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育成のプロに聞く!人材育成とは

2017.03.01

CAの経験とアメリカ駐在経験で培った
国際的なコミュニケーションとマナー(前編)

株式会社M'sコミュニケーション 代表取締役
大部美知子氏

JALでCAとして活躍し、パーサー職としてファーストクラスの客室サービス責任者などを経たあと、接遇インストラクターとしてキャリアを再スタートされた大部さん。結婚、育児、ご主人の転勤に伴う海外生活といった経験のなかで培われた確かな国際的なコミュニケーション力、マナースキルを、研修にて提供していらっしゃいます。そんな大部さんの経歴や研修内容などをお聞きしました。前・後編でお届けします。

文/山岸美夕紀 撮影/榊智朗

――研修講師になられた経緯をお聞かせください。

大学を卒業後、JALに入社し子どものころからの夢だったCAになりました。当時の呼称であるスチュワーデス、アシスタントパーサーを経てパーサー職に就き、ファースト、ビジネス、エコノミークラスのサービス責任者などを経験しました。その間に新入社員教育を担当しながら13年半ほど勤めていましたが、夫と結婚するにあたり退職することに。というのも、夫の勤める会社が愛知県豊田市にあり、結婚すればそちらに移住しなければならなかったのです。会社を辞めて違う道に進むということは、私にとって、人生の大選択でした。

さて、これからどうしようと考えたとき、JALが一般企業向けの教育・研修を提供する会社を立ち上げたという話を耳にしたんですね。その講師に応募しました。そのとき、名古屋の募集はなかったのですが特例として合格させていただき、事務所もない名古屋で一人ぼっちの講師としてスタート。それが、現在の「キャプラン」の前身である「JALコーディネーションサービス」という会社です。おかげさまでそのうち名古屋にも支店ができ、講師も増えていきました。

――そのころはどのような企業様に研修を提供していたのですか?

ホテルや飲食業、一般の会社まで、接客接遇マナー教育の依頼は広くありました。まだ教育関連の研修会社があまりない時代でしたし、講師全員がもとCAというコマーシャル効果もあったので、ブームともいえるほどのニーズがあったんです。当時、愛知万博のスタッフへの研修も行いましたし、本当に色々な経験をさせていただきました。しかし、そんな折、また人生の選択を迫られる出来事が。夫の仕事の関係で、アメリカに5年ほど駐在することになったのです。

まだ幼い子供もいましたので、その間だけ休職という形をとらせていただきました。人生で働いていない期間はその期間だけですね。ですが、駐在員の妻というその経験は、グローバルマナーの研修や近著『世界で通用する 一流のビジネスマナー』の内容に活かすことができていますので、無駄ではなかったなと思っております。

――さまざまなコミュニケーションスキルやマナーの知識をお持ちでいらっしゃいますが、どのように勉強されたのですか?

研修会社に所属していたころに最初にコミュニケーションスキルとして勉強したのがコーチングです。それから、交流分析。この2つが、後輩指導はもちろん、実際に自分の子育てや自分自身の道を選ぶ際にとっても役立ちました。「スキルというものは実生活に役立つのだな」ということを身をもって実感しましたね。

その後、かんき出版さんから『気持ちをうまく伝える技術』を出版させていただく機会をいただき、アサーティブ・コミュニケーションを深く勉強しました。

このアサーションのスキルは、今、必要とされるものではないかと感じています。といいますのは、対面コミュニケーションが苦手な方が増えていると感じるからです。SNSなどで一方通行のコミュニケーションはできても、対面になると言いたいことが言えなかったり、逆に相手の気持ちがわからないので言いすぎてしまったりして、誤解されて悩んでいるというお話しも多く聞きます。ですので、コミュニケーション研修ではアサーションの要素も取り入れています。

――アメリカには2度にわたって駐在されたそうですね。

はい。日本に戻ってきて8年ほどが経ったとき、再び夫のアメリカへの転勤が決まり、このときも、仕事をどうするべきか悩みました。ここで、自己実現や目標達成を図るスキルであるコーチングのスキルを自分自身に使い、どちらかを選ぶのではなく、どうしたら両立できるかということを考えたんです。その結果、この機会に思い切って会社を辞め、独立しようと決めました。このころには子どもも大きくなっていましたので、アメリカに住みながら日本の企業から研修依頼を受け、仕事のたびに日本に飛ぶという生活をスタート。おかげさまで、コンスタントに仕事の依頼をいただくことができました。

日本に帰国する期間を3カ月に一度ほどにまとめて、日本に帰国した期間に自分自身の勉強も詰め込むという日々。このときにNLPを集中して受講し、資格も取りました。

また、日本のお仕事だけでなく、アメリカにいる間も、研修依頼をいただけるようになりました。アメリカに進出している日本企業に勤める日本人のビジネスパーソンに、アメリカ流のビジネスマナーをお教えするといった内容です。

――アメリカの滞在期間には、さまざまなVIPともお会いになったとお聞きしました。

私たちはほんの少し覗かせていただいたような形ですが、社交パーティーなども体験させていただきました。

アメリカはカップル文化ですので、接待やパーティーなどに夫婦で参加する場面が多くあります。中でも印象深かったのは、年一回のデトロイトモーターショー。とても大きなショーで世界中の業界TOPの方々が集まるのですが、そのオープニングパーティーは、ヨーロッパほどクラシックではありませんが、正式なドレスコードがある本格的なもので、私たちもタキシードとイブニングドレスを着て参加させていただきました。夫婦で迎えのリムジンに乗って会場に向かい、シャンパンを持って色々な方とお話しする。そういった異文化体験をさせていただいくなかで、学ぶことがたくさんありました。

――『世界で通用する 一流のビジネスマナー』の中でも、スマートな接待のポイントについて書かれています。

はい、ビジネスの場を離れて、相手側に心から楽しんでいただき、相互理解を深め合うことを目的とした接待はしばしば行われていて、私たち夫婦も、素敵なホストのご夫婦にスポーツ観戦やゴルフ、音楽鑑賞などにお誘いいただきました。送り迎えの車ではもちろん、飲み物や用具もすべてアテンドしてくださったり、後日、その日の写真をアルバムにして贈ってくださったり、素晴らしい心遣いの数々に感銘を受けました。自分がホスト側になったときにも、それらを参考に、精いっぱいのおもてなしを心がけました。

もちろんこういった文化も国によって違います。たとえばイスラム圏ですと、夫婦同伴の習慣はあまりありません。

――CA時代にもファーストクラスの客室サービス責任者として世界のVIPや首相のフライトなどを担当されていたそうですが、そのなかで気付かれたことも多かったとお伺いしています。

はい、もうずいぶん前ですが、一流の方々から紳士的なふるまいを学びました。お客様という立場でありながら、スマートかつユーモアのあるふるまいで私たちCAを気遣ってくださる方がとても多く、やはり、真のエグゼクティブは違うなと感じたものです。

また、トップの方というのは、趣味が多く話題が尽きない方が実に多いと感じます。そうやって人脈をつくってこられたからこそ、そのポジションにいらっしゃるのでしょう。本当に、人生を楽しんでいらっしゃるエネルギッシュな方ばかりで、こちらまで元気をいただけるんです。

そういったCA時代やアメリカ駐在中の出会いをとおして、素晴らしいふるまいやビジネスマナーを学ばせていただき、それは私の財産となっています。

――現在、弊社でも提供していただいている『グローバルビジネスで通用する一流のビジネスマナー研修』はこうしたご経験から生まれたのですね。

そうですね、海外の慣習の違いで日本のみなさんが困ることがないように、私の経験が少しでもお役に立てばと思っております。

前編はここまでとなります。後編では、研修の詳しい内容などをお伝えします。

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