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11月6日開催セミナー「イノベーションを起こす『人と組織』のつくり方」開催レポート

 
 
2018年11月6日、東京・大手町のサンケイプラザにて
『イノベーションを起こす「人と組織」の作り方』セミナーを開催いたしました。
 
企画者としては弊社刊『人事こそ最強の経営戦略』をお手に取っていただきたいのはもちろんのことですが、著者からのメッセージをライブにてお届けしたいという想い、また、「イノベーションを起こす人と組織の作り方」について日々試行錯誤されている経営幹部の方や人事担当の方々に明日への行動に繋げるヒントを持って帰っていただきたい、という想いから開催いたしました。
 
当日は、弊社刊『人事こそ最強の経営戦略』の著者であるSAPジャパンの南和気さんに加え、早稲田大学ビジネススクールの入山章栄さん、サイバーエージェントの曽山哲人さんを迎えた豪華布陣セミナー。
19:30からという遅い時間、しかも朝から雨という天候にもかかわらず、およそ170名の方ご参加いただき、熱気にあふれた時間となりました。
 
参加された方はセミナーの振り返りとして、ご参加出来なかった方には雰囲気だけでもお届けできるよう、簡単ですがレポートいたします。
 
当日の構成は以下のとおり。
 
1部 南和気氏による単独講演「イノベーションを生み出す人事戦略」
2部 入山章栄氏×南和気氏×曽山哲人氏によるセッション
 
<第1部>
セミナーは、南さんによる「イノベーションを生み出す人事戦略」と題した講演から。


 
講話では南さんが、ご自身が所属されるSAPの紹介から始まりました。
そこからイノベーションは何かというという問いかけに。
南さん曰く、イノベーションとは「新しい価値を事業化すること」とのこと。
参加されたみなさんも頷きながらメモ。


 
ただし……と、スライドに映し出されたのは懐かしいけど名前がすぐに出てこない携帯電話シリーズの写真。
「この携帯メーカーの名前がわかる方!」南さんの質問に手はほとんど上がりませんでした。
約10年前に世界シェアの約50%を占めていた商品が現在はほとんど見かけなくなっている。
この事実に会場の空気が引き締まりました。現在のイノベーションがその後10年続くとは限らない。
今皆さんが使っているスマホも10年後同じように使われているかなんて、誰もわかりませんよね、という考察に大いに納得。
 
続けて、同じアイデアでもタイミングが大事という話ではコンビニのカフェの事例を紹介。
今は当たり前に便利に使っているサービスですが、実は店内でドリップしたコーヒーを
コンビニで提供するという事業アイデア自体はなんと1990年代からあったとのこと。
何回かの試行錯誤、失敗を乗り越えて今の成功に結びついたというお話でした。
 
イノベーションとは何か、がわかったところで本題であるイノベーションを起こす人事戦略の構造について。
アイデア→実行→失敗 をぐるぐる回せる、連続したイノベーションを促進する組織の形を紹介。
南さんはこれまでの組織の形であった一人の強力なリーダーが判断し組織を維持する「リーダー型組織」に比べ、共通の目的意識の元、権限と情報が分散・共有された「パルテノン型組織」がイノベーションの創出にふさわしいと解説。
 
そして、SAPがどういう経緯でイノベーションを起こし続ける組織に変革したか、についての話に移ります。
ドイツに本社を持つSAPは、全世界130カ国に拠点を持つグローバル企業です。
これまでは企業向けの基盤システム(ERP)を提供するソフトウェア事業一本で成長してきました。
そんな同社に転機が訪れたのはリーマンショックでした。
売上が大きく下がり、どうにかしないといけないとなった時に、議論を尽くして出た結論が、ERPの一本足打法から多角化、成長市場に大胆に進出していくということでした。
ここから、データベース事業・モバイル事業・クラウド事業など新しく開始し、全社の業績自体も成長していきます。
多角化を決定した5年後にはさらなるイノベーションによる成長を目指した新しい事業戦略を描いています。

では、なぜSAPはこのような短期間で事業の多角化というイノベーションを達成し、また成長し続けているのか。
南さんは、大事な要素として「3つのP」があるとして「People」「Place」「Process」を挙げます。
 
「People」人については、意思決定をするリーダーたちが、異なる背景を持つことで、様々なアイデアを受け入れることができるとのことです。国籍も、キャリアも、そして年齢なども様々なリーダーで組織を構成することで柔軟にアイデアを吸収。そしてそのアイデアを形にして成果を出す人材を選抜して育成する仕組みを作っています。
とはいっても全社のマインドを変えるのは大変だった……というお話も。特に管理職がイノベーションの妨げになってしまう常套句3つを紹介。
 
「やるだけ無駄」
「いつ儲かるの?」
「本当に成功するの?」
 
スライドにこの言葉が投影された時、会場に笑いとも何ともいえないざわざわした何かが起きたような雰囲気。
管理職が部下にこのような言葉をかけてしまうと、それ以降その部下は、いいアイデアを出さなくなってしまう。あるいは、そのアイデアを持って転職してしまうかもしれない。それでは会社は変化できない、また人とアイデアの損失になってしまいます。そこで管理職向けの意識改革としてコーチングを行なったとのことです。
部下から相談やアイデアがあった時、ちゃんとメモをとっていますか?
ちゃんと聞いている、吸い上げるということを、メモをとるという行動にしっかり落とすこと、
そこが大事だというお話でした。
 
「Place」「Process」ではデザイン思考を取り入れたイノベーションセンターの設立、職種別で長期にわたるトレーニングセンターなどの環境面。
また毎年行われているという社員による事業コンテストも行なっています。
役員プレゼンを通過すると予算と時間が提供されるという仕組みで、その後の第2部でサイバーエージェントの事例紹介時にもあらためて語られました。
 
短期間に大きな事業形態の転換に成功し、グローバルで大きく成長している事例を具体的なエピソードを交えて聞くことができ、会場は大きな拍手に包まれました。
小休止を挟み、第2部であるパネルディスカッションに進みます。
 
<第2部>
そして、第2部開始!


 
第2部は早稲田大学ビジネススクールの入山さん、サイバーエージェントの曽山さんが加わってのパネルディスカッション。
まずはファシリテーターの入山さんが導入のお話。
南さん、曽山さんとそれぞれでお話ししたり連携したりしたことはあるけれど、この3人でのパネルディスカッションは今回が初めてとのこと。会場の期待値、この瞬間にグッとあがりました。
 
投影されたのは、「経営学からみた日本企業の人事施策の課題整理」というパワーポイント資料。
入山さんの私見として、日本にいま最も足りないのは人事の「戦略化」であるというお話。
経営学の視点からの問題提起をされました。イノベーションは知の組み合わせでできている。
だからそれを実現させるには「知の探索」「知を深めること」が必要。自分からなるべく遠くを、幅広くみること。同質化が進んでいる組織ほど、この探索が難しくなっているというご指摘がありました。
マシンガンのように繰り広げられる熱いプレゼンにグイグイ引き込まれます。
 
続いて曽山さんからサイバーエージェントが実際に行なっている取り組みを紹介いただきつつ、入山さん、南さんも加わってのディスカッションに突入。

 
 
AbemaTVなどの大型案件も推進しつつ、毎年10社ぐらい新会社を立ち上げているサイバーエージェント。
進化し続けることがとにかく必要とのことです。
いきなり大きい変化はみんな驚くけれど少しずつの変化はそれが当たり前になるとのこと。
新規事業を内定者でも申請でき、書類が通れば社長に提案できる。
とにかく実行数を増やすことを大事にしているそうです。
「あした会議」は2006年に開始した役員対抗の事業コンテストで、事業にとどまらず会社の課題解決案などをプレゼン。
一回点数をつけてから役員とブラッシュアップして再検討する仕組み。
また、それを回すための「撤退ルールを明示する」「敗者復活を助ける社内ヘッドハンター」など斬新な取り組みが次々に披露され参加されたみなさんのどよめきが続きました。
 

とくに「敗者復活の事例」のパートはいつの間にかパネラー3人とも立ち上がって大盛り上がり!
イノベーションを起こすには、まず数を打つこと、そして失敗を許容すること。
その大事さをみなさんが力説するなか、イノベーションは人が生み出すのだからこそ、感情に寄り添い、失敗をはげますことの大事さを再確認して、パネルディスカッションは大いなる熱気を帯びたまま終了しました。
 
そして最後に、南さんからのサプライズとしてプレゼント企画を発表。
デザイナーのsajima mikiさんがこのセミナーのためだけに作成されたオリジナルのしおりを、10名の方へプレゼントいたしました。
「人事」がテーマということで、10枚それぞれの形・色のしおり、とても素敵ですね。
 
今回のセミナーのもう一つの目玉は、会場の前にセッティングされた大きなボード。
畑中弘美さんが、ディスカッションの内容をグラフィックレコーダーという手法で
即時イラストの議事録にライブでまとめてくださいました。
セミナー終了時にはお話の全容が絵で見渡せる作品が完成!
終了後も多くの参加者の方が写真撮影をされていました。

  
 
改めて、登壇された南さん、入山さん、曽山さん、
スペシャルサポートをいただいた畑中さん、sajimaさん、
そしてそしてご参加されたみなさん、本当にありがとうございました!


 
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セミナー開催後、熱いご感想を続々いただいています。その一部をこの場でご紹介させていただきます。
 
・南さん、入山さん、曽山さんのかけあいのライブ感がすばらしく、笑いあり、学びありでした。
・示唆にとんだ非常に実りあるセミナーでした。
・登壇者の実務経験に基づくアイデア・提案は説得力があり、ご自身のアツさも伝わりました。
・イノベーションについての考え方、進め方の理解が深まりました。
・立ったままのパネルディスカッションが印象に残りました。
・講演やパネルディスカッションともに、目から鱗の思考法、取り組みを多数ご紹介いただき、
 今後非常に役に立つ内容でした。
・あれほど熱が高まったセミナーは、記憶にございません。ああいう雰囲気にどうしたらなれるのか、とても考えさせられました。組織づくり、場づくりを担う者として非常に学びがありました。
・取組み事例は最先端をいっているような印象を受けました。
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