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2020年のわたし「書道は、スポーツ。全力疾走で世界を目指す」

古代文字を見て、「ビジュアルが可愛い〜!」ってときめいた。
書道はもっともっと、ハッピーなものなんです。

文/両角晴香 撮影/榊智朗 企画構成・コーディネート/板垣響紀 掲載日:2015/03/09

Maayaさんの作品は、書道なんだけどアートのような。男性らしくも、女性の繊細さがあったりして、まさに唯一無二のアーティストさんですね。

Maayaさん

わぁ、嬉しい。ありがとうございます。そのスタイルを築くきっかけとなったのは、高校生のときに僕をスカウトしてくれた世界的な書道家の赤塚暁月先生ですね。書道には、お手本通りに書く臨書を重んじる暗黙のルールがあります。でも赤塚先生は、伝統的な書道にプラスして創作書道を教えてくださる方で「自分の感性で好きなように書いた作品を持ってきなさい」と言ってくださったんです。それはもう自由自在に表現しましたね。17歳で初の個展をしたときから、LoveとかBelieveとか、自分がハッピーになれるものをたくさん書いていたんです。英文字も書道にしてね。今は、創作してアートのような書を書かれる方が増えましたが、今から20年前の僕が17歳だった頃は、大変珍しかったと思います。

個性が際立つ作品の数々は、どうやって思いつくのでしょうか?

Maayaさん

ある時、学校の授業で、最も古い字体といわれる古代文字に出会い、「ビジュアルが可愛い!」と思ったんです。その形も時代によって、変化している。そんな様々な形を、自分の筆でさらに進化させ、魅力的に出来たら楽しいなと思うんです。自分にしかできない仕事として。そういった日常の中の発見や、たくさんの人との会話などが創作の種ですね。
小学生の時に自分がゲイだと気づき、本当に苦悩もあったし大変な経験もしました。加えて、様々な経験を共有できる人たちとの出会いによって、喜びも刺激もあって。自分の中に「性別国籍年齢を超えて、共に人間なのだといって笑って許し合えたら、どんなに素敵か」という思いがあります。どの作品も、オリジナリティや生きるということ、多様性を感じてもらえるように書いています。

墨を磨るコツは「余分な力を入れずやさしく」。気持ちを落ち着かせる効果もあるのだとか。

なるほど。そうして書かれた作品たちは日本はもちろん、海外でも注目されています。なぜ拠点を海外へ移されたのですか?

Maayaさん

ありがたいもので、日本では好評価をいただくようになりました。2年ほど前に、パリとベルリンでギャラリーを回った時に、人々のアートとの向き合い方を見て、ここでも挑戦をしたいと突き動かされたんですよね。また最近、パリに住んでいるアーティストに、「世界のスタンダードはキャンバスに油かアクリルで描くこと。和紙を否定するわけじゃないけど、まだまだ弱いかな」と言われたんです。これが世界のリアルな感覚だと思うし、それを肌で感じながら進化する必要があるかな、と。あと、海の外に出たことで、自分が日本人であることのアイデンティティを見つめ直す良い機会にもなっています。

観客の前で書道パフォーマンスをされるとき、漢字が読めない海外の方はどんな反応をするのですか?

Maayaさん

去年の夏に、ニューヨーク近代美術館MoMAでミュージシャンのComputer Magicさんとコラボでパフォーマンスをさせてもらったんです。ほら、海外の方って漢字の造形が好きですよね。だからそのとき、漢字と古代文字と英語の3種類の作品を書かせていただきました。テーマは「Life is Running」で、漢字は「走」の字を披露。一番盛り上がったのが、やはり漢字なんですよね。「これってなんて書いてあるの?」ってみんな興味をもってくれて。日本人は、無意識のうちに“読みたく”なってしまうんですけど、海外の方はパフォーマンス、つまり書いた字のエネルギーを“感じて”くださいます。

僕は全身を使ってダンスをするように書きます。
だから「書道はスポーツ」だって、そう思いますね。

Maayaさんのご活躍を通して、日本の文化に興味を持ってもらえることはありがたいことですね。

Maayaさん
男性らしい力強い作品と、女性らしく優雅な線を巧みに操るMaayaさん。

憧れの世界屈指の美術館でパフォーマンスできたのはとても光栄です。だからこそ、いま日々の制作も、オリンピックじゃないけど「日本代表」みたいな気持ちで挑んでいるんです。僕ね、書道ってスポーツだと思っているんですよ。なぜなら作品を書くときって身体全体を使って踊っているように書くから。健康じゃないとまず書けないし、体力もいる。今、フランスの小学校と中学校であわせて400名くらいの生徒さんに書道を教えているんですけど、そこの先生方に「Maayaの字はムーブメント!」とお褒めいただいています。躍動感があり、まるでダンスをしているようだって。

「書道はスポーツ」ですか! それは新しい発見です。

Maayaさん

一つの作品にたどり着くまでに100〜200枚書きますから、そこにいきつくまでの過程は、アスリートが何本も走ったり泳いだりして特訓する感じに似ているかもしれません。
書も、瞬発力で1回勝負のところもありますし。ただ、やっぱり人間なので、書き続けていると何かしら欲が出てしまうこともあるんです。どこかピュアさが欠けると、エネルギーのバランスが崩れてしまうので、そこは気をつけるようにしています。昨年、台湾で発表した作品をNYに住む女優さんがFacebookで見て、一目惚れで購入してくださったんです。本当に純粋な想いをぶつけた作品は、実物を見ずとも写真だけでも伝わるんだと書の力を再確認しました。

様々な手応えを感じながら、目指すは2020年です。Maayaさんが描く未来予想図は?

Maayaさん

書をベースにしたアートとして、「マーヤイズム」を確立することです。去年から、台湾、NY、そしてフランスと、色んな国をわたり歩き作品を書かせていただいています。これはインターナショナルで勝負できる作品を追求する、自分の書の冒険だと思っています。
今後も古代文字をベースに、絵的なものだったり、文字的なものだったり、カラフルな色も使いながら腕を磨いていきたいです。そして、2020年は世界に通用するアーティストとして、自分の作品で日本を彩れたら―と思っています。

Maayaさんの推薦図書

『人生を変えた贈り物 あなたを「決断の人」にする11のレッスン』(成甲書房)
著/アンソニー・ロビンズ 翻訳/河本 隆行

世界のVIPに絶大な信頼をおかれるコーチングのカリスマ、アンソニー・ロビンズの名著。Maayaさんは、自己啓発本の入門編として愛読しているという。「自分を見つめ直したいときにエールを贈ってくれる大切な一冊です。人生をさらに上質に生きるバイブルでもあります」。読みやすさと、メンタルのエクササイズができる点が気に入っているとか。定期的に行うエクササイズは、「朝と夜のパワーアップレッスン」。朝に7つ、夜に3つのクエスチョンを自問自答する。クエスチョンは「今の人生で幸福なことは何?」といった実にシンプルなもので、これを行うことにより欲しい成果が得られるそう。

PROFILE

Maaya Wakasugi
書道アーティスト

1977年 岡山県生まれ。大東文化大学文学部中国文学科卒。17歳での初の個展から研鑽を重ね、古代文字をモチーフに独自スタイルを確立。近年は、書をアートとしてとらえ、ルーヴル美術館公認の関連ロゴマークの制作や、日本テレビ「笑神様は突然に…」のタイトルなど様々な分野で幅広く活躍。アーティスト・クリエイターとのコラボレーションも多数展開。今春、仏ボルドーのワインイベントの広告に作品が採用され、現地のコミュニティーとも書による友好関係を結んでいる。4月には現地でイベントも開催。詳細はHPへ。

Maaya Wakasugi

この記事を読んだ人にオススメしたい、かんき出版の1冊

クリエティビティ溢れるMaayaさんの作品にビビビときた人にオススメなのは、生涯現役作家であり続けた漫画家・手塚治虫について書かれた本書。彼が遺した言葉と、その背後にある人生哲学に刺激されるはず。

手塚治虫 壁を超える言葉
手塚治虫 壁を超える言葉
手塚 治虫 /著  松谷 孝征 /著 
定価 1,512円(税込)
判型 46判
体裁 上製
頁数 160頁
ISBN 978-4-7612-7034-6
発行日 2014年10月20日
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