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2020年のわたし「ジャーナリストの原点に立ち返り人の役にたつ活動をおこなう」杉尾秀哉

連載第3回目は、報道記者歴33年の杉尾秀哉さんが登場!
培ってきたキャリアを未来にどうつなげていくのか熱い思いを語っていただきました。

文/両角晴香 撮影/榊智郎 掲載日:2014/08/11

2020年に東京オリンピックが開催されますが、1964年の前回大会に思い入れはありますか?

杉尾さん

開催された年に僕は小学1年生でした。当時兵庫県に住んでいたので東京まで足を運ぶことはなかったのですが、ブラウン管を通して日本中が歓喜したのは覚えています。その6年後に今度は大阪万博が開催されたのですが、中学の入学式で校長先生が僕らに語った言葉が今でも忘れられなくて。「君たちが小学校に入った年に東京オリンピックがあり、中学に入ってきた年に大阪万博がありました。君たちは“高度成長時代の申し子なんです”」と。高度成長期の扉を開いたのは東京オリンピックですから、やはり特別な存在なんですよね。

開催まであと6年。挑戦してみたいことはありますか?

大の鉄道ファン。ヨーロッパ鉄道を巡りながら来年は奥様とノルウェーを目指す予定。
杉尾さん

僕は年に一度妻と一緒に旅行をするのですが、つい先日オランダのアムステルダムにある「アンネ・フランクの家」を訪れたんです。そこで彼女の資料に触れ初めて知ったのですが、彼女の夢はジャーナリストあるいは作家になることだったんです。「世の中の人の役に立ちたい」と日記に力強く記されているのを見て感動しましたね。アンネは外敵から遮断された狭い部屋で夢を描きながらもはかなく死に絶えてしまった……。考えてみれば僕も33年前の1981年に、そんな志を持ってこの世界に入ったんです。原点に立ち返るときが来たのかなと。

具体的な「未来設計図」があるのでしょうか?

杉尾さん

どう行動したら人の役に立てるのか、あらゆる可能性を模索しているところです。その答えはジャーナリズムの世界なのかもしれないし、大学で教育に携わる選択肢が舞い込んでくることだって可能性はゼロじゃない。いま、BS-TBSでニュース番組を担当しているのですが、「次世代にどんな社会が残せるのか」なんてテーマで議論することが多々あります。これはある意味BSの特権ですよね。地上波は1分ごとに計測される視聴率を意識する必要がありますが、ここにはそんな縛りはない。正攻法でいけるのです。

興味深いですね。どんなテーマで何を語っているのでしょうか。

杉尾さん

団塊の世代の人たちが徐々に平均寿命に近づいている関係で、東京の人口は2020年あたりがピークではないかと言われています。2060年に今の2/3になり、2100年には1/3まで減少するとも。介護の話は尽きることはありません。その他少子化の話、外国人とどう共生するかなど。最近は地上波でも認知症の話が盛んですが、我々は随分早い段階で認知症の特集を組みました。テーマを一つに絞って、いま世の中で何が起きていて、どう改善すべきなのかを徹底的に議論するのです。とても意味のあることだと思いますし、今後もこういった活動を続けていきたいですね。

2020年の“その先”を見据えて
プランニングすることが大切

今、若者に伝えたいメッセージはありますか?

杉尾さん
東京オリンピックで注目する競技はマラソン。8月の初旬の猛暑の中どう選手が走り抜くか見届けたい。

講演会などでよくお話させていただくのですが、2020年までのプランを明確にたてておいた方がいいと思います。これは企業も個人も同じことです。ビジョンがあればそれに向けたアクションプランが見えてくるはずです。ただ忘れてはならないのは2020年の“その先”が必ずやってくるということ。近年でいうと1988年のソウルオリンピックが例にあげられますが、オリンピックの開催までは景気がよくても、開催後は景気が悪化し不況に陥るというのはもはや定説です。背伸びし過ぎて無計画な投資に走ることは避けるべきでしょうね。

とはいえ、様々なチャンスが潜んでいる気もします。

杉尾さん

日本にとって東京オリンピックの何がビックチャンスかというと、やはり観光ではないかと。日本食、アニメ、キャラクター、伝統芸能、世界遺産の富士山なども含めて、まだまだ世界に伝えきれていない魅力がたくさんあります。世界の目が東京に集まりつつあるのだから、観光客は必ず増えるはずなんです。これは本当に大きなチャンスですよ。

世界のお客様をお迎えするために若者はどう行動するべきでしょうか?

杉尾さん

日本に訪れる外国人観光客が少ない理由はいくつかありまして、それはビザなどの関門もありますが、言葉の壁はやはり大きいでしょう。「国会議事堂前」をNational Diet Buildingなんてとってつけたように表記しているけれど、アルファベット表記すらない不親切な場所もたくさんありますよね。外国人にフレンドリーな国じゃないと、2000〜3000万人の観光客は見込めませんので、困っている外国人観光客がいれば“May I help you?”の一言、声をかけてあげられるようになりたいものですね。国民一人ひとりがそんな意識付けをするだけで、ずいぶんと成果が出るのではないかと思います。

杉尾さんの推薦図書

『2050年の世界』(文藝春秋)
著/英『エコノミスト』編集部 解説/船橋 洋一 翻訳/東江 一紀、峯村 利哉

1962年に50年後の世界を予測して見事に的中させたイギリスのエコノミスト誌が、2012年に40年後の未来を大胆予測した一冊。経済、科学、人口、政治など様々なジャンルから解説されており、将来の日本と世界について考えるのにふさわしい内容となっている。杉尾さんが手にするものは、わずか2年前に出版された書籍とは思えないほど年期が入っておりびっしりと貼られた付箋が印象的だ。「ここに書かれていることを参考にして、テレビ番組でコメントをすることもしばしば」と読みどころについて熱く語ってくれた。

PROFILE

杉尾秀哉
TBSテレビ 解説・専門記者室長

1957年9月30日、兵庫県生まれ。報道記者、解説委員・コメンテーター。東京大学文学部社会学科卒業後、1981年TBSに報道記者として入社。TBS『ニュースの森』キャスター、JNNワシントン支局長などを務め、2010年からはBS-TBSの報道番組『週刊BS-TBS報道部』にメインキャスターとして出演。

週刊BS-TBS報道部

この記事を読んだ人にオススメしたい、かんき出版の1冊

「2020年の東京オリンピックは日本にとってビッグチャンス」とおっしゃる杉尾さん。2020年までに東京はどう変わるのか、東京都政の現在と将来をビジネスチャンスの視点で研究しつづける、都内に勤務する有志の組織が徹底調査したのが本書。経済効果は20兆円とも言われるビジネスチャンスについても言及し、ビジネスのヒントが満載。

生き方は山が教えてくれました
東京2020計画地図
定価 1,512円(税込)
判型 A5判
体裁 並製
頁数 144頁
ISBN 978-4-7612-6974-6
発行日 2014年2月3日
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