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2022.06.29

【実施報告】DX推進人材を育てるために必要なこと~経済産業省の最新発表データに学ぶDX人材育成の具体的方策~

藤野貴教氏
株式会社働きごこち研究所代表取締役
ワークスタイルクリエイター

6月29日(水)に、「DX推進人材を育てるために必要なこと~経済産業省の最新発表データに学ぶDX人材育成の具体的方策~」と題したセミナーを開催しました。
第一部では、小社刊『2020年人工知能時代 僕たちの幸せな働き方』の著者・藤野貴教氏にご講演いただき、第二部ではゲストから具体的な自社内のデジタル人材育成とご課題についてご紹介いただきました。このレポートではセミナーの一部をご紹介します。

テクノロジーとの協働で変わる世の中の構造(藤野貴教氏)

2007年に働きごこち研究所を設立してから、「働く」のこれからや、テクノロジーとの協働について考え、発信しています。「知恵を使って、楽することで生まれた時間で楽しいことをする」ことを大切にしていますが、今の日本では、「楽」をしてはダメだと思ってしまう風潮があります。我慢に慣れた人、我慢の許容度が高い人が作るサービスは、顧客にも我慢を求めているかもしれません。つまり、組織における我慢の連鎖は、顧客サービスの品質低下を引き起こしかねないのです。この連鎖を止めるためにまず必要なことは、「自分たちがテクノロジーを活用して、働くのを楽にしよう」という共通認識を持つことではないでしょうか。

そして改めて企業の目的に立ち戻ると、企業が提供する価値はお客様体験(UX)を上げることといえます。そこで取り組む方向性は次のふたつ。
①テクノロジーでお客様の不便を解決する
②人間としてお客様を徹底的に喜ばせる

かつての便利・楽は、「誰かの苦労」によって成り立っていました。しかしこれからは、テクノロジーとの協働で世の中は変わります。いままでは人が担っていた「苦労」の⼀部をテクノロジーが代行する未来を、自分たち自身で作っていくことが可能になるのです。

DXとは?

よく言われることですが、デジタルツールの導入することがDXではありません。DXは、顧客ニーズ・社会の変化を元に、「変革」を行い、競争優位性を確立するための「戦略」です。
DXの目的は、3つに分けることができます。ひとつめは、現在のビジネス業務自体のコスト削減と最適化をする「業務DX」。ふたつめは、現在のビジネスモデルをデジタル世界へ適合(シフト)する「事業DX」。そしてみっつめはデジタル化による顧客提供価値の飛躍的向上・普及「価値DX」です。価値DXが最終目標ですが、そのためには業務のDXが前提です。仕事をリデザインするために既成概念から脱却し、今までのやり方を転換しましょう。

このやり方を転換するときに必要な考え方として、「ナッジ」をご紹介します。「DXで効率をあげよう」という正論だけでは、多くの社員を動かし、巻き込むことができません。本人の危機感をあおるのではなく、そっと背中を押してあげる、圧のない行動促進を考えることが、DXを社内に浸透させるにあたっては必要ではないでしょうか。

DX人材育成の概論~経済産業省の最新レポートをどう読み解くか~

デジタル人材の育成のためには、幅広い層のリスキリングが必要です。なかなか統一的な見解を持てなかったこのテーマに対して、経済産業省が発表した「デジタル人材育成プラットフォームの検討について」では一定の指針が示されています。この発表資料から、デジタル人材育成のポイントを解説します。

デジタル競争力ランキング2021で、日本は64カ国中28位。特に「人材/デジタル・技術スキル」が62位と低い現状です。日本では76%の企業がDX人材不足を感じているにもかかわらず、社員の学び直しを全社的に実施している企業はわずか7.9%しかありません。社員の学び直しは後手に回っています。

こうした背景を踏まえ、デジタル社会に対応するためには、すべてのビジネスパーソンには学び直し(=リスキリング)をし、デジタル技術を活用し、競争力を向上させる人材に変わることが求められています。とくに企業でDXを推進するためには、デジタルを「使う」人材、つまりビジネスにデジタル技術の導入を行う全体設計ができる「ビジネスアーキテクト」と呼ばれる人材の育成が急務です。「ビジネスアーキテクト」は、「技術によって、ビジネス環境にどんな変化が生まれるか?」「自社のビジネス現場におけるデジタル活用の勘所はなにか?」「自社組織の現状を踏まえ、『全社組織へのDX理解浸透』を図るためにどういうステップが必要か?」という視点を持つ人材です。他4つがスペシャリスト的であるのに対して、ビジネスアーキテクトは「総合的」であることに着目すべきポイントです。

こうした、企業内でのDX推進を支援するため、経済産業省と独立行政法人情報処理推進機構(IPA)は、デジタル人材の育成を推進するため、デジタル知識・能力を身につけるための実践的な学びの場として、ポータルサイト「マナビDX」を開設しました。各個人がDXリテラシーを⾼めるコンテンツが用意されている他、企業研修に活用する実践的なコンテンツも掲載されています。ポータルサイトはすべての人に門戸が開かれていて、デジタル田園都市国家構想の実現のために、地域にDX⼈材を供給・輩出することも念頭に置かれています。

また、働き手一人ひとり身につけるべきDXリテラシーとして、「DXリテラシー標準」も定められました。具体的には、「Why-DXの背景」「What-DXで活用されるデータ・技術」「How-データ・技術の活用」「マインド・スタンス」を定義したものです。社会、顧客・ユーザー、競争環境が変化している環境下で、どのようなDXリテラシーが求められているのか、それをどのような場で活用するのかが指針としてまとめられています。

こうした国を挙げた取り組みが次々とリリースされている中、改めて自社のDX推進人材育成がどうあるべきかを考えるタイミングに来ているのではないでしょうか。

●自社のDX人材育成は世の中の変化に基づきアップデートされているのか?
●社員の「変革マインド」が醸成できているか?
●業務課題を解決する実践プログラムになっているか?

多くの企業で、十分な準備・検討期間を設けてトレーニングプランが立てられているわけではありません。スキルトレーニングをアラカルトで並べているだけのプログラムになっていないか、という視点を持ちながら、全体設計を再度見直し、全社のDX変革マインドを醸成するコンテンツや、DX推進人材を育てる実践プログラムを用意しましょう。

ご参加者の声

・DXマインド・Whyなどがまずは重要をいう点が印象に残った。
・業務DXが始まったくらいであり、事業DXや価値DXにはまだまだ至っていないと感じる。これからの課題は、管理職層の意識と営業現場がどれだけ取り組むことができるのかという点です。
・新しい研修を導入する際に、「Whyの部分が大事」という点に共感しました。
社内の「我慢の連鎖」によってサービスが低下するという点に納得。まさに昭和的価値観で業務改善が進まない。特に40~50代の方がそういった傾向にあり、それが若手社員のモチベーションの低下につながっていると感じる。
・DXに関連する研修をしても現場で自分事として使われないことが社内の課題です。
・マインド変化が大事という言葉が印象に残りました。
・「国が本気になった」というフレーズが印象的。
・体系的に仕組みを整えて動かしても、やはり管理者(人・ソフト)、要の人が重要であるとわかった。

講師プロフィール

藤野 貴教 (ふじのたかのり)

株式会社働きごこち研究所代表取締役
ワークスタイルクリエイター
組織開発・人材育成コンサルタント
グロービス経営大学院MBA(成績優秀修了者)
人工知能学会会員

外資系コンサルティング会社、人事コンサルティング会社を経て、東証マザーズ上場のIT企業において、人事採用・組織活性化・新規事業開発・営業マネジャーを経験。
2007年、株式会社働きごこち研究所を設立。
「ニュートラルメソッド」を基に、「働くって楽しい! 」と感じられる働きごこちのよい組織づくりの支援を実践中。
2015年から現在の研究テーマは「人工知能の進化と働き方の変化」。研修やセミナーの受講者はのべ1万人を超える。
2006年、27歳のときに東京を「卒業」。愛知県の田舎(西尾市幡豆町ハズフォルニア)で子育て中。
家から海まで歩いて5分。職場までは1時間半。趣味はスタンディングアップパドル(SUP)と田んぼ。
本書は、著者が「働き方」の専門家として、人工知能が進化する中で、いかに人間として幸せに働き、生きるかというヒントを提案した希望の書である。

株式会社働きごこち研究所
テクノロジー時代のビジネスと仕事のリデザイン
【講師動画】藤野貴教氏~2020年人工知能時代 僕たちの幸せな働き方
藤野貴教氏インタビュー記事

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