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2020年のわたし「大切な人からの言葉が私の人生の付箋に」クリス-ウェブ 佳子

主婦層から支持を集めるファッション雑誌『VERY』の専属モデルとして大人気のクリス-ウェブ 佳子さん。持ち前のビッグスマイルと真っ直ぐな言動からは、主婦として母として日常を懸命に生きる等身大の女性像が垣間見られます。エッセイ執筆、テレビ出演など、モデルの枠を超えて活躍されるバイタリティーの源や、いま興味を持っていることなどを伺いました。

文/土谷沙織 撮影/須藤明子 企画構成・コーディネート/板垣響紀 掲載日:2017/9/6

基本、私は振り返らない。とにかく前に進み続けたい

7月に発売された初のエッセイ本『考える女(ひと)』は、モデルというイメージで読み進めるといい意味での肩透かしを食らう、骨太な1冊です。雰囲気のあるヴィジュアル数点と、読み応えたっぷりの文章がリズミカルに綴られていますね。初めて著書を書かれてみていかがでしたか?

佳子さん

いわゆるファッションのスタイル本を出すつもりは全くなくて、あくまで読み物としての本を作りたかったんです。カバーに自分の顔を入れることすら考えていなかったのですが、編集の方から「それじゃ売れないよ」と言われまして(笑)。本を読む時って帯を取る人も多いから、じゃあ帯に顔を入れようということになったんです。2012年の3月から始めたブログの記事を、書籍用に書き直したりもしたのですが、5年の間に自分自身の考え方もすごく変わっていたので、過去に書いたものと向き合うのが辛かったです。基本、私は振り返らない人。街で道に迷った時は来た道を戻るのが一番正しいとわかっていても、絶対に戻りません。あらゆることにおいて、後ろを振り返らずにとにかく前に進み続けていたいタイプなんです。

18歳でニューヨークへ留学されていますが、それもパッと決めて実行されたのでしょうか?

佳子さん

「ブロンクスユニティ」というメタルコアバンドにはまって、生で彼らの音楽を聞くためにニューヨークに。両親には行く前日に伝えました。空港に着いてすぐにCBGBという有名なライブハウスに行って、それからは連日のように通っていましたね。とりあえず2ヶ月有効の航空券を買ったんですけど、トータルで4年半向こうに住みました。
最初は、英語を学ぶために語学学校に通うということで留学しましたが、学校にはほとんど行きませんでした。多くの日本人が日本人同士でつるんでいるのを見て、これではダメだと思ったんです。だから私は、学校ではなくストリートで英語を学びました。CBGBで出会ったバンドの子からも習ったし、当時の私は質問することをモットーにしていて、アパートの近くにできたお店の人に「何のお店ですか?」と声をかけたのがきっかけで、小さなブティックでバイトさせてもらい、そこでお客さんとコミュニケーションしながら英語を学んだりもしました。そんな風にストリート仕込みなのでスラングだらけになっちゃって、イギリス出身の夫は最初、私の話す英語のあまりの汚さに呆れていました(笑)。

「大事な話もくだらないことも、夫とはキッチンで語らうことが多いです」

ニューヨークの同時多発テロ事件が起きた2001年9月11日も、さほど遠くない場所にいたそうですね。

佳子さん

「いつ死ぬかわからない」とその時に痛感しました。それもあって、子どもたちが毎朝学校に行く時に「行ってらっしゃい」「行ってきます」を言わないまま出かけるのがすごく嫌です。この間も次女が何も言わずに登校しちゃったので、キッチンの窓から身を乗り出して娘の名前を叫びました。自分が朝早く仕事に出るときも、必ず声をかけて出かけます。それが最後になるかもしれない、という恐怖心がどうしても拭えなくて。だから、いろんなことを後回しにしたり、ごまかしたりしないで、自分のやりたいことは実現に向けてちょっとずつでもいいから歩を進めていたいと思います。

周りの人の言葉に支えられて、いまの私がある

28歳の時に家族で訪れていた公園でスカウトされて雑誌『VERY』の読者モデルになり、30歳の時に専属としてプロに。異色の経歴ですね。

佳子さん

読者モデルとして活動していた頃は、出産前に勤めていたファッションのPRの仕事に戻ろうと思っていました。ところが30歳になって、いよいよ本当に再就職しなきゃ、と考えていた時に「専属になりませんか?」と言われて悩みましたね。まさか自分が表に出る人間になるとは思っていなかったので。その時に夫が「与えられた役を演じればいいのでは?」と言ってくれたことで、すごくラクになれたんです。身近な人が言ってくれた何気ないひと言に救われること、結構あるんです。そういう一つひとつの言葉が私にとって人生の付箋になっています。

書籍でも触れていましたが、当時のモデル事務所のマネージャーさんとの出会いも大きかったのでしょうか?

佳子さん

マネージャーと初めて会ったときに「誌面と実際の佳子ちゃんの違いにすごい違和感を覚えた」と言われました。『VERY』の私服スナップ企画で、撮影をしても、『VERY』らしいフェミニンな印象が薄いという理由で、最初のころはなかなか掲載してもらえませんでした。私と誌面にギャップがあったので当然でした。「まずはあなた自身を編集部の人に理解してもらうためにブログをやりなさい」と薦められ、最初はやりたくないって反発したんです。「でも、あなたという人をわかってもらわないと先に進まないから」って背中を押されて…。いまはそのマネージャーさんに感謝しています。私はプロとしてモデルを始めたのが30歳。その時点で既に賞味期限は切れかけだったと思います。だから、彼女は先を見据えてモデル以外の私を作り出すことを考えていてくれた。本当にありがたいことですね。

偶然はじめたモデル業ですが、もうすぐ10年。先を見据えた戦略が功を奏したと思われますか?

佳子さん

子どもの頃から習い事も長続きしないし、すごく移り気な性格でした。だから、モデルを10年近く続けてこられたことは、私の人生においてすごく大きなこと。もしかしてquitter(クイッター:何事も長続きせず、途中で放棄してしまう人という意味)を払拭できたかな? なんて思っています(笑)。それと、ずっと大切に温めているのは「何かをプロモーションしたい」ということ。ニューヨークにいた時も、音楽が好きという気持ちから自然発生的にバンドのPR活動につながっていったし、その後のファッション業界でPRの仕事に就いたのも同じ流れでした。そういう意味では、モデルもプロモーションのツールだと思っていて、「この服を私はプロモーションするぞ! 」という気持ちで日々の撮影に臨んでいます。

それは素敵ですね。佳子さんは二人の女の子の母親でもあります。仕事と子育ての両立は、ご自身のお母様を参考にした部分もあるのでしょうか?

佳子さん

母は本当に忙しい人だったので、夜中に帰ってくるなんて当たり前でした。学童保育にも学校行事にもPTAの活動にも来てくれた記憶はありません。だから私の中で「この人は子どもよりも仕事の方が大事なんだ」と思い込んで、小さい頃はずっと反発していました。
私が大人になってから、40年間勤め上げて退職した母とゆっくり話してみたら、実は仕事が大好きで、辞めたのは家族を支えるためだったとわかりました。70年代後半〜80年代初期にそこまでキャリアを追い求める女性って、苦労がいっぱいあったに違いありません。それを子どもの時に聞いていれば、「お母さん格好いいな」って素直に思えたかもしれないのに、私は何も聞けなかったんです。
先日、長女から「ママは私のことよりも仕事の方が大事なんでしょう? 」と昔の私が感じたことと同じ質問をされたんです。その時、「言い訳させてくれる機会をくれてありがとう!」と心の中で叫びました。素直な長女に救われた瞬間です。私自身が自分の思い込みによって、母とコミュニケーションをうまく取れない時期があったので、娘と私はそうなるまい、と強く心に誓っているんです。

「私が仕事でカンボジアとベトナムに次女を連れて行く際に、長女の中学に入って初めての運動会と重なってしまって。むくれてましたけど、結果的にお互い本心を話せてよかったです」

小さなコミュニケーションの積み重ねを大切にされているんですね。それでは最後に、東京オリンピックが開催される2020年に向けての佳子さん自身の未来予想図を教えてください。

佳子さん

海外から見ると、日本語はハードルが高くて、バイリンガルで上手に情報発信している方はまだまだ少ないですよね。例えば「子連れの場合、東京のどこに行けばいいの? 」とよく聞かれるのですが、そういう人たちのためにウェブサイトを作って、二か国語で発信していきたいですね。そこでは東京以外にも、大好きな草津だったり、銀山温泉だったり、愛媛県の宇和島だったり、日本のまだ広く知られていない魅力的な場所を紹介していきたい。トルコのカッパドキアに行きたいんですけど、カッパドキアも宇和島も私の中で同じテンション。行動するかしないかで、その距離は関係ないんです。いま、旅が一番の関心事です。あとは、女性のクリエイターなど、人をマネージメントしてみたい、という野望はモデルになってからもずっとあります!


クリス-ウェブ 佳子さんの推薦図書

『寝ころび読書の旅に出た』 (ちくま文庫)
椎名 誠/著

さまざまな探検、冒険の本に傾倒し、やがてパタゴニア、シベリア、タクラマカン砂漠、アマゾン、モンゴル、北極へと冒険家のあとを追うように旅に出るようになった椎名 誠。本書は、小学生時代から現在までに読んだ『十五少年漂流記』『さまよえる湖』などの読書記録。「代官山の蔦屋書店に家族で行って、それぞれに好きな本を選ぶ時間が私のお気に入り。帯に“この本を読めば必ず旅に出たくなる”とあって、旅に興味のある私は即買いしちゃいました。最近は、訪れる先々の場所の話が出てくる本を旅に持っていくようにしています。しばらく先まで旅先のリストはできているので、その中にない場所がこの1冊で見つかったらいいな、と思っています」

INFORMATION

初エッセイ『考える女(ひと)』(光文社)が好評発売中。愛、子育て、ファッション、仕事、SNS、結婚、女、セックス、生き方などをテーマにした『VERY』にて連載中のエッセイとブログに加筆修正し、新たに書き下ろしも加えた1冊。「タイトルの意味は、私もすごく考える人なんですけど、これを読んでくれる人も考える人ですよ、という思いを込めています」

この記事を読んだ人にオススメしたい、かんき出版の1冊

佳子さんのようにバイリンガルで活躍できると、仕事もプライベートの幅も広がりますよね。そんな時に役立つのが本書。独学で8言語もの語学を習得したからこそ知り得たマルチリンガルメソッドで、30日で英語が話せるようになります。ぜひ30日間チャレンジをしてみてください。

30日で英語が話せるマルチリンガルメソッド
30日で英語が話せるマルチリンガルメソッド
新条 正恵 /著 
定価 1,404円(税込)
判型 46判
体裁 並製
頁数 184頁
ISBN 978-4-7612-7144-2
発行日 2016年2月1日
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