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2021.11.25
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【実施報告】今から対策しないと間に合わない!男性育休義務化に向けた取り組みとは

塚越 学氏
株式会社東レ経営研究所 ダイバーシティ&ワークライフバランス推進部 チーフコンサルタント
NPO法人ファザーリング・ジャパン理事

11月25日(木)に「今から対策しないと間に合わない!男性育休義務化に向けた取り組みとは」と題した無料デモセミナーを開催しました。男性育休促進法案を国に働きかけをしていたメンバーの一人である塚越学氏が登壇。男性育休はどのような制度なのか、具体的にどのような施策が必要なのかを説明しました。セミナーの一部を紹介します。

育休介護休業法の改正ポイントとその背景

国の育児休業取得率の2020年度の目標は13%でした。約5%からスタートし、最終的には12.65%にまで上がりました。産業別では金融、サービス、複合サービス、教育などで増加。企業規模別で見ると、中堅以下の企業の伸び率が上がっています。
国家公務員は、2020年4月から男性育休をスタートしています。最初は16.4%の取得率でしたが、育休取得計画書、引き継ぎ書を上司と話し合って提出するなどし、2020年第一四半期の実績では育休取得率99%、取得日数平均50日となりました。
2021年6月3日に育休介護休業法が国会で通過。個別周知と意向確認の義務化がスタートします。2022年4月から段階的に施行され、柔軟な出生時育休、事業主の措置義務化、大企業の公表義務などが行われます。

男性育児参画推進に力を入れる理由の1つは少子化対策です。子育て世代の取り巻く環境は、昭和は9割以上が結婚し、専業主婦世帯が過半数あり、高齢化は始まった時代です。一方で平成時代は、結婚も未婚もあり、共働き世帯が過半数、世界一の超高齢社会です。夫の家事・育児時間が長いほど、第2子以降の出生割合が高いというデータがありますが、日本で6歳未満児のいる家庭の男性の家事育児時間は1時間23分。育児・家事を行っている男性は3割程度しかいないのが現状です。子どもが欲しい未婚者・既婚者の男性のうち7割~8割、男性の新入社員の8割は育休取得を希望しているので、益々企業は男性育休の取り組みを進める必要があります。

日本の職場ですぐに取り組むべきアクション方針は、
・20代~40代女性社員は、結婚・出産・子育てで退職しない&男性と同質の仕事を⇒女性活躍
・30代40代男性社員は、育休取得&子育てとの両立を働き方改革で実現⇒イクメン&イクボス
・50代60代は、2010年以降に社会から要請されているイクボス職場へ大転換を図る⇒イクボス
の3つです。「女性活躍」と「イクメン」と「イクボス」は3点セットで対策を行っていきましょう。

育児休業において最もやらなければならないことは、育休制度周知です。制度を作るだけではなく、制度を周知することで(女性の)退職率は大幅に軽減するという調査データもあります。ファザーリングジャパンの調査では、育休取得の際に上司や会社の後押しがあると取りやすいというデータが出ました。経営層から全社に制度を周知した上で、対象者に個別にアナウンスし、男性に対して取得意向を確認していきましょう。

早期発見!男性社員に向けた施策のヒント

男性の育休取得・育児参画推進の条件は、①本人の意識啓発、②組織全体の取組み、③上司のマネジメントです。何よりも大切なことは、男性が育休を申う出がしやすい環境づくりです。トップメッセージからの発信や、イクボスの養成です。
男性の中には「職場に男で育休取得者いない」「評価が下がる」「職場に迷惑かかる」などと思っている人もいますが、「フロントランナーになれば後輩たちにつながる」「評価や賞与の基準を確認して上司と相談しよう」「数ヶ月前から引継ぎ準備と対策をしよう」などと意識チェンジできるようサポートしましょう。
ファザーリング・ジャパンの調査では、育休取得前後で、残業時間削減や業務効率化に対する意識、仕事へのモチベーション、職場における評価、妻の今後のキャリアに対する意識、家事・育児に対する意識、子どもとの絆などが向上したと回答している男性が9割います。取得の前例があれば(女性の)退職率をさらに抑制できるデータもあります。
自分自身のキャリアを考える際に「育キャリ」という選択肢もあります。「育キャリ」とは、自分だけでなく、子どももパートナーも育つキャリアのあり方です。「仕事か家庭か」ではなく、「仕事も家庭も!」「仕事×子ども×パートナー」の視点で、キャリアを考えましょう。

今からしないと間に合わない?職場づくりとチーム戦略

「自分自身は子どももいるが育休は取らずにやってこれた。特に男性の育休取得の必要はない」「妻が家にいるなら子どもを見れるのだから、わざわざ夫が育休取得の必要はない」「休んだ分だけキャリアは積めず、成長できない。そこまでして父親が育休取得の必要はない」「大切な基幹職を担っている男性が一定期間抜けるのは正直迷惑だ。育休取得はやめてほしい」「人材不足でたくさんの仕事を休まず遂行している男性が育休で抜けたら職場はすぐに機能不全だ」などと考えている経営陣・管理職はいませんか。管理職が子どもを育てていた時代と今は違います。自分が育休をとらなかったことと部下の取得の必要性は別です。また、重要な仕事を担っている部下が抜けるのは確かに大変です。しかし、今後は少子高齢社会の日本では人材減少を続け、時間や場所に制約のある社員が職場の中心になっていきます。社員が一定期間抜けても回すことができる職場に変革していくことがこれからの上司に求められるマネジメントです。

従来は、主に男性、正社員、終身雇用、時間制約なし社員で構成されるピラミッド型でしたが、現在は、多様な雇用形態・働き方社員が増加するフラット型です。人材の多様化が加速する時代には、一人ひとりの事情や能力を把握しながら最大限のパフォーマンスを引き出すダイバーシティマネジメントや、仕事上の責任を果たしつつ、それ以外の生活のことも実現できるようにするワークライフ・マネジメントが求められます。ファザーリング・ジャパンではこれからマネジメントを「イクボス式マネジメント」と呼んでいます。イクボスとは、職場で共に働く部下・スタッフのワークライフバランスを考え、その人のキャリアと人生を応援しながら、組織の業績も結果を出しつつ、自らも仕事と私生活を楽しむことができる上司のことです。職場メンバー全員に、私生活の時間をとれるようにし、限られた時間で成果を出す職場づくりを目指しましょう。

ご参加者の声

・法改正の背景や社内取組みを検討する上での人事部門のスタンスに取り方など、とても参考になりました。社内の啓蒙と着実な実行に向けて、検討を進め参ります。
・塚越様の歯切れの良いお話、とても分かりやすかったです。
・法律以外の意識等が聞けて面白かったです。ありがとうございました。
・どうすれば周りを動かせるのかについてヒントをたくさんいただいたと思います。いまは制度を作るチームをサポートするオペレーション側なのですが、制度を支える体制をどう作るのかをチームで検討したいです。
・男性育休推進に対して大変わかりやすいセミナーでした。
・男性育休がデメリットばかりではない、むしろメリットはたくさんある、と聴き納得しました。ありがとうございました。
・人事として育休対応に不安を抱えていたが、全体感の話は役員クラスに聞かせたいと思いました。
・私自身は子育て中のため、個人的にはぜひ男性にも育休を取得していただきたいのですが、一方で会社として男性社員の育休取得を推進するにあたっては多くの壁があると改めて感じました。「働き方改革や女性活躍推進がそもそもできていないのでは」というお話しがありましたがまさにその通りで、男性育休取得推進の前に経営層や管理職に理解してもらい、変化させなければいけないことが多々あります。
・ダイジェスト版とのことでしたが、非常に密度の濃いお話が聞けたと思っています。私自身が自社で初めての男性育休取得者であり、グループ会社全体でも初めて1ヶ月以上育休を取得した男性社員だったと聞いています。取得前からのチームへの意識づけと引き継ぎや準備、社内・グループ内の嫌がらせや抵抗に対しての働きかけまでを思い出しながらお話しを伺っていましたが、今回の法改正は非常によいきっかけと感じています。法改正を目の前にしても社内の制度や人事総務部門の動きは鈍いため今回の受講を決めた次第ですが、自身の経験プラスお伺いしたお話を軸にして、制度設計ではない側から働きかけを進めていきたいと思っています。
・制度改正含め仕事と育児、介護、治療の両立支援について取り組んでいるところでしたので、このたびセミナーを受講いたしました。さいごに先生がおっしゃていた「理解はいらない、賛成でも反対でも法律順守でやってください。気持ちがどうでなくお子様が生まれるならおめでとうを言ってください。正しい情報のインプットをおこない、コンプライアンスを守るため、最低限のことをおこなう。そして仕事としてやってくというステージに入ってきた」というフレーズが私に一番響きました。まだまだ会社の中で様々なことが浸透していかない状況です。どうもありがとうございました。

講師プロフィール

塚越 学 (つかごしまなぶ)

株式会社東レ経営研究所 ダイバーシティ&ワークライフバランス推進部 チーフコンサルタント
NPO法人ファザーリング・ジャパン理事

公認会計士として監査法人トーマツ(現:有限責任監査法人トーマツ)に勤務し、多種多様な会社の監査業務に携わる一方、Deloitteの講師スキルプログラムをクリアし、人材育成セミナー講師を担当。2008年長男時に育児休業を取得。ダイバーシティやワークライフバランス系プロジェクトに所属し社内イベントや情報発信などを行う。
2011年次男の誕生、義兄の死、義父の介護を同時期に経験したことを契機に、日本におけるワークライフバランス推進を本業にすることを決意。監査部門マネージャーを経て、(株)東レ経営研究所ダイバーシティ&ワークライフバランス推進部に転職。
ワークライフバランスの体現者である佐々木常夫特別顧問の下で、企業・労組・自治体などに対し、講演・ワークショップ・コンサルティングを行う。佐々木常夫著書ベストセラー「働く君に贈る25の言葉」をテキストとした実践講座「佐々木常夫塾」を企画し、プログラム構築、講師を担当。数多くのダイバーシティやワークライフマネジメントプログラムを企画・運営している。
また、長男の誕生を契機にNPO法人ファザーリングジャパン会員として、父親の育児・夫婦のパートナーシップなどのセミナー講師やイベント企画等を自治体、労組、企業などに対して行う。
男性の育休促進事業「さんきゅーパパプロジェクト」リーダーとして男性の育休取得に立ちはだかる個人、職場、風土の壁を打破すべく活動中。
2012年より同法人の理事に就任。
イクボスプロジェクトのコアメンバーとして管理職改革のセミナー講師やコンサルティングを行う。
第一子で1か月間、第二子で1か月間、第三子で8か月間の育児休業を取得。

<著書>
「新しいパパの教科書(学研教育出版)」「新しいパパの働き方(学研教育出版)」共著
「崖っぷちで差がつく上司のイクボス式チーム戦略(日経BPマーケティング)」監修

http://fathering.jp/
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