マネージャー向けの本です。企業のマネージャー層、中間管理職に向けて書きました。8割の部下は仕事ができないと言われていますが、そういった部下をどうやってリーダーやマネージャーへ短期間で育成していくのか。どうやってチームを作っていけばいいのか。いわゆるボリュームゾーンにいる層ですし、プレイングマネージャーも増えたので、悩んでいる方も多いと思います。
著者インタビュー

前著『教える技術』が10万部を超えるベストセラーとなった日本の行動科学(分析)マネージメントの第一人者・石田淳先生。待望の続編のテーマはチームマネージメントについて。第2弾執筆の裏側について、お話を伺いました。
本書を一言で表すと、どんな本でしょうか?
前著『教える技術』と新刊『<チーム編>教える技術』の違いは?
前著はマンツーマンに近い内容でしたが、『<チーム編>教える技術』はチームを如何に動かすかということですね。部下を何人か持つ人が、どうやって自発的に動くチーム、自発的に動く部下を作っていくのか、ということが最大のテーマです。進んで営業に行く、進んで企画立案をする、どうしたら進んで仕事を行うのか。
本書の読みどころを教えてください。

読んですぐ、明日からすぐにできるところですね。綺麗事を書くこともできますが、行動科学を使って具体的に明日からなにをしたらいいのかがわかる、ということ。やれば成果が出てくるので、自己高揚感も上がってきます。そうすることで、より複雑なマネージメントもできるようになってきます。自分に合った内容でステップアップしてもらえればいいかなと思います。前作『教える技術』と同じで、どこから読んでもいいようになっていますので、ご自分の悩みに合ったページから読まれるのもいいと思います。
どんな方に読んでほしいですか?
プレイングマネージャーですね。メインターゲットは課長や係長です。企業が人の数を減らしているのもあり、マネージャー業だけをやる、というケースは稀です。やはりご自分もプレイヤーとして仕事をしながら、マネージメントする方が増えました。
執筆中にあった印象深いエピソードがあれば教えてください。

本書に書きましたが、コミニュケーションの回数のチェックの話ですね。やり方は簡単で、関係性がうまくいっていない特定の相手との1カ月のコミニュケーションの回数を正の字で書いてもらうだけです。会話の内容などは必要ありません。コミニュケーションの回数が少ないからといって、嫌いなわけではありませんが回数が少ない人は、より多く関わったほうが成果は上がります。実は、人によって非常に偏りがあるんです。単純なことなんですが、まずはそこから初めてもらいます。
あるマネージャー職の男性のエピソードで、扱いづらい女性の部下がいたそうです。彼女が生意気なことを言うので、関わらないようにしていたそうなんです。でも、僕に言われてコミニュケーションの宿題が出たので、正の字を書いて彼女と向き合ったところ、とてもいい子だとわかったそうです。「なんでいままできちんとコミニュケーションをとらなかったんだろう」、と反省されていました。ただ正の字を書くだけですが、思っている以上にいろんな気づきが得られます。
もう一つは、なかなか派遣やパートの人に話しかけられないマネージャーがいました。その方にもコミニュケーションをとる宿題を出したんです。それでパートの方に話しかけたところ「半年ぶりに話しかけてもらいました」と言われたそうです。彼は覚えていなくても、話しかけられた方は覚えてたんです。彼も「なぜ自分からもっと話しかけなかったんだろう」と思ったそうです。話しかけるだけで、職場の雰囲気は変わりますからね。
『<チーム編>教える技術』のテーマはコミニュケーションでもあるんですね。
そうです。やはり、リーダーとして信頼されるというのはとても重要なことです。信頼への第一歩は自分から部下に対して、積極的に関わっていくことです。
前著の感想で、読者から「行動科学と聞くと、冷たいマネージメントのようなイメージがする」という意見がありました。基本的には部下との信頼関係で成り立っている、ということなんでしょうか。
もちろんです。それがベースにないと、テクニック的なことをやったって効果はありません。本書の中でもそこを一番重視していています。
コミュニケーションをベースに、ホウレンソウだったり、ショートミーティングのやり方、上司の聞く技術だったり、会議のやり方、その場ですぐに使えるような内容が入ってますね。
そうですね。「はじめの一歩」として使ってもらえると、いいのではないでしょうか。コミニュケーションをとっていくと必ず気づきがあります。そこからまたどうして行けばいいのか、本書を読んでもらえればと思います。
合わせて読むといい本があれば教えてください。
手前味噌ですが前著『教える技術』ですね。こちらもどこから読んでもいいですし。『<チーム編>教える技術』の中では、前著のこのページを読むと理解が深まります、と見出しがありますので、前著を読まれた方でももう一度楽しめる構成になっています。読者の方にはぜひ具体的な行動をしてほしいと思います。複雑に考えても最初の一歩は出にくいものです。まずは、一週間だけ自分から部下の名前を読んで挨拶をするとか、そんな簡単なことでいいんです。小さくても具体的な一歩をぜひ踏み出してください。