学ぶ。みがく。変わる。
HOME 講師コラム 働き方改革のための組織の習慣、個人の習慣
2018.05.07

働き方改革のための組織の習慣、個人の習慣

古川武士氏
習慣化コンサルティング株式会社 代表取締役/米国NLP協会認定NLPマスタープラクティショナー

今、政府が声高に掲げ、多くの企業で「働き方改革」ブームが起きています。
発展的な成長のためという積極的な側面もあれば、長時間残業による労基法違反、社員の精神衛生など予防的な側面からもどの会社にとっても取り組みテーマとして関心が高いと思います。
しかし、いざ会社で取り組もうとすると、何から手をつけたらいいのか分からない。自社の症状にあった処方箋はないのかと相談を受けます。会心の一撃、魔法の一手があるのではないかと期待されるのですが、残念ながらそれほど単純なテーマではありません。ただし、私が380社、2500名の働き方改革コンサルティングを行ってきて断言できることがあります。
それは、「長時間残業と低生産性は、働き方の習慣の結果である」ということ。
今回は、習慣というアングルから「働き方改革」をどのように行えばいいのかを紹介したいと思います。

1.長時間残業と低生産性を生み出す働き方習慣とは?

働き方とは、組織と個人の習慣で出来上がっています。
あるビジネスパーソンの1日を例に考えてみましょう。
Aさんは、片道1時間の通勤電車は、スマホで会社のメールをチェックしながら過ごします。会社に9時に到着すると、部署の朝礼が始まります。10分の朝礼が終わると慌ただしく1日がスタートします。計画を立てる余裕もなく、大量のメールチェックに追われます。他部署からの問い合わせに対応し、上司から仕事を振られます。10時になると社内会議がスタート。1時間の予定がだらだらとした議事進行により30分オーバー。11時半に自席に戻ります。夕方まで会議に追われて、19時になってようやく自分の仕事に集中できる余裕が生まれます。提案書作成など深く考える仕事に取り組み、いつものように22時退社になっていきます。上司も同僚も同じように長時間残業で会社全体の風土が出来上がっているというのが現状です。

このように働き方は組織と個人の習慣の連鎖と言えます。代表的な例は次の通りです。

ここで重要な点は、働き方習慣の改革に取り組む際に、扱う課題を個人と組織で分けて考えることです。
では、それぞれ組織の習慣と個人の習慣改革をご紹介したいと思います。

2.組織の習慣

組織全体でアプローチしなければ意味がないのは、長時間残業の風土改革、業務システム、社内会議、報酬・評価制度です。

日経新聞の調査によると、次のような調査結果があります。
残業が減らない大きな要因を聞くと、
●非効率な会議や資料作成が多い 31.6%
●仕事がこなせる量を超えている 24.8%
●残業が奨励される風土がある 22.9%
●残業代で手取りを増やしたい 12.7%
となっており、9割以上が組織要因です。

私が良く見る問題は、社員にいくら働き方改革研修をやっても上司が結果主義で残業削減、生産性向上に価値を置いていなければ部下は実践できません。評価されないことはやらないのが企業人です。そして上司はなぜ価値を置かないかと言われれば、報酬制度や評価制度と結びついていないからです。
そこで、会社全体で長時間残業をなくし、生産性向上に取り組みたいのであれば、評価・報酬制度に組み込む必要があります。
また、生産性を向上して残業を短縮してもその分手取りが減ってしまう制度では、社員に残業削減の号令をかけたところで納得感のある改革は進みません。

また、先ほどの調査の中で大きな比率を占める会議改革も会社全体で取り組まなければ効果がでません。一人がファシリテーション研修を受講して孤軍奮闘しても周りがだらだら議論を続ける限り、会議の生産性は向上しません。
このように、組織全体の取り組みは、社員やマネージャー一人に任せていても一向に結果はでません。トップや人事部主導で行う必要があります。

3.個人の習慣

一方、個人の働き方の習慣。これは一人一人の生産性向上や残業削減の意識と呼ぶこともあります。冒頭のビジネスパーソンの例で言えば、朝出社する時間、退社する時間、だらだらメールチェックの習慣、計画を立てず出たとこ勝負で仕事をするなどです。私たちの働き方は恐ろしいほど習慣的になっています。よって、生産性向上、残業時間削減では個人というミクロレベルの習慣変容も重要です。
私が実施する高密度化研修では、成果の最大化と業務の効率化は分けて生産性向上に取り組みます。日常業務の最適化と一年の成果最大化のための努力は異なるからです。
大まかにいうと、成果の最大化の5ステップは、次の通りです。

紙面の分量の関係上、この詳しい部分は、拙著『成果を増やす 働く時間は減らす 高密度仕事術』(かんき出版)に詳しく記していますので、ご興味があればこちらをご覧ください。
個人レベルでの「カイゼン」はPDCAを回すことに秘訣。週間、1ヶ月、3ヶ月、1年で振り返っていく習慣を定着させることが重要です。

以上、働き方改革を習慣というアングルから組織の習慣、個人の習慣改革で見てきました。魔法の一手はありません。自社にあった方法を探求して施策をうち、また改善していく地道な対策を継続されてください。

講師プロフィール

お問い合わせ
facebook
pagetop