
私がもっとも関心のあるテーマは、“人の心の健康”です。「体の健康」に比べ、「心の健康」はないがしろにされがちですよね。ひざを擦りむいたら絆創膏を貼るということは小さな子どもでも知っているのに、心が傷ついたときの正しい対処法はほとんどの人が知らない。
私は以前からこのことに関心を持ち、心の問題に関する研究をリサーチしていました。ひと昔前なら図書館で、現在はインターネットなどで最新の研究論文などを見ることができます。
そういった研究の中には、一般に広く応用できる知見があるということに気づいたのですが、それらの情報は一般のメディアにはほとんど出ておらず、「心を健康に保つ」ためのツールという発想で紹介している人は誰もいませんでした。
それならばと、それらの知見を私自身が実践できるようにトレーニングしたうえで、私のニューヨークの診療所を訪れる患者さんにも実施してみることにしたのです。
その中で、多くの方に効果があったもの、良かったと思えたものをまとめたのが本書です。診療所にいらっしゃる方だけでなく、世の中の多くの人々の助けになればいいなと思い、本の制作を決めました。