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育成のプロに聞く!人材育成とは

2021.07.01

原点は「知りたい、伝えたい」という
シンプルな願い!個の時代だからこそ、
個人と組織をつなぐ道筋を追求したい(後編)

株式会社サーバントコーチ 代表取締役
一般社団法人1on1コミュニケーション協会 代表理事
株式会社VOYAGE GROUP フェロー
世古詞一氏

月30分の対話で組織を変える1on1コミュニケーションのプロフェッショナル、世古詞一氏。前編では、これまでの歩みや1on1が求められる背景やポイントをお聞きしました。後編では、研修の効果から今後の目標まで、さまざまな角度から伺いました。

文/大西美貴

――これまでさまざまな業界で1on1コミュニケーション研修をされていますが、受講者の方の感想で印象に残っているものはありますか。

1度目の研修から4カ月後にフォローアップを行なった企業の方で、とにかく1on1が楽しいと。「つい自分ばかりが話してしまう」「思うように話が盛り上がらない」という感想もあるなか、「うまくできたわけではないけど楽しくて、1on1が楽しみで会社に行っている」とまで話してくれました。以前は気づきもしなかった部下の気持ちがいろいろ聞けるようになったそうです。

1on1のメリットは確信となって、周囲にもいい影響を与えているようです。

――成功している空気は周囲にも伝わるのですね。

はい、実際にあった成功事例はリアリティがあって説得力が違いますから、研修プログラムではさまざまな例を紹介しています。

具体例を受けて、ロールプレイングでは私がデモンストレーションを披露し、その後みなさんにも実際に体験していただきます。コミュニケーションは“生もの”ですから、Aさんに機能する言い方がBさんに機能するとは限らない。インパクトのある事例をいろんなパターンで伝えて、実感を持って理解してもらうよう心がけています。

――現在の研修は、対面とオンラインの割合はどのくらいですか。

9割がオンラインですね。それぞれに良さがあって、対面では受講者の表情やディスカッションの声を聴きながら、理解度を探って、実践の手法やテンポを柔軟に変えていきます。皆が同じ空間にいるので、質問や発言もオンラインより多くなりますね。一方、オンラインではブレイクアウトセッションでそれぞれのチームにしっかりと介入することができて、話の展開を詳細に見ることができます。そのことで、的確なフィードバックも可能になるんですよね。

――ご自身は講師としてのおもしろさややり甲斐はどんなところにあると感じますか。

研修の成果を伺うのはもちろんうれしいですが、私の場合は「自分が知りたい」というのが原点なんです。

20代でマネジメントを担当したとき、山ほどの疑問にぶつかりました。多くの人が30代で成長が止まるのはなぜか、そんな人たちに変えるにはどんな指導が効果的か、知りたいことが山ほどあり、コーチングから催眠療法まで実にいろんなことを学んできました。

とくに心理学はエニアグラム、NLP、MBTI、EQ、ポジティブ心理学やマインドフルネスなど10以上は学んだでしょうか。

そもそも人に対する好奇心が旺盛なのかもしれません。知れば知るほど「人間っておもしろい」と感じるようになりました。

――そうしてご自身が学んだことを伝えたい。

そうですね。自分の役に立ったことを多くの人に伝えたい。「みんな知っといた方がいいよ」とオススメする感覚でしょうか。

テクノロジーの進化は凄まじく、この10年で世の中は劇的に変わりました。さらにコロナで私たちの生活は変化せざるを得なくなっている。それなのに対人関係は旧態然としています。

人はなかなか変われない生き物ですが、ライフスタイルの大転換期を迎えたいま、コミュニケーションも見つめ直すべきです。少し変わることで、自分自身も気持ちに余裕ができます。

1on1でつかんだ対話術は、仕事はもちろん家庭でも友人関係にも役に立ちますよ。

――研修・セミナーでの世古さんは、「受講者目線に立ってくれる」と好評です。

ありがたいですね。

私の特徴は、その場で空気を作っていくところでしょうか。研修も受講者の方々とのライブなので、その場での質問や気づきを大切にして進めたい。カリキュラムを予定通りに進めることも大事ですが、現場の空気によって臨機応変に進めたいと考えています。

――講師業やコーチングをする上で、日頃から気をつけていることはありますか。

まず健康でいること。体は鍛えています(笑)。それと時代の空気に敏感でいることです。

例えば、いまはお笑いでもサンドウィッチマンや千鳥のように仲がいいコンビは人気があって、喧々としているのは好まれませんよね。ぺこぱというコンビが売れているのも、すべてをポジティブに受け止めるから。仲が良い、そして肯定的である。見ていて安心できる人たちが好かれる時代になりました。

――YouTubeや動画配信サービスもよくご覧になるとか。

時代を如実に反映していますからね。閲覧数が多いものはなぜウケているのか、考えながら見ています。

昨年一時期オンデマンドサービスではまって見ていたのは、NiziUプロジェクトのJ.Y.Parkです。オーディションでの彼の言動はすべて書き起こして、自分なりに分析しました。

彼が言葉と態度で示すフィードバックは秀逸で、メンバー個々の強みを引き出す褒め方があり、ダメだしには客観性と納得感がありました。メンバーの日ごろの努力を想像して、きちんと見ていることを伝えている。つまり承認と納得感によってメンバーを成長させたのです。そのやり取りの一つ一つが今のマネジメントに必要なものでした。

いまという時代を反映しているし、改めて人材育成においても安心感や承認は重要な要素だと感じました。

――なるほど、意識して見ればマスメディアにも学べることが多くありますね。 プライベートでは料理もお好きだとか。

料理は自分の健康を意識して栄養を学び始めたのがきっかけで始めました。今では、スイーツの方が得意ですかね。最近は料理のつけ合わせに良いかとベジタブルフルーツカービング教室に通い始めました。あと関係ないですが、ボイストレーニングにも通っています(笑)。

なんでも気になるとやりたくなるんです。実際にやってみると、料理でも歌でも、完成させることがいかに大変か分かります。

20代は無我夢中で走ってきて、30代は吸収して自分のものにして、40代になってようやく世の中に還元できるようになりました。50代以降も変わらず、動き、学んで、発信していきたいですね。

――最後にこれからの目標を教えてください。

1on1を一つの切り口として、組織におけるコミュニケーションを追求してきましたが、まだ時間はかかるというのが実感です。

コロナ禍でリモートワークが進み、個人と組織が離れつつあります。このまま成り行きでいると組織と個人の心的距離は開く一方でしょう。そこをつないでいくのが現場のマネージャーのみなさんで、日々忙しく責任感を持って頑張っておられる皆の努力が報われるよう貢献していきたい。個を生かしながら組織と共存する道筋はまだまだあるはずです。

質の高いコミュニケーションを浸透させていくために、これからも色々な手段を発見し実践していきたいですね。

――本日は大変勉強になりました。ありがとうございました。

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講師プロフィール

世古詞一 (せこのりかず)

1973年生まれ。千葉県出身。
組織人事コンサルタント。月1回30分の1on1ミーティングで組織変革を行う1on1マネジメントのプロフェッショナル。
早稲田大学政治経済学部卒。一般社団法人1on1コミュニケーション協会代表理事。株式会社サーバントコーチ代表取締役。株式会社VOYAGE GROUPフェロー。
Great Place to Work®Institute Japan による「働きがいのある会社」2015、2016、2017中規模部門第一位の株式会社VOYAGE GROUPの創業期より参画。
営業本部長、人事本部長、子会社役員を務め2008年独立。コーチング、エニアグラム、NLP、MBTI、EQ、ポジティブ心理学、マインドフルネス、催眠療法など、10以上の心理メソッドのマスタリー。
個人の意識変革から、組織全体の改革までのサポートを行う。
クライアントは、一部上場企業から五輪・プロ野球選手など一流アスリートまでと幅広く、コーチ・コンサルタントとして様々な人の人生とキャリアの充実、目標実現をサポートしている。

著書に、『シリコンバレー式 最強の育て方-人材マネジメントの新しい常識1on1ミーティング―』(かんき出版)、『対話型マネジャー 部下のポテンシャルを引き出す最強育成術』(日本能率協会マネジメントセンター)がある。

http://servantcoach.jp/
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