7月7日(木)に犬塚壮志氏にご登壇いただき、「聴き手が納得し、行動できるようになる!型をつかった説明術講座」の無料体験セミナーを開催しました。ビジネスにおいて、お客様、上司-部下、部門間などで何かを「説明」する機会は高い頻度で行われます。それゆえ、言ったことが相手に伝わらず、ミスコミュニケーションとなってトラブルが発生することもよく起こります。セミナーでは、説明の基礎知識、相手に伝わらない理由、目的に合った説明の型などについて解説しました。当セミナーの内容の一部をご紹介します。
まず、理系出身で、予備校講師だった私が「説明の型」の指導をしているのかを説明します。過去に、駿台予備学校で「化学」の講師として登壇し、年間1,500時間以上の受験指導を行っていました。受験生にわかりやすく説明する工夫をする中で、さまざまな説明の「パターン」を見出し、説明力向上のための「フレーム」(型)を開発しました。現在は、企業での社員を対象とした研修に登壇しています。
社会的背景・セミナーの目的
早速ですが、Zoomの投票を用いて、みなさんに質問です。
【質問】御社の現場社員の方、もしくはご自身は、「説明」に関してどのような悩みを抱えていますか?以下の選択肢の中から当てはまりそうなものをすべて選んでください。
【結果】「自分がわかっている前提で話をしてしまう」「説明が長く、結局、何を言いたいかが伝わらない」「簡潔に伝えようとしているが、逆に内容を省略しすぎてわかりにくくなってしまう」「プレゼンスキルがなかなか上達しない」に課題を抱えている人が多いという結果になりました。
リモートワークの推進もひとつの要因となり、オンライン上のコミュニケーションが増加しています。リアル対面のコミュニケーションと比べ、「認知的な負担が増大」「インタラクティブになりにくい」「非言語情報が伝わりにくい」という課題があります。だからこそ、リモートワーク下のコミュニケーションでは言語情報での伝達がより一層、重要になってくるのです。
本日のセミナーの目的は、「目的やシチュエーションに適切な説明の組み立て方のパターンがあることを知り、その組み立て方を日々の業務に生かすイメージを持てるようになる」ことです。「説明」の基礎知識、わかってもらえない「3つの根本原因」、お薦めの型「5撰」の3部に構成で説明いたします。
【第1部】「説明」の基礎知識
そもそも、「説明」とは何でしょうか。説明の定義と機能を次のように伝えています。
定義:それがどういうものであるかを、相手にわかるように順序立てて言うこと
機能:情報を伝達することで、相手に何らかの変化を生むことができる
わかりにくいと、同じことを何度も繰り返し説明しなければならないため、時間、労力、人件費などコストがかかったり、自分の意図したことが違った形で伝わってしまい、リスクを生じさせたりする原因になります。だから、説明力の向上が求められるのです。
説明力を身につけることで、「伝えたい内容を、聴き手が最短の時間で、正確に理解できる」「自分の提案が通り、やりたいことが実現できるようになる」「『またこの人に話を聴いてみたい』と思ってもらえる」「マネジメントや指導で部下や後輩の成長スピードが上がる」などの効果が期待できます。
型を用いて説明すると、話を素早く組み立てられる、上手く説明できる確率が上がる、自分ならではの「型」を生み出しやすくなると成果がでるので、説明の目的やシチュエーションに合わせて型を用いましょう。
【第2部】わかってもらえない「3つの根本原因」
伝えても相手にわかってもらえない原因は主にこの3つに当てはまります。
・そもそも話し手自身が説明内容を正しく理解していない
・相手が聴く態勢をとれていない
・相手のもっている知識を自分が把握していない
曖昧なところは徹底的に調べる、耳を傾けてもらう言葉を投げかける、聴き手に関する情報を事前に調べるなど対処しましょう。
【第3部】お薦めの型「5撰」
書籍『説明組み立て図鑑』では、80の型を紹介していますが、その中からおすすめの5つの型と、その型をどのようなシーンで活用するといいかを説明します。
(セミナー当日には、それぞれの型を用いたワークを実施しました)
①CRF法
結論(Conclusion)、理由(Reason)、事実(Fact)の順で説明する方法です。結論は必ず一つに絞ります。自分の主張や提案に対し、短時間で相手を納得させ、相手からOKを引き出したいときに用います。エレベーターピッチのような30秒~1分ほどの短い時間でプレゼンする場合にもおすすめです。
②「ニュース」の型
本題に関わるニュース、ニュースと本題が関わっていること、伝えたい本題のテーマの順で説明します。拡散的好奇心を利用する説明の方法です。 伝えたい本題に相手を食いつかせたいとき、説明の冒頭で用います。
③「リスク提示」の型
リスクにつながることを自覚させる問いかけ、リスクが降りかかる可能性、原因・メカニズム、そのリスクの回避方法・解決方法を説明します。解決策などの提案を相手に「自分ごと化」させたいとき、説明の冒頭で用います。
④「用語解説」の型
その用語を相手が知っているかを確認し、用語の定義、意義やメリットを伝えた上で、具体化したり、事例を出したりする説明法です。相手が知らないであろう専門用語や業界用語を簡潔に説明したいときに用います。
⑤「破壊」の型
相手がすでに持っているであろう常識や先入観を再確認させ、その常識や先入観を覆す事実の存在を提示します。その後、事実の内容、自分の主張がその事実に基づいていることを説明します。自分の主張や考え、独自の理論などを何がなんでも通し、相手の中に自分のコトバを残したいときに用います。
ぜひ、日常の業務のシーンに合わせて説明の型を使い分けることを、ビジネスで成果を出せる人材の育成にご活用ください。
ご参加者の声
・業務で即使える!お勧めの型については、本当にすぐ使えそうなイメージが持てました。「うまく言えないけど」「どういえばわからない」部下を持つ立場の人でさえ、言葉で伝えることを放棄してしまう場面があります。型に当てはめて伝えるところから、進めようと感じました。
・説明には、目的やシチュエーションに合った型があるという点が参考になった。
・交渉は先に結論定義しないほうが良いという点。
・内容や状況に応じた説明の仕方、組み立て方、非常に参考になった。
・説明力は、基本的な営業スキルとしてどんな社員でも必要で重要なスキルかと思っているので、導入を検討したい。
・リスク提示の型を無意識で使っていると感じました。ポイントとして『使いすぎると相手にストレスを与えかねないため、ここぞという時に使用する』とありました。身に覚えがあり、型を学び上手に使い分けていく重要性と合わせて学びになりました。
・場面や相手に合った型を活用することが重要、という言葉が印象に残りました。