6月3日(水)に「AI×データ時代に対応する人材育成とは? ~自社のAI活用を促進する、オンラインAI学習コンテンツのご紹介~」セミナーを開催しました。講師は、株式会社アイデミー 執行役員の河野英太郎氏です。アイデミー社は、AIについてオンラインで学べるe-learningサービスを切り口に、数多くの企業のAIプロジェクトを支援されています。その取り組みから得られた知見をもとに、当セミナーでは企業のAI人材育成をすすめるヒントをご紹介いただきました。その内容の一部をご紹介します。
ビジネスの現場では何が起きているのか?
世界市場におけるAIソフトウエアの売上高はかなり高い伸び率で増加しており、2018年に95億ドルだったものが、2025年までには1,186億ドルに増加すると予想されています。もちろん新型コロナの影響を受ける前の予測ですが、この伸びはまだ続くと予想しています。世界市場では伸びている一方、国別でみると、日本のAIの導入状況は中国・米国・欧州主要国を下回っているのが現状です。産業別にみると、テクノロジーや通信産業、金融以外の分野では他国との差が小さい一方で、たとえば消費者向け産業やエネルギー、ヘルスケアといった分野では、AI導入は後れを取っていることがわかっています。
AI導入がどのような変化を生むか、というと「ソフトウェアとハードウェアの境界が曖昧になる」と言えます。たとえば「自動車」というハードウェアも、今ではソフトなしには成り立たなくなっています。インターネットにもつながっており、この流れが逆行することはないでしょう。伝統的な自動車メーカーのライバルは、「ハード」としての他メーカーではなく、「ソフトウェア」に強みを持つ会社になったともいえるでしょう。
AIによる産業革新を、アイデミーでは二つに分けて考えています。ひとつはプロセスイノベーション、もう片方がプロダクトイノベーション。この両者のイノベーションを牽引するものこそがAIであり、いかに対応していくのか、すべての産業においてその変革が求められていると考えています。
AI組織・人材開発に向けて
日本企業のAI活用課題として立ちはだかっているのは、ずばり「AIの導入を先導する組織・人材の不足」というデータがでています。これまでは社外に組織・人材を求める動きが多くありましたが、世界的にAI人材の争奪戦にもなっており、多くの企業においてAI活用に向けた自社の組織づくり・人材育成に取り組まれています。
この時にまず考えないといけないことは、AIによる産業変革は「自社の誰も経験したことがない」ということです。これまでの仕事のやり方として、いわゆるウォーターフォール型と呼ばれる「要件定義」をしようとしても、まずそこでつまずくケースがあとを絶ちません。これからは「まずやってみる」「やりながらバージョンアップしていく」というアジャイル型への発想の転換が求められています。
AIによる変革を社内でリードできる人材には、
①自社ドメインの専門知識
②AI・機械学習の基礎知識
このふたつを持っていることが欠かせません。このことが、一部の専門部署のみではなく、部門横断でAI活用が進むひとつの理由にもなっています。
経団連が提唱した人材モデルに、AI活用の「起承転結人材」というものがあります。自社ドメインの専門知識をもって妄想する「起」人材、その妄想を構造設計する「承」人材、機能に落とし込んで設計できる「転」人材、そして詳細設計を担当できる「結」人材です。また、その全体を管理するプロデュース人材も求められる人材像にはいります。アイデミーでは、育成したい人材パターンに応じたソリューションを用意して、企業のAI活用を支援しています。
Aidemyのソリューション
アイデミーでは、AIに強い組織づくりに向けた、AIの内製化支援サービスを提供しています。サービスの一つであるe-learning型学習コンテンツは、専門ツール不要・事前知識不要で取り掛かりやすく、またコンテンツとしてもビジネス向けのAIリテラシー教材を豊富に取り揃えています。文系初学者向けのラインナップから、専門的な機械学習・深層学習の実装までカリキュラムを用意しているため、企業ごとの育成ニーズに合わせた導入をいただくことが可能です。e-learningにおるAI人材の育成を皮切りに、AI活用の要件定義サポートや社会実装サポートまで、企業主導でのプロジェクト成功を支援しています。
AI人材育成には、まずは意識の変革が必要なケースも多くあります。企業内でe-learningをご導入いただく際には、AI学習の必要性や興味喚起のためのセミナーも合わせて提供しています。「AI人材育成」について、ぜひ幅広くお問合せください。
ご参加者のコメント
・アジャイル転換の事例として挙げられたカクテルロボットの話は非常にわかりやすかったです。起承転結人材という考えも腑に落ちました。
・AI人財育成について、育成部門も関わる必要性があると感じつつ、まだまだそこまで理解を得られていない現状もあります。Gsuite採用しておりますので、現場でできるところからでも少しずつ変えていかないといけないという意識を改めて持ちました。
・プロセスイノベーション、プロダクトイノベーション、アジャイル型の考え方等は、AIに限らず、これから重要であると再認識しました。
・基礎知識を付けるところから始めるので、オンラインセミナーで導入していくというプランは興味を持ちました。