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あなたの街の本屋さん vol.17 TSUTAYA赤坂店 天野大さん

都内有数の繁華街でありながらビジネス街でもある赤坂。TSUTAYA赤坂店はそんな中でも赤坂駅直結のオフィスビル内という特殊な立地にあります。テレビや広告業界のお客様が多いという同店の品揃えなどについて、天野大さんにお話しいただきました。

離れることで再認識した、オールマイティーに本に関わることの魅力

TSUTAYA赤坂店はオープンして何年目になりますか?

天野さん

この赤坂Bizタワーができた2008年にオープンしたので、7年目です。私自身は9年ほど前にアルバイトとして新橋店に入り、2年前に社員になった際にこの赤坂店に配属されました。

ずっとビジネス書を担当されているんですか?

天野さん

いえ、新橋店に入った当初は文庫担当でした。その後、文庫と共に文芸も担当するようになったのですが、実は2年半ほど働いた後、一度アルバイトを辞めているんです。そして、他の某大型書店で1年半くらいビジネス書担当として働いたその後、再びTSUTAYAに戻ってきました。

えっ!? そんな経緯があるんですね。なぜほかの書店に移られて、再び戻られたのですか?

天野さん

もともと大型書店で働いてみたい、という気持ちがあったんです。書店単独のナショナルチェーン店のやり方を見てみたいというか、興味があって。そこでビジネスという1ジャンルをじっくりと担当する機会に恵まれ1年半ほど働いたのですが、やっぱり他の様々なジャンルにも関わりたいという気持ちが強くなっていって。大型書店だと、自分の担当には深く関わることができますが、書籍全体、お店全体を見るということはなかなか難しい。それはもちろんいい点でもあるのですが、もっとオールマイティーに本に関わりたい、という自分の気持ちが見えてきました。そこで、再びTSUTAYA新橋店に舞い戻ってきたんです。

違う環境を経験したことで、やりたいことが見えてきたんですね。

天野さん

はい、そうですね。戻ってきてからは望んでいたとおり色々なジャンルを担当させてもらいました。一時期はコミック以外のジャンルすべてを担当していたときもあったほど。雑誌も含んでいたので、本当に目まぐるしかったですね。現在は本全体の統括をしつつ、雑誌、文庫、文芸、実用書を担当しています。
実は、弊社にアルバイトに入った当初はまったく本には興味がなかったんですよ。読むのはせいぜいコミックくらいで。

天狼院書店
インタビューに少々緊張しつつも丁寧に答えてくださった天野さん。

そうなんですか? 現在はとても熱心に本に関わっていらっしゃるので、それは意外です。

天野さん

弊社はDVDやCDのレンタルや販売部門などもありますので、当初はその業務全体になんとなく興味があり、アルバイトをはじめました。入る際に「部署の希望はありません。どこでもいいです」と言ったら配属されたのが書籍だったんです。

本の面白さを感じ始めたのはいつくらいでしょう?

天野さん

アルバイトとして入って半年くらいのとき、当時担当だった社員から「何か文庫を仕掛けてみないか?」と言われまして。“仕掛け”なんて言われても、何をどうしたらいいのかまったくわからない手探り状態で、当時の勝手な新橋のイメージ=サラリーマン=男性……と単純に考えて、新潮文庫から2007年に発売された『 失格社員』という文庫を仕掛けることにしたんです。タイトルのインパクトが決め手でした。それだけでとりあえず手に取ってもらえるんじゃないかと。
もちろん内容も面白いです。セクハラ、パワハラ、談合……やってはいけないことに手を染めて堕ちていく社員たちの姿を、「二神に仕えるなかれ」「汝、姦淫するなかれ」といった「モーセの十戒」になぞらえて描いた10篇の短編集なのですが、作者の江上剛氏は銀行家から作家に転身したという経歴を持つ方なので、描写もリアルです。
そうしたら、読みがズバリと当たりまして、かなり売れちゃったんです。それが、本を売ることを楽しいと思い始めたきっかけだったかもしれません。

成功体験があって売る楽しさを知ったのですね。仕掛ける本を選ぶときはそういったタイトルのほか、どんな基準で選ばれますか?

天野さん

店の立地と客層、本の装丁とタイトル、それからもう本当に最後は勘というか。もちろん「あれ?」とハズすこともあります。というよりも、ハズす方が多いかもしれませんね。上手くハマるものって年に数回、数えるくらいだと思います。
当てるための精度の上げ方は……難しいですね、とにかくやってみるしかないかと。個人的には、仕掛けは思い切りだと思っているんです。
最近だと、光文社さんの文庫『 大絵画展』を展開しています。これも完全に勘で選んだ本なのですが、まず表紙のイメージから「売れそうだ」と感じました。第14回日本ミステリー文学大賞新人賞を受賞した美術ミステリーで、POPにも書いたとおり、大どんでん返しの続くスリリングな展開のコンゲーム小説です。やはりミステリーは男性、女性ともに一番安定して売れるアイテムですが、これも売れています。

天狼院書店
天野さんイチオシの文庫『 大絵画展』。作者の望月諒子氏は、デビュー作『神の手』が電子書籍の刊行であったにも関わらず異例のヒットを記録、注目を集めている作家です。

TSUTAYA赤坂店の客層は、男女比率などを含めてどのような感じでしょうか。

天野さん

男女比でいうと、現在は男性よりも女性の方が若干多いですね。以前は深夜4時まで営業をしていたのを、1年前より23時までと縮小したので、その関係で男性比率が下がった、という感じです。
全体の客層は、駅直結のオフィスビル内という場所柄、このビルに入っているオフィスに勤めるビジネスマン、ビジネスウーマンが多くを占めている形ですね。ビル内には大手広告代理店が、周辺にはテレビ局や制作会社、芸能プロダクションなどがあるといった環境ですので、そういった業界関係の方が多いようです。
たとえば今、平台で展開している「広告デザインの仕事術」というテーマは、もうピンポイントにその方々をターゲットとして意識したコーナーですね。実際、その広告代理店に勤める方が著者として書かれた本も置いていますので、内輪の方々も買ってくださっているようです。

入口にこれほど大きくビジネス書のスペースを取っている店舗は、TSUTAYAさんでは珍しいですよね。やはり、ビジネス書が一番の売れ筋ですか?

天野さん

そうですね。7月に店内のレイアウトを大きく変えてこの形になりました。もともと入口を入って主要線上はCD、DVDの売り場があったのですが、ここに書籍の平台を増設しました。また、壁一面をビジネス書コーナーに、そしてもう一面を女性向けのコーナーにして女性エッセイや、美容本、実用書などを取り揃えています。

天狼院書店 天狼院書店
都心の店舗でスペースが限られている中、壁一面をビジネス書コーナーに。ビジネス街に位置する店舗ならではのレイアウトです。女性向けコーナーも広くなりました。

では、弊社の本で印象に残っている本を挙げていただけますでしょうか。

天野さん

エッセンシャル思考』です。私はすでにビジネス書担当ではなくスタッフが担当したのですが、最初に仕掛けたときに大きく実績が出まして、それ以降ずっと長いスパンで売れ続けているのが印象的です。
99%のムダをそぎ落とし1%に集中する、という思考法は、赤坂の忙しいビジネスマン層にマッチしたのではないでしょうか。

ありがとうございます。女性客が多いこともあり弊社の『 アンガーマネジメント怒らない伝え方』を通路の平台に展開、販売いただきました。また、『 マンガでよくわかる教える技術』を多面陳列し多数販売いただいたことも印象深いです。ところで、ご自身はもともと本を読まれなかったとおっしゃっていましたが、最近は読んでいらっしゃるのですか?

天野さん

はい、主に小説ばっかりなのですが、たまにビジネス書を読む、といった感じです。また、雑誌などで書店関係の特集があったりするとつい買ってしまいます。仕事の情報収集という面もありますが、最近は純粋に本屋が好きでよく行くんです。雑誌に載っている本屋さんを見て「ここ、今度行ってみようかな」なんて考えるのが楽しいですね。根っからの読書家というわけではないのですが、今では本が好き、本を売ることが好きですね。

天狼院書店
本部の選定商品やフェア以外にも、赤坂店の客層にマッチしたオリジナル企画や商品をピックアップして展開。現在の平台のテーマは「広告デザインの仕事術」。

では、最後にお客様にメッセージをお願いします。

天野さん

はい。先ほども紹介しました平台は、ターゲットを絞り一冊一冊丁寧にピックアップして自信を持って展開しているところですので、ぜひ見ていただければと思います。また、女性のお客様に向けた豊富なラインナップもぜひご覧ください。
……と言ったところで恐縮なのですが、私、来月から急きょ新橋店に戻ることになりました。

ええっ! そうなんですか?

天野さん

はい、いきなりのことで私自身も驚いているところです。上司から「マーチャンダイジングをより深く学ぶように」と言われておりまして。また、新橋も改装を重ね書籍の売り上げが伸びているので、ここをもっと伸ばしていくこともミッションと受けとめています。
新橋店は、以前は7~8割が男性のお客様だったのですが、最近ではカフェが併設してそちらに女性のお客様が多くいらしています。ただ、この客層に向けて新しい提案をする事を課題として認識しています。

そうなのですね。では、新橋店に戻られてからのご活躍もインタビューしなくては。

天野さん

そうですね、成功事例として語れるように頑張りたいと思います。


TSUTAYA 赤坂店

営業時間 10:00~23:00
〒107-6390
東京都港区赤坂5-3-1
赤坂BizタワーB1F
TEL:03-3584-7666
FAX:03-3584-7668

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  • Vol.17 TSUTAYA赤坂店 天野大さん
  • Vol.16 東京天狼院書店 店主 三浦崇典さん
  • Vol.15 浅野書店 杉山慶子店長代理
  • Vol.14 CHIENOWA BOOK STORE 朝霞店 塩澤広一店長
  • Vol.13 不二屋書店 中鉢直さん
  • Vol.12 紀伊國屋書店 新宿南店 石井美幸 課長代理
  • Vol.11 伊野尾書店 伊野尾宏之店長
  • Vol.10 ときわ書房 本八幡スクエア店 吉岡健一店長代理
  • Vol.9 東武ブックス ビーンズ戸田公園店 伊藤達哉店長
  • Vol.8 オリオン書房ノルテ店 児島光陽さん
  • Vol.7 川上書店ラスカ店 佐々木康店長
  • Vol.6 八重州ブックセンター 柏明美さん
  • Vol.5 啓文堂書店三鷹店 山之内誠さん
  • Vol.4 くまざわ書店大手町店 山本善之店長
  • Vol.3 須原屋 武蔵浦和店 草皆康仁さん
  • Vol.2 山下書店 東銀座店 古川努店長
  • Vol.1 あゆみBOOKS小石川店 久禮亮太店長
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