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2020年のわたし「今の世の中、つっこまれたほうが勝ち!」

お笑いの枠を超えて活躍する芸人ダイノジ・大谷ノブ彦さん。お子さんが産まれたことで、世界観が変わったと語ります。コンテンツとは? 子育てとはなにか? 大谷さんにお話しを伺いました。

文/大山くまお 撮影/中山かつみ 企画構成・コーディネート/板垣響紀 掲載日:2015/06/26

大谷さんは漫才コンビ・ダイノジとして漫才をする傍ら、音楽イベントでのDJ、ラジオのパーソナリティー、音楽に関する批評など多岐にわたって活躍されています。どんどんお仕事のフィールドを広げていますが、どのようなきっかけだったのでしょうか?

大谷さん

仕事がなかったんです。若手の頃はイケイケで、生意気でいばっていて態度も悪かったんですよ。2002年には「M-1グランプリ」の決勝にも出ましたが、そこでスベってしまって、翌年から仕事がなくなってしまいました。年齢的にも30代から40代は、芸人としてキツい時期なんです。ところが、そのタイミングで子どもができたんですよ。そうしたら、人に頭を下げられるようになりました。自分が負けている人間だと認められるようになったんです。これはラッキーだぞ、と。それ以来、仕事にも手を抜かずに全力を尽くすようになりました。子どもとカミさんのおかげです。

お子さんが生まれたことが大きな転機になったんですね。

大谷さん

とにかく現金が必要でしたからね。DJを始めたのも「1万円あげるから」と言われたから。ところが、まったくお客さんにウケなかった。悔しくて、ウケるために研究し始めたんです。僕は研究するなら徹底的にやるんですよ。DJを新しいエンターテインメントのショーに変えて、すごくウケるようになりました。

様々な音楽フェスでDJもする大谷さん。幼稚園児向けのDJイベント「キッズジャイアン」を開催することもあるそう。

音楽も一つのネタにしていった感じでしょうか。

大谷さん

そうですね。もともと映画も音楽も大好きでしたけど、お笑いには必要ないと思っていたんです。でも、お笑いの種類もたくさんあるんですよ。ずっとビートたけしさんに憧れていましたが、超あたりまえのことなんですけど、自分は自分にしかなれないんです。だからラジオをやるときも、たけしさんが嫌いそうな真面目に熱く語るラジオをやってみました。熱く語るのって立派な“ボケ”なんですよ。真剣にやればやるほど、みんながイジってくれるようになる。つっこませたほうが勝ちなんです。カラオケで最初に歌う人ほどカッコいいわけですよ(笑)。先頭を切って恥ずかしいことをやるわけですから。

大谷さんはダイノジの漫才ではツッコミ役ですが、生き方そのものがボケに変わったということなんですね。

大谷さん

ずっと人にイジられたくなかったんですよ。(相方の)大地(洋輔さん)をイジって笑いをとっているつもりだった。でも、そんな芸人はたくさんいる。とっくの昔に定員オーバーなんです。だから、自分が一番なりたくなかった“熱い人”になってみたら、それが意外にハマったんですよね(笑)。

どんどん仕事の領域を広げている大谷さんですが、2020年にはどんなお仕事をしていると思いますか?

大谷さん

エンターテイメントです。基本は人に喜んでもらえることをしたい。この前、ラジオの震災特番で、津波でたくさんの家族を亡くされた気仙沼の方が、野球好きの息子の願いでバッティングセンターを作ったという話を聞いたんです。これはもう、絶対に行きますよね。このエピソードこそがコンテンツだと思うんです。地方を盛り上げるには、僕たちがコンテンツを5つ、6つ持っていって、みんなを呼び寄せればいいんですよ。DJでもいいし、漫才でもいいし、マラソン大会を開催してもいいですよね。人が集まって、その街にお金を落としていく。それを日本全国でやりたいんです。そのためのソフトやコンテンツを作っていきたい。でも、まだまだ力不足です。もっとみんなの希望になりたい。SEKAI NO OWARIみたいになりたい(笑)。もっともっと笑われたいですね。

面白いことは探せば見つかる

大谷さんは「趣味は子育て」とおっしゃっていますが、子育てのどのようなところが楽しいのでしょう?

大谷さん
新宿のルミネtheよしもとの舞台の合間の取材でした。サービス精神旺盛な大谷さんの話術にスタッフもずっと笑いっぱなし。取材後も大谷さんは舞台へ。

全部楽しいですよ。でも、つらいこともたくさんありました。赤ん坊の頃は、夜泣きが大変で、抱っこしてマンションの廊下であやしながら「なんでこんな想いをしなきゃいけないんだ」と思ったこともあるぐらい。それも今は全部いい思い出です。

僕も子育て中なのでそういう経験があります。でも、子育てに大変な思いをしている人は、なかなか楽しめないのでは?

大谷さん

僕は自分で記憶を都合よく編集しているんです。こうやってエピソードを話しているのも、自分の中で編集作業を経ていますから。実は、人はとっくの昔から幸せで、あとはそれを見つける作業をするんです。僕が大好きな小沢健二さんの「天使たちのシーン」という曲の中に「雪を払いはねあがる枝を見る」という歌詞がありますが、彼はこの枝から生命の力を感じて「生きることをあきらめてしまわぬように」と呼びかけているんです。これって、そう思った人の勝ちなんですよ。面白いことは探せば見つかるんです。子育ては大変なことだらけですが、一生忘れないような面白いことだらけですよ。

子育てを通して、我が子に伝えておきたいこととは何でしょう?

大谷さん

他人と比べることの無意味さ、でしょうか。僕の子はそういう子だからラッキーでしたね。順番をつけるのが大っ嫌いなんですよ。前に映画の『GODZILLAゴジラ』を見て、ゴジラのフィギュアも大事にしていたんですけど、その後に見せた『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』という映画の方が面白かったと言うんです。今まで見た映画の中で一番面白かったと。でも、「『ゴジラ』に悪い……」って言い出すんですよ(笑)。次の日の朝、「昨日言ったことはナシにして」とも言ってましたからね(笑)。順番はつけない、全部一番でいい、って。ウチの子は頭もよくないし、運動もすごくできるわけでもないし、人に誇れるようなところはあまりないけど、そこがあればいいんじゃないかと思うんです。世の中は「正しい/間違い」だけではなく、たくさんの「正しい」がある。いろいろな人がいるから社会が回っているんだということを伝えたいですね。

いろいろな価値観を知ってもらいたいということですね。

大谷さん

それが一番です。音楽と一緒ですよ。それぞれいいところがあるんです。


大谷さんの推薦図書

『人間臨終図巻』1~4〈新装版〉(徳間書店)
著/山田風太郎

「いろいろな偉人や有名人がどのように死んだかをひたすら並べた本です。この本が大好きで、贈り物にすることもあります。生きることと死ぬことはイコールだという山田風太郎さんの考え方にすごく影響を受けました。太陽だけじゃなくて、月も大事なんです。セ・リーグだけじゃなくて、パ・リーグも大事。生があれば、死もあります。その対比が大事なんですね。どう生きたかも大事なんだけど、どう死んだかということも大事だと思います。死に方には、その人の人生観も表れることもあるんです。あと、父親からウチは甲賀忍者の末裔だと聞いたんですが、山田さんの代表作は『甲賀忍法帖』なんですよ(笑)」。

PROFILE

大谷ノブ彦
芸人

1972年、大分県生まれ。よしもとクリエイティブ・エージェンシー所属。1994年にダイノジ結成。「爆笑オンエアバトル」(NHK)、「エンタの神様」(日本テレビ)、「アフロの変」(フジテレビ)などの番組で活躍。また、音楽、映画などの知識の深さを生かし、ラジオ「大谷ノブ彦 キキマス!」(ニッポン放送)「スクールナイン」(JFN)、インターネット放送「WOWOWぷらすと」などでレギュラーパーソナリティーを務める(※2015年6月現在)。著書に『ダイノジ大谷ノブ彦の 俺のROCK LIFE!』(シンコーミュージック)がある。
ダイノジ活動20周年記念公演「テイラー・バートン~奪われた秘宝~」2015年8月18日(火)~23日(日)会場:東京・草月ホール チケットよしもと:予約問い合わせ 0570-550-100

ダイノジ大谷ノブ彦の「不良芸人日記」

この記事を読んだ人にオススメしたい、かんき出版の1冊

「子育ては楽しい!」と笑顔で語る大谷さんのように、育児に関わるパパも増えてきました。本書は、「育児をしたいけれど、どうすればいいの?」というパパに向けて、マンガで「パパの基礎知識」が無理なく、楽しく学べます。「パパ育児」を応援する著者とファザーリング・ジャパンが、育児の実体験を踏まえて、リアリティをもって丁寧に教えます。

パパ1年生
パパ1年生
定価 1,296円(税込)
判型 A5判
体裁 並製
頁数 176頁
ISBN 978-4-7612-6815-2
発行日 2012年2月20日
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