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世界を舞台に働くために~白木夏子×『WONDER』 イベントレポート~<前編>

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全世界で300万部を突破し、NYタイムズベストセラーの第1位を獲得した児童書『WONDER』がほるぷ出版から発売されたことを記念し、8月28日、代官山 蔦屋書店にてトークイベントが開催されました。

ゲストは、弊社出版の『女(じぶん)を磨く 言葉の宝石』などの著者もある白木夏子さん。エシカルジュエリーブランド「HASUNA」を27歳の若さで起業し、女性リーダーとして世界から注目されています。ご自身の様々な体験をもとに、世界各国の差別や不平等の現状や“エシカル”の考え方などをお話しされました。

【プロフィール】

白木夏子(シラキ・ナツコ)

HASUNA Co.,Ltd.代表。1981年生まれ、愛知県育ち。英ロンドン大学卒業後、国際機関、金融業界を経て2009年4月にHASUNA Co.,Ltd.を設立。2011年、「日経ウーマン・オブ・ザ・イヤー2011キャリアクリエイト部門」受賞。同年、世界経済フォーラム「Global Shapers」に選出。同年、AERA「日本を立て直す100人」に選出。2012年、APEC(ロシア)日本代表団として「Women and Economy会議」に参加。2013年、世界経済フォーラム(ダボス会議)に参加。2014年、「Women of the Future Summit」に参加。同年、内閣府「選択する未来」委員会 委員に選出。同年、Forbes誌「未来を創る日本の女性10人」に選出。

主な著書に『世界と、いっしょに輝く』(ナナロク社)、『自分のために生きる勇気』(ダイヤモンド社)、『女(じぶん)を磨く 言葉の宝石』(かんき出版)。

奥村知花(オクムラ・チカ)

1996年、成城大学文学部卒。総合アパレル商社、レストラン業界を経て、2003年より書籍専門のフリーランス広報として独立。以後、新刊書籍のパブリシティ活動のほか、「本しゃべりすと」という独自の肩書のもと、雑誌の特集記事や書評エッセイの連載執筆、ラジオ番組などでの書籍紹介を担当する。

渡部彩(ワタナベ・アヤ)

1986年生まれ。代官山 蔦屋書店ワークスタイルコンシェルジュ。ナショナルチェーン書店で書店員として勤務した後、IT系の出版社へ転職。書店営業として全国を行脚。2014年から代官山 蔦屋書店のコンシェルジュへ。多方面から本に携わった経験を生かし、同店のワークスタイルフロアの企画・運営を行っている。

 

 

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右から白木夏子さん、奥村知花さん、渡部彩さん。

 

●『WONDER』と私

奥村さん:昨年末に『女(じぶん)を磨く言葉の宝石』(かんき出版)を出版された白木さん。1月から12月までの誕生石になぞらえて思いを綴られたとても素敵なエッセイで、私も読んで友人にプレゼントしたりしています。本書にも書かれている、ビジネスと社会貢献を両立されている白木さんの思いと、“どのように親切を選ぶか”がひとつの大きなテーマである『WONDER』がリンクするのではないかと思い、今回のオファーに至りました。最初にこの本をお読みになった時にどう感じました?

 

白木さん:私自身も小さな頃から絵本が大好きで今もたくさん読んでいるので、このオファーは嬉しかったです。『WONDER』はゲラの段階でいただいて、先月ヨーロッパ出張の飛行機の中で読ませて頂いたのですが、読んでいるうちにものすごく引き込まれて涙が出ました。

 

奥村さん:主人公はオーガストという10歳の男の子。とても利発な少年ですが、生まれつき大きな障がいを抱え、見る人が驚くほど顔の造形が崩れてしまっています。そんな彼が10歳で初めて学校に入学した1年を、主人公と周囲の様々な人の視点で描いた物語です。

 

白木さん:私は、特に第二章のオーガスト君の姉・ヴィア視点のお話で大泣きしてしまいました。弟を守るとても素敵なお姉ちゃんですが、両親の関心が障がいを持つ弟にばかり向いて自分に向かない、という悲しみを背負っている。私は一人っ子なのですが、愛情が欲しい相手から愛情をもらえない苦しみを感じ、とても切なくなりました。

 

奥村さん:白木さんはヴィアにもっともシンパシーを感じたのですね。様々な人物の視点から書かれているので、誰でもどこかに感情移入できる部分がありますね。

 

白木さん:そうですね。その後にサマーという女の子の視点に変わりますが、実は、私の名前が“夏子”なので、イギリスに住んでいたときのニックネームがまさに“サマー”。彼女にも親しみを感じながら読みました。彼女は、オーガスト君の外見に関わらず、彼自体が好きで仲良くする。利害など関係なく彼が面白いから一緒にいる。彼女からはマリア様のような優しさの心を感じました。

 

●私が経験した“差別”

奥村さん:オーガストは、端的な言葉で言うと、容姿で“差別”を受けています。白木さんは、様々な経験の中で、差別や不平等に接することはありましたか?

 

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白木さん:まず、私自身の話ですが、通っていた地元の小・中学校は、いじめがひどい学校でした。今では信じられないかもしれませんが、当時私はすごく内向的だったのでよくターゲットにされました。集団生活は苦手で、家の中で一人で過ごすのが大好きで。部屋に籠って、宇宙や古代生物や鉱物の図鑑を読んだり、洋服やアクセサリーを作ることが至上の喜びでした。

あの頃に『WONDER』を読んでいたらな、と思います。いじめている側や、いじめを見て見ぬふりをしていた子たちの気持ちなど色々な視点を知ることができていれば、と。イジメている側はそう思っていないこともありますよね。たとえば兄弟に囲まれ口げんかで育った人は物事をはっきり言うこともありますが、一人っ子の私にとってはキツく感じ、被害者意識を持つこともあったのかもしれません。

また、留学前に日本で短大に通っていた際、母校に教育実習に行ったのですが、生徒たちの中で一番多かった悩みはやはりいじめでした。リサーチしたところ、クラスの9割の子「いじめを経験した」そうなのです。最終日に私の時間をもらい、自分自身がいじめられた体験や、感じていたことを話しました。

 

奥村さん:いじめや差別は思っているよりも多いのですね。その事実と自分がどうやって向き合うか、とても考えさせられます。

 

白木さん:留学先のイギリスではやはり白人社会なので、アジア人の私もパーティーに誘われなかったり、イギリス人でも地方から出てきた子たちが差別されることもありました。階級の高い人たちが話す“クイーンズイングリッシュ”の生徒を、露骨に優遇する先生も。そこで、人種がどうかというよりも、人として認められるということはどういうことか、ということをとても考えましたね。

日本に戻って社会人になっても、先輩社員からの洗礼を受けたりしました。でも、そういったことを乗り越えながら成長してきたと感じます。そこで大事なのは、潰れずにどう乗り越えて糧にするか。

そして、いじめを“なくそうとする努力”と共に、周囲の全員が“サポートする努力”が必要だと思います。たとえばオーガスト君にとってはお母さん、姉のヴィアちゃんにとってはおばあちゃんやお父さんのように、どこかに自分を癒し、救済してくれる人や場所を見つけることってすごく重要だと思っています。

 

<前編はここまで。後編ではさらに深いお話が続きます。お楽しみに!>

 

【書籍紹介】

女(じぶん)を磨く言葉の宝石』(かんき出版) 白木夏子/著

世界と日本を行き来しながら仕事をする白木夏子氏が、そのなかで経験した大切な出来事を、月ごとの誕生石になぞらえた12の物語として紡いでいます。

 

WONDER ワンダー』(ほるぷ出版) R・J・パラシオ/著、中井はるの/訳

世界で300万部を売り上げ米国NYタイムズベストセラー第1位に選ばれた児童書が日本上陸。顔に先天性の障がいを負った少年を中心に描かれる、心が震える物語。