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2020年のわたし「新しいことに挑戦して常に鮮度を保っていたい」浦井健治

連載第4回は、舞台を中心に活躍されている俳優の浦井健治さんが登場。エネルギッシュな芝居と同様、未来への歩みも真っすぐで力強い思いに満ちています!

文/土谷沙織 撮影/榊智朗 掲載日:2014/09/16

オリンピックが開催される2020年、ご自分が「こうなっていたらいいな」という未来のイメージをお聞かせください。

浦井さん

たくさんの人と出会っていろんなお仕事を経験させていただいている中で、僕の中ではひとつひとつが“数珠つなぎ”のようになっています。俳優の先輩や演出家の方と出会って、学ばせて頂き、視野を広げるキッカケになることも多く、またその方たちが「浦井にこの役をやらせたい」と思ってくださる。ひとつひとつの出会い・仕事が本当に数珠のようにつながっている、という感覚です。だから2020年になってもそれが続くように、役者として鮮度を保って、飽きられない浦井健治でありたい。「あ、また違う顔をしている!」と思われたら本望です。僕は、5年スパンで物事を考えられたらと思っていて、30代は種まきの時期でもあるのかなと、とらえています。40代になったら、自然とその場に立っていられるような役者になっていたい。そのために今は、もがいて、もがいて、いろんなことに挑戦していきたいです。

なるほど。常に未来に向かって種をまき続けるということは、今現在20代でまいた種が実っているということなんでしょうね。

舞台上で見せる激しさと、インタビュー時のお茶目で穏やかな語りのギャップが魅力。
浦井さん

もう、必死ですよ(笑)。今は、持っている限りの引き出しを毎回自分なりに、出し切っている感じです。そして、お芝居は、相手がいて、そこでのコミュニケーションが大切ですから、その場その場での瞬発力も適応力も必要です。相手が投げてくるものに対し、キャッチボールとしてしっかり投げ返せる自分でありたい。そのために、常にいろんなところにアンテナを張って情報を得られたらと思っていますし、舞台や映画、ドラマなど、しっかり学べるように、時間のある限り観るようにしています。でも必死な中にも楽しいという気持ちがあって。それは、人と一緒に何かをやるのが好きなんだと思います。だからこの仕事を続けているんだろうな、と。

浦井さんが夢や目標を実現するために、日常生活で大切にされていることを教えてください。

浦井さん

感謝の言葉を口にすることです。言葉にしなきゃ伝わらないことって意外と多いので、意識して「ありがとう」と言うようにしています。なんとなくコミュニケーションがうまくいかないな、伝わらないな、という時でも、「ありがとう」のひと言で、人と人が分かり合えて垣根を取り払うきっかけになると信じているんです。僕の仕事はひとりでは成り立たないことの連続なので、人とのコミュニケーションをとても大切にしています。そして、僕のまわりには生き様が魅力的な人が多いので、そういう方々と触れ合って感化されることも大きな喜びです。

生き様が魅力的な人、誰もがそうありたいですよね。浦井さんご自身が考える、理想の生き様はどんなものでしょうか。

浦井さん

幅広いことに興味を持ち、常に新しいことに挑戦するのは、役者の僕にとって必要なことです。そして、まわりの人から「浦井といると楽しいな」って思ってもらえるオジサンになりたいです(笑)。年齢を重ねるほど、人間的に落ちついてくるでしょうし、パターンというか、型みたいなものができてくると思うんですが、それはそれで大切にしつつ、同時にまた次のステップに進むために自分に負荷をかけていくことを忘れないでいたい。そういうことを繰り返して、生きていきたいですね。

それはある意味、アスリート的な感覚ですね。

浦井さん

そうですね。メンタルの強さも大事だし、身体のケアも大事。僕は、ボディトレーナーの先生に身体の管理をしてもらっていますし、ボイストレーナーの先生に喉の使い方のアドバイスをもらっています。アスリートの友人を見ていると、コーチ、トレーナー、筋力をサポートする人、食事のコーディネイーター、振り付けを考える人……、何人ものサポートの中で自分を律しているんですよね。その姿に感動して、アスリートって素晴らしいな、と心の底から思いました。そして、舞台に立たせてもらう身として、僕自身もそうであるべきなんじゃないか、と気がついたんです。お客様は何ヶ月も前からチケットを買って、その日を楽しみに過ごし、当日は半日くらいかけて観に来てくださる。観終わった夜も家族、恋人、友人に感想を話したりもするでしょう。それが思い出として心に残る。あるいはエネルギーになって、明日も頑張ろう!とか、何か学んじゃったぞ!っていう気持ちになる。でも、その舞台はその人にとって1回きりなんですよね。だから僕も誠意を尽くしたい。アスリートたちは、4年に1度のオリンピックや、目指した試合に全てをかけるわけですが、僕もそれと同じ感覚を少なからず目標にして、一回一回の舞台に取り組みたいと思っています。

チャーリィ・ゴードンが8年ぶりに帰ってきます。
観る人により深く届くものを贈りたい。

今年は、8年ぶりにミュージカル『アルジャーノンに花束を』が上演されることになりましたね。原作はダニエル・キイスの世界的ベストセラー小説。浦井さんは32歳になっても幼児なみの知能しかない青年、チャーリィ・ゴードンという難役を再び演じます。またあの感動がみなさんに届けられるのですね!

浦井さん
再演が決まったのは、チャーリィと同じ32歳の時。まさに運命を感じるタイミングです。

8年経ったのでいろいろと忘れているんじゃない?と思っていたんですけど、いざ蓋を開けると身体が覚えているものですね。こういう照明だったとか、こういう動きをしていたとか、ここでダメ出しがあったとか、台詞も思っていた以上に覚えていました。それで演出家の荻田さんに言われたのが「チャーリィ・ゴードンが最後の結末まですべて知りすぎて、背負いすぎている。そうすると、その場その場で起こっていることが見えづらくなる」と。本当に、そのとおりですよね。だからもっと瞬発力で反応して、チャーリィとしてその場を生き抜くというのが今回の僕の課題です。

8年前は、初座長として挑んだ作品。きっと、さまざまな思いが詰まっているのでしょうね。

浦井さん

初演の稽古中、『ぼくわかしこくなりたい』という最初のオリジナル曲ができた時のことを鮮明に覚えています。作曲家の斉藤さんと荻田さんと僕が、青春時代みたいに3人で肩を寄せ合ってその曲を聴いていました。「あぁ、オリジナルミュージカルを日本で作るんだね!」。当時のそんな熱い思いが、『ぼくわかしこくなりたい』を聴くと蘇ります。制作、スタッフ、キャストみんなが一丸となって作り上げた初演でした。今のこのかけがえのないカンパニーで再演できることが、僕にとってこの上ない喜びです。今回も、日々楽しんで稽古しています。チャーリィ・ゴードンと彼に関わる登場人物ひとりひとりの群像劇は、その成長、悩み、葛藤、学びを描いています。どの役に感情移入しても、お客様ひとりひとりが何かを持ち帰っていただけるはずです。楽しみに待っていてくださるお客様に、ダニエル・キイスさんのメッセージを花束のギフトとして受け取ってもらえたらうれしいです!

浦井さんの推薦図書

『ムーミン谷の冬』(講談社 青い鳥文庫)
原作/トーベ・ヤンソン 訳/山室 静

浦井さんが大好きな小説家・画家のトーベ・ヤンソンは、フィンランドのヘルシンキ生まれで、今年は生誕100周年。ムーミン谷のシリーズの中でも、特に愛しているという冬の季節の物語。雪に埋もれて冬眠中のムーミン谷の仲間たち。ある日、青い月の光に照らされて目を覚ましたムーミントロールは、今まで誰も知らなかった冬の生きものの世界へ冒険の旅に出る……。「僕はトーベ・ヤンソンさんの言葉の表現が大好き。冬の話なのに、暖かく包まれている気持ちになるんです。自然の偉大さ、人間が持つ無意識の中の温かみ、誰もが持っている懐かしさが呼び覚まされるような感覚があって、読みながらハッと気づかされることが多いです。ぜひみなさんにもこの世界に浸ってほしい。秋から冬の時期、のんびりと公園で読むのもいいですね」

PROFILE

浦井健治
俳優

1981年、東京生まれ。’00年『仮面ライダークウガ』でデビュー。’06年ミュージカル『アルジャーノンに花束を』他の演技で菊田一夫演劇賞受賞。以降、ミュージカルからストレートプレイまで、名だたる演出家の作品に出演し、数々の演劇賞を受賞する。今年9月、『アルジャーノンに花束を』が8年ぶりに東京、福岡、大阪で再演される。詳細はHPへ。

ミュージカル「アルジャーノンに花束を」公式ホームページ

この記事を読んだ人にオススメしたい、かんき出版の1冊

自己実現のために努力し、ご縁を大切にしている浦井さん。そんな浦井さんファンにオススメしたい1冊はこちら。現役の弁護士でありながら、スポーツ写真家でもある増田英次さんの著書。壮絶な体験の裏にある、正しい努力の方法について語ります。元オリンピック代表 上村愛子さん推薦。

生き方は山が教えてくれました
人生を変える 正しい努力の法則
増田 英次/編 
定価 1,404円(税込)
判型 46判
体裁 並製
頁数 216頁
ISBN 978-4-7612-7015-5
発行日 2014年7月14日
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