学ぶ。みがく。変わる。
HOME 2020年のわたし

2020年のわたし「男だって女だって。丁寧に演じ抜く人生を」大谷亮介

連載第6回目は俳優・演出家として活躍する大谷亮介さんが登場。5年ぶりの再演となる舞台『海をゆく者』の初日を控え、意気込みや舞台への熱い想いをうかがいました。

文/両角晴香 撮影/榊智朗 掲載日:2014/11/27

東京オリンピック開催の2020年を一つの目標として、未来予想図を語っていただく本コーナー。大谷さんの目指す道を教えていただけますか?

大谷さん

今年還暦なので、6年たったら66歳ですか。元気が保証されている年齢とはなかなか言えなくなってきたけれど、だからこそ今は1本でも2本でも、演じ続けたいと思っています。これまでは賑やかし役が多かったので、ガラリと趣向を変えて、“気づけばそこにいる”みたいなもの静かな男を演じるのもいいですね。でも、本当に興味があるのは、何を演じるかより誰と演じるかということ。これまで切磋琢磨しながら生きてきた仲間がたくさんいますので、彼らと一緒にお客さんの心に残る芝居を作りたいですね。

大谷さんのプロフィールを拝見し、多趣味でいらっしゃるのに驚きました。日舞にサックス、先ほどは稽古場でピアノを演奏されていましたね。

長年舞台に立ち続けている大谷さんの声はさすがの声量。鍛え抜かれた渋い声にぐっとくる。
大谷さん

いやぁ、お恥ずかしい。以前シアターアプルで布施明さんと共演させていただいて、そのときの名残です。バンドマスターの役だったので、僕のへたくそなサックスのイントロで布施さんが歌ってくださって。プロのミュージシャンとのセッションですから、目をつぶってでもできるくらい猛練習しました。

BGMが流れているのかと思うくらいお上手でした。芝居にまつわることなら何でもストイックになれる大谷さんは、3軒茶屋婦人会で女形にも挑戦していますね。

大谷さん

3軒茶屋婦人会は篠井英介さんと深沢敦さんと三人で10年以上前に結成した現代劇のユニットです。僕がお二人のファンで、8年もかけて口説いたんですよ。

8年も! 長年乗り気ではなかったのに、突然気が変わったのですか?

大谷さん

最初の頃篠井さんはまったくこちらの提案を信じてくれなかったんですよ。でもそのうちに、たまたま僕がおばあさん役を一人芝居しているのを見てくれて風向きが変わり始めました。歌舞伎の世界では当たり前の女形も、現代劇ではなかなか演じる場所がなくて……。ならば僕らで作ってしまおう! ということで実現しました。おかげさまで二年に一度のペースで公演していて、来年の7月本多劇場で6度目となります。

女形を演じてみていかがですか?

大谷さん

いやぁ、実際に演じるとこれがとても難しいですね。僕がやるとどうしたってオカマバーのマスターみたいになっちゃうんですよ。マニキュアを見て、「カワイー!」って叫んでしまうハートが僕には無いので。そんなときに、「すべての台詞を笑顔で言いなさい」と篠井さんに指導していただいて、少しずつ女に近づいている感じですかね。

大谷さんが描く夢を教えてください。

大谷さん

いい役者になりたいと思いますね。たとえば食堂でご飯を食べているとしますね。するとドアから人が入ってくる。知らない人なんだけど、入ってきた瞬間にこの人会社員だなとか、農業やってるなとか、服装や仕草でバッググラウンドを色々想像できますよね。演じるときも、何も語らずただそこに居るだけなのに、演じているその人の人生観がにじみ出てくるような、そんな役者になりたいですね。

二度目の公演は、経験があるからこそ難しい。
翻訳劇ならではの言語の壁をどう乗り越えるか。

『海をゆく者』がいよいよ始まりますね! 演じていて難しかった点はありますか?

大谷さん
かなりの読書家という大谷さんが選んだ一冊は、お父様から受け継いだ『現代イソップ』。

翻訳劇なので、台詞の言い回しが難しいです。中年の男5人が友人宅に集まってポーカーゲームをする話なのですが、翻訳された言葉をいかに日常語のように自然にしゃべってみせるかが僕らの課題なんです。僕はベロベロに酔っぱらった役なので、ろれつが回らなかったりする緻密な芝居が求められます。

今回再演ということですが、前回と同じメンバーで挑む舞台はいかがですか?

大谷さん

このお話をいただいてすぐは、「一度やってるしなんとかなるだろう」なんてみんなで話していたんですよ。演じてみて思うのは、二度目だからこそもっと面白い芝居にしたいという欲が出てくること。初日まであと数日ありますので、お客様に楽しんでもらえるよう、より磨きをかけていきたいと思います。

大谷さんの推薦図書

『現代イソップ・名詩に描く』(万有社)
ジェイムズ・サーバー著/福田恆存訳

お父様から受け継いだという一冊。アメリカの著名な漫画家・ジェームズ・サーバーの挿絵がユニークな古書。劇作家であり演出家でもある福田恆存氏の翻訳もお気に入りだとか。昭和25年に刷られた本書は、親子二代で何度も読み返され年季が入る。幼少期に出会ってから、何度も一人で朗読しているという。「イソップの話を現代風にアレンジしているんです。『知ったかぶりの犬』なんて、タイトルだけで面白いでしょう」と大谷さん。ちょっと皮肉ったイラストが子ども心をくすぐったそうだ(現在絶版)。

PROFILE

大谷亮介
俳優

1954年、兵庫県出身。東京水産大学在学中に「オンシアター自由劇場」に入団。1986年に「東京壱組」を旗揚げ、1991年「分からない国」プロデュース及び演出により紀伊国屋演劇賞個人賞を受賞。1997年の解散後、2003年に「壱組印」を旗揚。舞台を中心に活動しつつ、国民的TVドラマ『相棒』で長年レギュラーを務める。再演の決まった舞台「海をゆく者」に出演。12月7日にプレビュー公演決定!詳細は下記サイトへ。

海をゆく者 | PARCO STAGE

この記事を読んだ人にオススメしたい、かんき出版の1冊

努力を絶やさない大谷さんのような生き方に憧れる方にオススメな1冊。自分にポジティブに語りかけ、物事を成し遂げている姿を鮮明に描くなら、現状に関係なく、誰もが成功へと邁進することができるはず。

書影
一流の人に学ぶ 自分の磨き方
定価 1,620円(税込)
判型 46判
体裁 上製
頁数 240頁
ISBN 978-4-7612-6822-0
発行日 2012年3月19日
書籍ページへ

バックナンバー

  • ダウンロードできない方へ
  • かんき出版40周年特設サイト
  • ゲラ読み!
  • メディア掲載情報
  • かんき出版チャンネル
  • かんきに寄せる言葉
  • かんき出版の電子書籍
  • NOをYESに変える接待レストラン
  • あなたの街の本屋さん
  • 著者インタビュー
  • 好評!!ロングセラーシリーズ
  • 特設サイト