学ぶ。みがく。変わる。
HOME 2020年のわたし

2020年のわたし「時の流れに身を任せつつ一日一日の質を高めていく」渡辺真理

連載第5回目はアナウンサーの渡辺真理さんが登場。完璧にタイムマネジメントされた局アナ時代と現在のご活躍にどのような変化があるのかたっぷりうかがいました。

文/両角晴香 撮影/榊智朗 掲載日:2014/09/29

東京オリンピックまであと6年。渡辺さんが描く未来予想図について教えてください。

渡辺さん

これまで報道からバラエティーまで、時間帯も媒体も問わず色んなことに携わらせていただいてきました。「させていただく」の多用が問題になっていますが、仕事に関しては感謝をこめてそう表記したいです、私の場合。声をかけていただけることが何より有難いですし、その思いは仕事を始めた時から変わっていないので。だから、自分が目標を掲げて計画的に行動するというより、一期一会かもしれないけれどそのとき求められることに精一杯応えていきたいと願っています。あ、でもそもそも私、無計画な人間で夏休みの日記も31日にまとめてするタイプという無精な面も無計画さを後押ししてますけど(笑)。

一分一秒をあらそうニュース番組を担当されていた渡辺さんなだけに、意外な感じがしますね。

政治、スポーツ、ライフスタイル、文学などテーマは問わない。ラジオで鍛えた軽快なトークで場を盛り上げる。
渡辺さん

確かにニュースを伝えていく上では、トップニュースから始まり、2番目、3番目……と続く順序立ては必要です。でも、ニュースの大きさは人によって異なりますよね。新聞の一面よりも社会面の3行がその方にとって嬉しいことも悲しいこともある…。オリンピックはもちろんビッグイベントですし、私もとても楽しみです。でも一方で、誰かの心に刻まれる出来事が毎日どこかで起こっているのも確か。一日一日を積み上げるありがたみを思うと、6年間ってとてつもなく長い気がするんですよね。

まずは“目の前のことを大切に”といった感じでしょうか。

渡辺さん

すみません、未来予想図になってないですよね。でもね、一日を振り返って「今日は良くやったな!」なんて日は私の場合、まぁないわけですよ。とりあえず頑張ったからビールがおいしいとかそういうことはあっても自分に丸を付けられるほどの内容だったかというとそんな日はまずない。でも、ないからこそ明日はって、また頑張れる気がするんです。
その継続といいますか。

なるほど。なかなかストイックですね!

渡辺さん

いやいや。私がダメとも言えるし、アナウンスという仕事が奥深いとも言えるわけで。綺麗な言い方をすると、一日一日が一粒一粒の真珠みたいにつながっていったら、いつか首飾りになるかもしれないですよね。でも実際は真珠のような一日なんてそうそうないので、自分なりにどう過ごし、いつか糸をつないだ時にどう見えるかが楽しみなのかなと。

6年後、渡辺さんの首飾りがどう輝いているのか楽しみです。

渡辺さん

時間って本当は川の流れのようにつながっているはずなのに、勝手に区切っちゃいますよね。カレンダーで区切ってスケジュールで区切って、気づくとそれを当たり前のようにこなして。特に、生放送中はあと何秒でCMとか、時間を秒で考えます。でも、ふと、家で資料を読んでいる隣で猫があらぬ格好で寝ていたりすると、「そこまでヘソ天にならなくても…」なんてつぶやきながら、あぁ時間はつながっているんだなぁと改めて気づかされるというか。あまりに卑近な気づき方なんですけど。

勤勉な日本人は特に時間に厳しいですしね。時間に追われている感覚を持つ人は少なくないように思います。

渡辺さん

時間は悠久の流れなので、あくせく働きながらも、気持ちの持ちようによってゆったりも感じたいな、と。たまには立ち止まったり、また駆け足になってみたり、ゆっくりキョロキョロしつつ歳を重ねることを楽しみながら歩いていきたいと思ってます。

日本人に根付いたホスピタリティに誇りをもち、
大切に守っていきたいですね。

今後は海外のお客様を迎える機会が増えそうですが、広げていきたい日本のカルチャーはありますか?

渡辺さん
猫が大好きという渡辺さん。毎年出版する猫のカレンダー『低血圧なネコ』でみせるシュールなコピーがたまらない。

イザベラ・バードという女性の英国人旅行家が明治期の日本を旅したときに、東北の農家の老婆がお茶でもてなしてくれたことに感激したというエピソードを聞きました。老婆にとってはごく普通のことでも、もてなしを受けた人たちからすると温かいホスピタリティと感じたのでしょうね。日本の気候や湿度、7割は森林という国土に育まれた日本人だからこその優しさや律儀な面、誠実な態度は、これからも継承していきたいと誇りに感じます。

一方、オリンピック開催国として、改善すべき点は何だと思われますか?

渡辺さん

東京のような大都市でも、バリアフリーがまだ行き渡っていないことは残念です。車椅子の移動に配慮することはもちろんですが、一緒に行動するメイクさんやスタイリストさんが大きな荷物を抱えて電車で移動するのも大変そうです。開催までに都市を整えていこうという動きが加速して、結果インフラが整っていくのは歓迎すべきことのひとつかと思います。ほんとはオリンピックという強制力がなくても整ってほしいですけどね。

渡辺さんの推薦図書

『それでも猫は出かけていく』(幻冬舎)
ハルノ 宵子

父は吉本隆明、よしもとばななを妹に持つハルノ宵子の猫エッセイ。東京駒込の吉本家は、家猫4匹に加えて、捨て猫や野良猫が自由に出入りする猫のお屋敷。「私も相当の猫好きですけど、ハルノさんはもはや“猫マスター”です」と渡辺さん。漫画家でもあるハルノが鋭い観察眼と数々の実体験を交え、猫社会をユーモラスに描く。猫社会は人のコミュニティーと似るところがありしたたかだという。そんな“猫模様”を見事に表現している。「取材して自分なりに咀嚼したものを積み上げていくのがジャーナリストだと思うのですが、そういう意味でもこの本はジャーナリスティックな一冊といえます」。両親の介護をしながら書き上げたという吉本家最後の8年間でもある。

PROFILE

渡辺真理
アナウンサー

1967年6月27日、横浜生まれ。国際基督教大学を卒業後、1990年にアナウンサーとしてTBSに入社。1998年からフリー。『EyeSight presents恋するドライブ』(BS朝日)でナビゲーターを務める他、『ほぼ日刊イトイ新聞』の『マリーな部屋』にてコラムを連載するなど幅広く活躍。写真家・山下寅彦との共著である2015年ネコポストカードカレンダー(1037円・辰巳出版)も絶賛発売中。詳細はHPへ。

渡辺真理のウェブサイト

この記事を読んだ人にオススメしたい、かんき出版の1冊

1日を真珠の一粒に例えた渡辺さん。1分、1日と時間の流れを大切にしている方にオススメしたいのが民俗情報工学研究家の井戸理恵子さんの著書。日本人が知っておきたい、しきたりや節供の本当の意味をテーマに、日々の生活に活かす興味深い内容を、ていねいな語り口で解説している。

書影
こころもからだも整う しきたり十二か月
井戸理恵子/編 
定価 1,512円(税込)
判型 46判
体裁 並製
頁数 192頁
ISBN 978-4-7612-6953-1
発行日 2013年11月7日
書籍ページへ

バックナンバー

  • ダウンロードできない方へ
  • かんき出版40周年特設サイト
  • ゲラ読み!
  • メディア掲載情報
  • かんき出版チャンネル
  • かんきに寄せる言葉
  • かんき出版の電子書籍
  • NOをYESに変える接待レストラン
  • あなたの街の本屋さん
  • 著者インタビュー
  • 好評!!ロングセラーシリーズ
  • 特設サイト