10月8日(金)に、「トップ5%社員の習慣から読み解く!人材育成のこれから」と題したトークイベントを行いました。講師は、書籍『AI分析でわかったトップ5%社員の習慣(ディスカヴァー・トゥエンティワン)』の著者であり、これまで805社の支援をしてきた越川慎司氏です。AIから導き出したハイパフォーマーの行動特性から、これからの人材に必要なスキルを説明しました。イベントの一部をご紹介します。
クロスリバーでは働き方改革を805社に対して行っています。クロスリバー社員も全員週休3日で、リモートワークで、副業しないと入社できないという会社です。クロスリバーでは、優秀なビジネスパーソンの働き方・行動を分析し、その共通点を一般社員にも当てはめたら成果が出るかという行動実験をしています。トップ5%リーダーの働き方・行動を真似たら、91%の人が成果が上がっています。
トップ5%リーダーの特徴
リーダーは、未来へ導く人。コロナ禍で苦戦をしている管理職の特徴をお伝えします。良かれと思ってやってしまう「95%マネージャー」の行動は、「部下に答えを教える」「テレワークで『見えない部分』を『見える化』しようとする」「タスク管理が自分のメイン業務だと信じる」「週報の作成にエネルギーを使う」「定例会議で自分が7割話す」「感情で人を動かそうとする」ことです。みなさんに目指してほしいことは「トップ5%リーダー」の行動です。AIを使って、トップ5%リーダーの共通点を13個見つけました。「歩くのが遅い」「話が短い」「思い切った決断をしない」「情報より感情を共有する」「異質を歓迎する」「口角を上げて誤解をふせぐ」「成功後にWHYを繰り返す」「意外と良かったを目ざす」「同情ではなく共感する」などです。中でも「情報より感情を共有する」「口角を上げて誤解をふせぐ」「意外と良かったを目ざす」を上げた人はトップ5%リーダーの可能性が高いです。
上司に言われてモチベーションが下がる言葉のダントツの1位は「最近どう?」です。理由は、これを聞かれても答え方が分からないのと、上司が自分に関心がないと勘違いしてしまうためです。モチベーションは内発的動機です。自分に興味関心がないと思うとモチベーションが下がってしまいます。
次はトップ5%リーダーが最も使っていた声掛けを説明します。それは「今ちょっといいですか?」です。トップ5%リーダーが率いるチームはメンバー同士でもこの声掛けをしています。何話してもいいという心理的安全性のあるチームで、話しかけられる状態をお互いが作っています。リモートワークで会議が増え、会話が減りました。雑談が減ったからカジュアルな会話ができない、意思疎通ができない状態になりました。リモートワークで必要なことは情報共有ではなく、感情共有です。感情共有できる体制をトップ5%リーダーは整えています。自分とメンバーの時間と精神の余裕を作っています。だから、ゆっくり歩くし、ヒマなふりをするのです。口角を上げたり、うなずきを深くすることも、過剰な忖度がなくなるので、効果的です。“聞くかまえ”も重要です。アクティブリスニングをすることで相手の満足度が高くなった人が82%いました。間接承認という第3者とをつかってほめる、あいづちで相手を乗せる、オウム返し、1秒の“うん”の間で相手の会話と被らないなどを身につけるといいです。
みなさんが目指すべき組織は、言われたことだけをやる組織ではなく、自走できる組織です。まず承認して、モチベーションを高めて、できるかもと思わせて、気づきを与えて、目標に向けてさらに行動させましょう。感情共有して、行動を誘発させます。これがトップ5%リーダーがやっていた行動習慣です。
無駄な業務の改善
行動を誘発するには、業務の改善が必要です。1週間の中で何に費やしていたのか17万人に調査しました。その結果、社内会議43%、資料作成14%、メール11%に時間を使っているとデータが出ました。無駄なことを失くすために、いくつか行動実験を実施。アジェンダを24時間前に共有するというルールにしたところ、共有会議が27%減少しました。60分の会議を45分にすれば、15分の隙間が生まれるので、「ちょっといいですか」が聞けます。日本で作られるパワーポイントの24%が上司に対する過剰な気遣いで作られています。その資料のうち約8割が使われてもいません。だから、資料作成は進捗20%の段階で意見を聞くことで、差し戻しが減ります。
仕事の見極め
タスクの依頼がきたときに、それを引き受けるか引き受けないかの判断を慎重に行います。その判断によっては長時間労働に繋がるからです。タスクを引き受けるのかどうか評価軸をもって決め、受ける場合には自分で行うのか、誰かに任せるのかを判断します。この全体がタスクマネジメントです。成果を出し続けることが目的なので、緊急度と未来の成長に向けた重要度の2軸で仕事を決めます。重要度と緊急度が低いタスクは手放し、重要度が高く、緊急度が低いタスクに時間をかけられるかが成長の鍵です。
働き方改革は労働時間削減ではなく、労働時間の再配置です。無断なことはやめて、未来重要なことに再配置する。事業の柱となる新規事業開発、従業員が未来に必要なスキルを身につけることの、稼ぎ方改革と学び方改革をやっている企業が、結果的に働き方改革がうまくいっています。
トップ5%リーダーは、部下のセルフDCAを促しています。やって気付く、良かったら続ける、意外と良かったを生み出す。成功することを目指すのではなく、実験することを目指す。そこから学んだことを次に生かすと行動は進化します。こうやって行動を進化させ、人材を進化させ、組織を進化させていきます。これがトップ5%リーダーの特徴です。まずやってみる。成功・失敗ではなく、失敗の先に成功がある。だからモチベーションを高め、行動量を増やしていきましょう。
ご参加者の声
・仕事ができる人、リーダーにはやはり共通点があるということなので、どんどん取り入れて真似したいと思います。
・セミナー直後の1on1で「自分はお昼にこういうセミナーを受講してたんだけど、君はどう過ごしてた?」という聞き方をしたら、いつもよりノリ良くいろいろ話してくれました。すぐに使えるアドバイスが多く、事前に期待していた以上の内容でした。
・上司からの話しかけ方について、アドバイスをいただけてよかったです。
・越川さんのプレゼンは、毎回すごくわかりやすく勉強になることばかりです。
・ラインマネージャーレベルへの部下とのコミュニケーションでの気づきに活用できる。
・越川さんの具体的な数字を含めてお話して頂き、理解しやすかったです。