ」「会社は学校じゃない」なんて言われて。「教え方」を知らないから教えられない、だからマネジメントや育成ができないのだと気づきました。

――「行動科学マネジメント」では、誰もが教えやすく、教わりやすく、そして継続できるようになるんですね。

ビジネスの成果や結果は、すべて社員一人ひとりの「行動の集積」によって成り立っています。つまり、結果や成果を変えたければ、「行動」を変える以外に方法はありません。そのときに必要なのは「やる気」や「気合い」といった漠然としたものではなく、こちらが「望ましい行動」を具体的に分析して提示し、実践させ、そしてそれを継続させることです。

それらを体系立ててしまえば、たとえ文化や人種が違っても、誰がどこでやっても短期間で同じ効果が得られる。つまり、再現性のあるマネジメントが可能なのです。

実際に、このマネジメントを取り入れた我が社は、その後、離職率もぐんと下がり、急激に事業規模を拡大していきました。

――日本に持ち帰られて石田さんが確立した「行動科学マネジメント」は、基本は押さえつつ、日本のやり方に沿ったものに少しアレンジされたとお聞きしています。

ほんの少しです。やっぱり、「チームワーク」という考え方が、アメリカと日本でまったく違うので、その部分を日本に合う形に整えただけで、9割以上は変えていません。

端的に言うと、海外でいうチームワークとは専門家の集まりですが、日本では多くの場合そうではありませんよね。誰がリーダーかというのを明確に決めず、全員の合意で、ということが多いのも日本の特徴です。ただ、日本の組織も少しずつ変わってきているとは思いますが。

――その後、この「行動科学マネジメント」は多くの企業に求められ、現在では石田さんは行動科学コンサルティング会社も設立されて、研修やコンサルティングを行っていらっしゃいます。もともと経営者の目線で実際に自社に取り入れられて成果を出しているメソッドなので、説得力があるのですね。

正直言って、経営者に必要なものは、理論ではなくて実践です。いくらきれいごとを学んでも、ビジネスの世界では実際に売り上げが上がらなければ意味がないですから。

「行動科学マネジメント」というのは、いかに現場で使い、いかに具体的に数字を出すのかという点に集約しているところが強み。実際に導入すれば確実に効果があります。ですから、この13年で、数千社におよぶ企業から求められてきたのだと思います。

――このメソッドを導入されるのは、どのような企業が多いのでしょうか?

業種は問わないですね。サービス業、自動車メーカー、製薬、保険、重工系、大手飲食チェーンなど、人材に関して悩んでいるあらゆる組織からのニーズがあります。

企業の大小も問いません。多くの場合、コンサルティング会社は、大手企業か中小企業かどちらかに強いことが多いですが、弊社はまんべんなく該当するのが面白いところです。

年齢層も、上から下まで幅広いですね。マネジメントや育成は、管理職だけでなく、現場のリーダーや若手社員まで関わることですから。

たとえば、まずは管理職が受講して、このメソッドを共通言語化するために、どんどん階層を下げて全社員に受けさせるというパターンや、営業部などの部署単位で行い、効果があったら全部署に横展開するという形も多いですね。

――クライアントの抱える課題や悩みでもっとも多いものはどういったことですか?

やはり、若手の離職率が下がらないという悩みや、中堅社員が下の社員に教えることができないといった悩みでしょうか。「教え方」や、そのための習慣化について教えてほしいというニーズが多いですね。また、30代くらいの次世代リーダーの育成には、どの企業も課題を抱えているようです。

さらに、年上部下や再雇用の人や、国籍の違うスタッフたちのマネジメントといったニーズもあります。

こういったマネジメントや人材育成のみならず、リスクマネジメントやコンプライアンス、CS向上にも有効なメソッドなので、あらゆる悩みに対応することができるんです。

研修を行って効果を実感した企業にコンサルティングを依頼され、社内の評価制度の構築などに関わっていくこともあります。

――弊社で出版された著書「教える技術」はベストセラーシリーズとなりました。現在では、中国、台湾、韓国などでも翻訳されて人気を博しています。先日の台湾講演では、スタンディングオベーションも起こりましたね。

海外、特に東南アジア圏でのニーズも非常にあるのだなと再認識しました。また、先月は上海でも研修を行いましたが、上海の企業も、「教え方がわからない」「若手が辞めてしまう」というように、日本と変わらない悩みを抱えていることを感じましたね。

とある上海ゼネコン大手の中国人事部長は、こう話していました。「昔は仕事が終わったらみんなで酒を飲みながら麻雀をやるのが楽しみだった。でも、今そんなことを若手社員にやったら、次の日会社に来ませんよ」。

――悩みは共通なのですね。研修に対する反響はたくさんあると思いますが、多く聞かれる声や印象的な感想はありますか?

実に多くの反響をいただいていますが、よく言っていただくのが、「石田さんはじめ講師陣は、どんなことを質問しても、具体的な返事が返ってくる。ビジネスのことを分かっているんだなと感じる」ということです。

先日は、外資系企業で部長研修を行ったのですが、受講者に5点満点の評点をつけてもらったところ、歴代最高の4.8点と断トツの評価だったそうです。この企業は、毎年研修を行うことになりました。

――それは素晴らしいです。最後に、今後の展望などをお聞かせください。

そうですね。海外でのニーズも多くあるので、これからさらに海外展開も進めていこうと考えています。

もちろん、日本国内でもますます広げていかなければいけません。労働人口の減少やインターネット事業の浸透などで競争が激化していくにつれ、ますます人材に関しての悩みが増えていくでしょう。各企業は新規事業や海外進出など社会構造に合ったビジネスの転換をしなければならず、そこを任せる新リーダーも作っていかなければいけない。

ですから、皆さんに言いたいのは、2020年までに教育体系やマネジメントの仕組みをぜひ作っておくべきだということです。2019年は消費税の増税、2020年には東京オリンピック。それ以降はもう先が読めません。

ぜひ、今のうちに人に対して投資をしてください。教育を行ってつぶれた会社はありませんが、教育をせずにつぶれる会社はたくさんあるわけですから。

――本当にそのとおりだと思います。本日はありがとうございました。

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