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ガイ・ウィンチ先生

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著者インタビュー『NYの人気セラピストが教える 自分で心を手当てする方法』著者 ガイ・ウィンチ先生に聞きました!

更新:2017.3.1

「世界一受けたい授業」(日本テレビ)に出演し、話題沸騰中のニューヨークの心理学者であり人気セラピストであるガイ・ウィンチ氏。彼の「2015 年で最も人気のトーク」にランクインしたTEDトークのベースにもなった本書は、身体の傷と同じように心の傷を扱い、「孤独」「トラウマ」「罪悪感」「自己肯定感の低下」などの心の症状ごとに、自分でできる手当ての方法を解説しています。この一冊がどのようにして生まれたのか、来日されたガイ氏にお話を聞きました。

最初に、本書を執筆しようと思われたきっかけをお教えください。

初来日を果たしたガイ氏。TEDで話題になった「感情にも応急手当が必要な理由」の動画再生回数は440万回を突破(2017年3月現在)。

私がもっとも関心のあるテーマは、“人の心の健康”です。「体の健康」に比べ、「心の健康」はないがしろにされがちですよね。ひざを擦りむいたら絆創膏を貼るということは小さな子どもでも知っているのに、心が傷ついたときの正しい対処法はほとんどの人が知らない。
私は以前からこのことに関心を持ち、心の問題に関する研究をリサーチしていました。ひと昔前なら図書館で、現在はインターネットなどで最新の研究論文などを見ることができます。
そういった研究の中には、一般に広く応用できる知見があるということに気づいたのですが、それらの情報は一般のメディアにはほとんど出ておらず、「心を健康に保つ」ためのツールという発想で紹介している人は誰もいませんでした。
それならばと、それらの知見を私自身が実践できるようにトレーニングしたうえで、私のニューヨークの診療所を訪れる患者さんにも実施してみることにしたのです。
その中で、多くの方に効果があったもの、良かったと思えたものをまとめたのが本書です。診療所にいらっしゃる方だけでなく、世の中の多くの人々の助けになればいいなと思い、本の制作を決めました。

本書をつくるにあたって苦労したのはどんな点ですか?

2つあります。1つめは、論文というものが、読み手に取って非常に複雑に書かれていることが多い点です。その論文やデータが何を言わんとしているのか、読み取るのに苦労しました。
2つめは、たとえば心の傷を負ったときには拒絶反応が起こることもありますが、そういった感情・反応は誰もが共通して持つものなのだ、ということを読者に伝えるのに苦心しました。
対応は人それぞれですが、誰もがそういった気持ちを“感じる”という点においては一致しています。まずは、それは誰もが持つ自然な感情なのだと肯定することを心がけて書きました。こんな気持ちになるのは自分だけではないのだと知ることが、不安の軽減にもつながるからです。

本書は世界20か国で翻訳されていますが、各国からの反響はありますか?

メールやTwitterなど、毎日のように世界中からメッセージが届きます。「ありがとう」と感謝の言葉をもらったり、時にはアドバイスを求められることもあります。その中で、みなさんが語ってくださるご自身のストーリーは、世界中、実に共通しています。
私は人種のるつぼと呼ばれるニューヨークで日々、診療をし、さまざまな国籍や人種の患者さんを診療してきました。その中で、心理学的な知見をツールとして応用し、それらがどんな人にも等しく効果があるということを実感してはいましたが、本書を出版してから、その確信をさらに深めることができました。

本書には日々直面する7つの心の傷を取り上げて、その症状と手当ての方法を紹介しています。

本書の中の「自己肯定感」をテーマに書かかれた章は、特に反響があります。この自己肯定感というものについて教えてください。

「自己肯定感(セルフ・エスティーム)」とは心理学の言葉で、自分を肯定し、価値あるものとして受け入れることを言います。心の健康のためには、安定した自己肯定感が欠かせません。自己肯定感が低く、自分なんかダメだと思ってしまうと、心の免疫力が大きく下がってしまいます。
まず前提として、自己肯定感は常に高く持とうと考えるべきものです。ただ、高ければ高いほどいいというわけではなく、極端に低くならないよう、一定の高さに保つということです。
というのは、人は自分に対して厳しく見てしまうものなんですね。自己肯定感は自然と下がってしまいやすいものですから、常に高く持とうという意識を持つことが必要なんです。
誰もが日々、間違いや失敗をして、ときには落ち込んでしまうこともあります。そうして一時的に自己肯定感が下がることはありますが、これは普通のことで、大抵は時間が経てば元に戻るものです。
ですが、必要以上に強く、繰り返し繰り返し自分自身を責めてしまう“自己批判”の強いタイプの人がいます。そうすると、自己肯定感はどんどん低下し常に低い状態になってしまうのです。

自己批判の強い人は、どうしてそのようになると考えられますか?

そうですね、人によって実にさまざまな要因がありますが、周囲からの“ネガティブフィードバック”が非常に多い環境にいるという場合が多くあります。それは、家族や配偶者、友人、ボスだったりしますが、サポートをしてくれる支援型の人々がいる一方、非常に批判的な人々もいるわけです。そういう人たちの中で常に批判されたり叱責され続けていると、自分自身も「私はダメなヤツなんだ」と思い込んでしまいます。
ちょうど先日も、「私の友人はみんな、私に対して非常に批判的だということに気づいた」という患者さんがいました。私が「では、なぜそんなことを許すのですか? やめてと言わないのですか?」と聞いたら、「私自身も『彼らの言うとおり、自分はだめなヤツだ』と思っているから」というのです。
それではあなたのマインドを変えましょう、そして友人も変えましょうというアドバイスをし、その方法を共に考えました。
本書でも触れましたが、相手に何も要求できない人は、一方的に不利な立場に置かれがちです。人は必要以上の努力をしないものですから、雑に扱っても許されるなら、つい行動が雑になります。お金を返さなくても怒られないなら、つい返すのを忘れます。一方的に尽くしてくれる相手とつきあっていると、尽くされて当然のような気になってきます。つまり、相手に尊重してもらうためには、尊重してほしいと伝える必要があるのです。

なるほど、自身のマインドセットはもちろん、悪い環境にいたら環境ごと変えることが必要なのですね。

はい。自己肯定感を高めるべく努力しても、周りから常に攻撃をされているような状態ではそれは成し得ませんから。まずは、自分の周りの環境をよくみて、必要であればそれを変えることは非常に大切だと思います。
たとえば、足を骨折したときに、常にその足を踏みつけてくる人がいたら、当然そこから逃げますよね。それと同じことです。
本書では、さまざまな心の傷をまず自分で認識する方法と、その傷に対する手当の方法を、症状ごとに分類して解説しています。日々、自分で手当てをしていれば、専門家の手を借りるような大きな傷に発展することは少なくなるでしょう。
気持ちが傷ついた人、自己肯定感を持てない人はもちろん、感情を持っているすべての人にぜひ読んでほしいですね。きっと、一度も傷ついたことがない人はいないはずですから。

本書があらゆる人の「心の救急箱」になることを願っています。本日はありがとうございました。

撮影/榊智朗 協力/タトル・モリ エイジェンシー

著者プロフィール

ガイ・ウィンチ (がい・うぃんち)

心理学者。ニューヨーク大学で臨床心理学の博士号を取得後、セラピストとしてニューヨーク大学メディカルセンターに勤務。その後マンハッタンで開業し、20年以上にわたって心理療法を実践している。講演家としても定評があり、TED トーク「感情にも応急手当が必要な理由」は 370 万回以上(2016年8月時点)視聴され「2015 年で最も人気のトーク」にランクインした。「ハフィントン・ポスト」や心理学誌「サイコロジー・トゥデイ」にブログを寄稿している。他の著書に『The Squeaky Wheel』(未邦訳)がある。

著作一覧

NYの人気セラピストが教える 自分で心を手当てする方法

定価 1,620円(税込)
判型 46判
体裁 並製
頁数 320頁
ISBN 978-4-7612-7206-7
発行日 2016年9月12日

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