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2021.12.18

【実施報告】2030年、必要とされる研修講師であるために求められるマインドと知識

向井和範
株式会社かんき出版 教育事業部

変化の激しい時代において、企業、ビジネスパーソンは環境に柔軟に対応することが求められています。 この変化は、企業内研修や人材育成においても大きな影響をもたらしており、「これまで通り」が大きく見直されています。

たとえば…
●対面→非対面(オンライン上)での商談、会議が一般化することが予想される。そうなるとオンライン上での名刺交換の仕方やオンラインならではのマナーが必要になってくるだろう。
●5Gの普及により、お客様は自宅でVRゴーグルを装着し、バーチャル空間で接客するようになるだろう。お客様の購買体験の変化を踏まえた、接客接遇を教えられる講師が求められるだろう。

こうした時代の変化を捉え、未来を予測したスキルやマインドを提供できない研修プログラムはあっという間においていかれてしまいます。

当セミナーは、研修講師の方を対象とし、5年後、10年後のビジネスシーンに影響を与えうる変化をキャッチし、自身の研修プログラムをさらに磨き、変化の激しい時代でも研修講師として活躍し続けるヒントをお伝えしました。

外部環境変化の要因を知る

今、企業が注目するワードは、「Digital Transformation=DX」です。
DXの定義について、ここでは経済産業省が発表した「デジタルトランスフォーメーションを推進するためのガイドライン」を引いてみます。少し要約をすると、「企業が、データとデジタル技術を活用して、競争上の優位性を確立すること」となります。
DXとは、企業がデータとデジタル技術を活用して
 ・他社以上の品質(Q)を顧客に届けること
 ・他社以上の低価(C)で顧客に届けること
 ・他社以上の速さ(D)で顧客に届けること
と言い換えることができます。

次は「デジタル化」についてお話しいたします。5Gの実用化により、今までできなかったことの実現が起きています。バーチャル・リアリティ技術(VR)や、百貨店のオンライン・バーチャル店舗などが挙げられます。
デジタル化で世の中のビジネスが変わり、お客様の生活体験が変わました。お客様が変わっていくので、ビジネスモデルも変わっていきます。ビジネスモデルが変化すると、そこで働く人に必要なスキルも変わらないといけません。企業はDXに注目しています。自分自身の研修がDXにどう繋がっているか、ビジネスに必要とされるトレーニングを提供できているかどうか、外部環境の変化に目を向けることが大切です。

教育や学習を取り巻く潮流

2030年には、総務省が出している未来イメージ「15の生活シーン」案に書かれているように、ドラえもんの世界のような未来になっているかもしれません。
まずは2030年以降、社会人となる年齢層が経験しているだろう学校教育に目を向けてみましょう。
2020年から指導要領が順次改定され、主体的・対話的で深い学び、探求学習、プログラミング、理数科目、外国語が新設・変更されました。受講者の持っている「当たり前」が変わると、研修講師はどう変化すべきでしょうか。より学習効果を高めるために抑えておきたい理論と潮流を説明します。

アクティブ・ラーニング-教壇から降りる
受講者が受け身になる「インプット(講師からの説明)」を極力少なくし、研修時には受講者が主体的・能動的に交流できるよう、講師が適切にファシリテートする方法です。反転学習との相性がよいため、動画や課題図書を事前に受講者自身のスピードで学習します。

アダプティブ・ラーニング-一斉指導をやめる
クラス単位での一斉授業、一斉進度、一斉難度では個々の学習ニーズに応えられていなかった反省から、受講者個々のスピード、難度に合わせて講師が個別に学びをカスタマイズ。これまでの個別指導は講師数や講師自身の勘と経験がボトルネックでしたが、個別進度学習はテクノロジー活用によりさらなる発展が見込まれています。

インストラクショナル・デザイン-学習を設計する
学習効果を見える化する、最大化するための「学び」を設計する方法です。学びの結果責任を説明し、改善点を見つけることにも役立ちます。代表的なものにARCS【Attention(興味)、Relevance(関連)、Confidence(自信)、Satisfaction(評価と満足)】モデルなどがあり、e-learning普及とともに再発展中です。

次は、教育分野でのテクノロジー活用:EdTech(Education×Technology)についてお伝えします。

モバイルラーニング-スマホ前提の学習教材
グローバル視点ではPCよりモバイルの方が普及率が高く、途上国中心に学習プラットフォームとして整備されています。ご自身のコンテンツを「スマホで学べる」ようにすると、どんな可能性があるだろうか考えてみてください。

MOOCs(Massive Open Online Courses)-オンライン学習プラットフォーム
大学や企業が、オンラインで授業や研修コンテンツを公開し、受講者は原則無償で学習できます。オンラインで個別学習/オンライン集合学習をしながら、テストや課題提出(相互採点)をクリアすることで修了証がもらえます。無償コンテンツと、自身のコンテンツの差異は何でしょう?みなさんの研修効果をさらにあげるために、どのような工夫ができそうですか?新しい学習サービスやトレンドに触れてみましょう。

もしかしたらこうなるかも?研修業界の未来を大胆予想!

2030年に確実に起こることは、日本の人口の減少です。生産年齢人口は8%、20歳は10%減少します。
2030年に起こりそうなことは、企業の人事制度においてはジョブ型雇用の拡大浸透/メンバーシップ型雇用の維持、社会人の学習態度においては個人主導の学習拡大/組織主導の学習継続です。想定されるシナリオを4パターンに分けて説明しました。

研修講師として、自分は何を磨いていくべきかを考える

研修講師の力は「コンテンツ+パーソナリティ」です。
「コンテンツ」は「伝える内容」です。テクノロジー企業を中心に、自社研修を無償公開する流れがありますので、とりあえず試してみてください。カスタマイズ性を強化するための「研修」や「学習」をデザインできる力、コンサルティング力を強化するためのクライアントの「ビジネス上の変化や要点」をつかむ力を高めていきましょう。
「パーソナリティ」は「伝える資格」。誰にも「複製」できないものを磨く必要があります。自分にしかない経験・事例、ファシリテーション力、運営や質疑応対力などを常に磨き、パーソナリティが枯渇、陳腐化、時代遅れにならないようにしましょう。自身が学習者であることを意識し、自身の経験を日々アップデートすることを追求してください。

データやデジタルが活用される時代に、ビジネスモデルや職業、スキルがどう変わるかを先取りし、学習に求められる期待や手法がどう変わるか、自らが体験しながら研修に昇華させていきましょう。

講師プロフィール

向井和範 (むかいかずのり)

株式会社かんき出版 教育事業部
HRソリューショングループ シニアコンサルタント

大学卒業後、採用コンサルティング会社に入社。業界や規模を問わず企業の採用課題に対して企画立案、コンサルティング、プロジェクトマネジメントを行うことからキャリアをスタートさせる。幅広いビジネスモデルや、そこで活躍するビジネスパーソンに出会う一方、学生のキャリア教育に対して問題意識を持ち、在職中に通信制大学に編入して教育学を学び直す。

2011年、高校の国語科教員に転職。教科指導に加えて担任業務、進路指導を通じて生徒のキャリア支援を行う。また、休部状態だった複数の部活動を再開させ、ソフトテニス部では生徒が全国大会出場を果たす。

学校や教科という枠を超えて「学ぶ」と「働く」に携わるため現職へ転身。現在は一部上場企業を中心に、ビジネス上の競争優位性確保を目指した人材育成の企画、実行支援に注力。特に個々人のエンゲージメント向上、組織風土改革の分野で、既存のやり方にこだわらない新たな発想で企業の支援をしている。

<得意領域>
リーダーシップ開発/DX人材育成/イノベーション創発/エンゲージメント向上施策/組織風土改革(D&I推進ほか)

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