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育成のプロに聞く!人材育成とは

2017.06.01

仕事の生産性を高める「高密度化」は
長時間労働の根本を改善する改革ツール(前編)

習慣化コンサルティング株式会社 代表取締役
米国NLP協会認定NLPマスタープラクティショナー
古川武士氏

多くのビジネスパーソンの育成と個人コンサルティングの現場から、「習慣化」の法則を導き出し、日本で唯一の習慣化をテーマにしたコンサルティング会社を設立した古川さん。いまや海外でも求められるこの「習慣化」のスキルを仕事に特化させたのが『仕事の高密度化』プログラムです。トップ、管理職、社員などあらゆる立場の人に有効な改革ツールとなるこのプログラムや、講師になられた経緯などをお聞きしました。前後編でお届けします。

文/山岸美夕紀 撮影/榊智朗

――古川さんが研修講師になられたきっかけをお聞かせください。

私はもともと日立製作所におりまして、部下のマネジメントやプロジェクトで人々をまとめる立場だった際にコーチングを勉強する機会があったんです。そのとき、単なる仕事のマネジメントではなく、その人の生き方や人生にどっぷりと関わることができるという感覚を覚えて「これだ!」と思いました。そして2006年に独立し、いわゆるプロコーチと言われる道を進むことにしたのです。

最初はフリーランスだったのですが、あるきっかけから、人材育成・社員研修の企業で講師を勤めることになりました。そのころは、プレゼンスキルやロジカルな伝え方、コーチングといったコミュニケーションに関するプログラムを、年間120本くらい行っていましたね。これを5、6年ひたすら続けて、ファシリテーション能力や研修講師としての力を磨かせてもらいました。

――年間120本というのはすごい数ですね。

はい。ですからお金に困っていたわけではなかったのですが、自分のアイデンティティを確立できていない、自分だけの特性を持てていないというモヤモヤがずっとありました。自分にしかできないこと、本当にやりたいことは何なのか。そもそも私が本来やりたかったことは、スキルを教えることではなくて、人の人生そのものに関わりたいということでしたので。

そんな中、コンサルティングの現場から、ふと、彼らが直面する問題や悩みの多くは「習慣化」に関係するのではないか、という気づきが生まれてきたんです。私自身も長年「習慣力をつける」ということをテーマにしていましたので、この「習慣化」に関する私なりのメソッドをまとめてみたところ、多くの知人たちから「これ面白いね」という声をもらったんです。

手応えを感じたので本格的に原稿を作り、企画書も添えて、ツテもないので手元にある自分の好きな本の出版社を調べて30社以上に一気に送りました。ダメもとのような気持ちだったのですが、なんと10社以上からリアクションが返ってきたんです。

――それだけ内容もよく、ニーズの高いテーマでもあったということですね。この、古川さんの体系立てた『習慣化』に関するノウハウは多くの支持を受けています。

実は、私もここまでヒットするとは思っていませんでした。「習慣化」をテーマにした書籍はそれまでにもいくつかあったのですが、実際のリサーチをもとにコーチングやNLPをベースにまとめたものは新鮮だったようです。

早起き、資格の勉強、片づけ、禁煙、ダイエットなど習慣化したい事柄はたくさんありますが、続けようと思ってもなかなか続かない、習慣化できないという人も多いですよね。

まず私が考えたのは、「続かない人」と「続く人」の違いはどこか、ということでした。続かない人は何が理由で続かないのか、続く人はどういうコツがあるのかという“見えない特徴”を知りたくて、100人以上の人々にリサーチをするところからはじめたのです。

すると、みなさんの状況ややり方は実に多種多様で個人差も大きいのですが、多くの人々の話を聞くうちに、共通するパターンが見えてきたんですね。たとえば「続かない人」の続かないパターンは大きくいくつかに分類できること。そして、「続く人」たちは、最初はとても緩く、少しずつはじめていって、徐々に軌道に乗せていくのが非常に上手だということ。「続かない人」は完璧主義で、「続く人」はそうではないということがよくわかりましたね。

――「習慣化」を、意志や根性ではなく、「毎日の歯磨きのようにラクラク続く状態に導くこと」と定義されていますね。

はい、心理学でも、人の行動の95%は無意識によるものであると言われており、無意識のほとんどは習慣でできています。ですから、「続けたい」と思うことを習慣化してしまえば、意志の力とは関係なく、無意識で続けられるようになるわけです。

本書は、「続かない」人々のニーズにマッチしたのと同時に、「続けられる人」からは、「そうそう、こういうこと」と明確に言語化された感覚があった、という反響もいただきましたね。

――「行動習慣」「身体習慣」「思考習慣」という3つのレベルに分けられたのも新しい点でした。

そうですね、勉強、日記、片付け、節約、家計簿をつけるといった「行動習慣」と、ダイエット、運動、早起き、禁煙、筋トレなどの「身体習慣」、論理的思考力、発想力、ポジティブ思考などの「思考習慣」は、同じ期間で身につくとは思えませんよね。リサーチ結果から、それぞれが「習慣」として定着するまでの期間を1か月、3か月、6か月と定義しましたが、これはあくまでも目安です。

これはコーチングのスキルを応用しているのですが、具体的な時間が決まっている方が人は物事に取り組みやすいですよね。

――そうですね、区切りとなる数字があると、モチベーションの拠りどころとなります。最近では、このメソッドは海外からも支持されているそうですね。

はい、中国、韓国、台湾、ベトナムなどで翻訳されています。先日は、中国で講演をしてきました。ネットを通じて約6000人がセミナーを受講してくれたのですが、「習慣化」というテーマは世界共通で普遍的なものなのだなと感じました。

ただ、「続けることへの美徳」というものは、日本独特の感覚のようですね。海外では「続けることで人間性が磨かれる」といった考え方はなく、なぜ目標達成のためには習慣化がいいのか、どういったメリットがあるのか、ということを合理的に説明しないと納得されないようなところがありました。

――なるほど。弊社でも提供していただいている『残業を継続的に減らす仕事の高密度化習慣研修』は、この習慣化をビジネスに特化させたものですね。長時間労働の問題を根本的に改善するという「働き方改革」に非常にリンクする研修で、多くのニーズがあります。

そうですね、仕事の「高密度化」というのは、単なる「時短」ではなく、「生産性を高める」ことを意味します。その結果として、仕事時間が短くなり残業が継続的に減ることにつながるというわけです。

社員という個人で見ると、そもそも残業自体が“働き方の習慣”の結果として生まれているといえます。私自身もそうですが、たとえば休日出勤するクセがついていると「まあ明日やればいいか」と金曜日に粘らなかったりしますよね。この悪いリズムを変えることが必要です。

この「仕事の高密度化」スキルは個人のポータブル・スキルとなるので、身につければ大きな武器になります。しかしやっぱり「そうはいっても会議の長さは変わらない」「上司よりも早く帰るのは難しい」「早く仕事を終えると、その分ほかの仕事を回される」という声も多いでしょう。

たしかに、そもそも企業のトップやその部署、上司といった環境要因が変わらなければ、個人が変わろうとしても限度がありますし、会社全体は変わらないというのが実情です。

近年では「働き方改革」の動きもありますが、同じ社内であっても立場によって価値観や利害はまったく異なりますから、そう簡単ではありませんよね。トップは売上・利益を追求したいし、人事はブラック企業と言われたくないから残業時間を減らしたい。でも、営業マンは成績を上げないと意味がないし、SEは構築したシステムをきちんと納品できないと困る。それらをすべて調整するというのは、とてつもない難題なわけです。

――ですが、『仕事の高密度化習慣』は、上手に導入していけば、すべてをクリアできるノウハウとなりますね。

どの立場でも、「時短」ではなく「生産性を高める」というのが共通した有効な解決策なんですよね。短い時間でより成果を上げられるとなったら、トップも人事も営業もハッピーなわけです。問題は、それをどうやって実現させるか。

トップは、報酬制度を見直すなどの大きな改革はできますが、やはりそれには時間がかかります。それに、どんなに制度をいじってもトップダウンのものに対しては社員たちは「やらされ感」を感じる。けれど、個人や現場レベルに任せると「やっぱり環境が変わらないと無理」という無力感が出てくる。

ですから、『仕事の高密度化習慣研修』では、「トップ」から行うもの、「中間管理職」に行うもの、「社員たち」に行うものというように、各アングルからアプローチを行っています。

特に、中間管理職の意識を変えることは大きな意義があります。部課長の意識が変わり部や課の仕組やルールが変われば、多くの社員たちにとっては「環境要因が変わる」ことになりますから。

そして、部課長が変わるタイミングで、部下の社員たちにも『高密度化』のプログラムを行うと「新しく導入されたこのルールは、こういう意味だったのだな」と理解できますし、お互いに同じ方向を目指すので相乗効果が生まれます。

このように上司と部下層を同じタイミングで走らせることがベストなやり方ですので、クライアントと事前に密な段取りをし、なるべくこの形になるよう目指しています。

前編はここまでとなります。後編では、研修の具体的な内容などをお伝えします。

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