学ぶ。みがく。変わる。
HOME 講師コラム 利益日本一のトヨタに学ぶ、継続して利益を上げる方法
2018.08.21

利益日本一のトヨタに学ぶ、継続して利益を上げる方法

渡邉 英理奈氏
株式会社LIFRADE 代表取締役
KAIZEN仕事術講師・コンサルタント

今年5月にトヨタの決算が発表され、利益が日本の企業として過去最高の2.4兆円だったということが話題になりました。
自分が在籍していた会社なので、好業績は私も嬉しくなりました。

トヨタが歴代日本企業の最高益を更新したのは今回が初めてではありません。
過去にも何度かあります。
最高まで行かなくても、トヨタは常に日本一の利益を出している会社です。

では、なぜトヨタは、大きな利益を常に出し続けることができるのか。

その秘密はなんなのか?
トヨタにいた私の経験から分析していきたいと思います。

まず、ポイントは「大きな利益」と「常に」というところです。
「小さな利益」を「常に」なら、日本の中でもたくさんの企業が該当するでしょう。
「大きな利益」を「たまに」なら、景気が良いときにはそんな業績を出す企業もあるでしょう。
そして、ほとんどの企業は「小さな利益」を「たまに」出すことで終わっています。
それが、3年で7割の会社が倒産する理由です。
10年になると9割以上が倒産します。
つまり、ほとんどの企業が「大きな利益」を「常に」出すことができず、倒産します。
では、トヨタは他の企業と何が違うのか?

トヨタが「大きな利益」を「常に」出していける理由。
その理由は「厳しいコスト削減努力」と「優秀な人材の育成」にあります。

なぜ、「厳しいコスト削減努力」が「大きな利益」を「常に」に貢献しているのか。

トヨタでは原価低減や業務効率化が徹底しているという話は、どこかで耳にしたことがあるのではないでしょうか。
実際に、社内にいた経験ですが、トヨタのコスト削減と業務効率化の努力は本物です。
私が入社した当初は特に厳しくコスト削減をしていました。
それは、リーマンショックとレクサス・プリウスのリコール問題の真っただ中だったからです。
その時、トヨタは戦後初の赤字に転落していました。
それまで何年も利益を出し続けていたのに、リーマンショックという時代の波と、レクサス・プリウスリコール問題という社内的な問題が一気にトヨタに襲い掛かってきたときです。
リーマンショックは全世界同時不況でしたが、リコール問題はトヨタ自身の問題。
解決すべき問題はたくさんありました。
そんなとき、トヨタはどうしたか?
皆さんならどうしますか?
販売台数世界一になったあと、転落したトヨタ。
売上も急落しました。

そんな時、多くの経営者は売上アップの方法を考えると思います。
もっと宣伝する。
もっと商品開発に投資するなど、落ちてしまった売上や販売台数を上げることに資金もエネルギーも注ぐのではないでしょうか。

しかし、トヨタは違いました。
リコール問題も過度な販売台数至上主義が起こしたことと捉え、販売台数を上げることよりも信頼回復を優先。
そして、大きな利益を出していたことで緩んでいたコスト削減を再徹底しました。
そのため、社内では8台あったエレベーターの半分が止められ、電球も間引かれ(2つに1つになりました!)、カラー印刷は禁止、裏紙や両面印刷の再徹底、ムダな事務用品の購入禁止、そして、従業員の残業禁止と覚えている限りでもこんな徹底ぶり。
大企業のトヨタもカラー印刷禁止という小さなことを徹底しているのです。
従業員は残業禁止になったことで、業務の効率化は必須になりました。
ムダなプロジェクトも改廃されたり、ムダな会議をなくしたり、業務の効率化に努めました。

こうしたコスト削減や業務効率化の徹底は、目先の収益改善だけに効果があるのではありません。
恒常的な収益改善に寄与するということから、大事にされていました。
つまり、景気や売り上げに左右されるのではなく、常に利益を出し続けるために、ムダなコストを徹底的になくす。
そして、売り上げが下がったり、円高になっても利益が出せる体質に改善したのです。

ここから分かるように、売上が下がったときでも、まず取り組むべきは社内のコスト削減つまり業務効率化です。
効率化することで、出ていくお金を最小限にし、利益をアップさせるのです。
そして、それは今だけに効果があるのではなく、一度効率化しておけば、これからも常に効率的に働けるようになり、ムダなコストを削減し続けられます。
まさに「常に」「利益を大きく」してくれるのです。

「優秀な人材の育成」はなぜ意味があるのか?

トヨタは大企業だから、初めから優秀な人材が入っている、そう思いますか?
それは大きな間違いです!
トヨタに入社する新入社員は普通の大学生。
優秀な人材も中にはいますが、多くは普通の大学生だった人なので、社会人の基本も分かっていません。
仕事の仕方も分からなければ、メールの書き方も分からない。
敬語の使い方だって怪しい。
そういう人がたくさん入社してきます。
それを一から育てるのです。
まずは半年間新入社員研修を受けます。
半年って長いですよね。
そして、職場に配属され、職場の先輩や上司に怒られ、指導され、そうやって育っていきます。
トヨタでは入社時だけではなく、約3年ごとに全員必修の研修があり、
常に人材育成に取り組んでいます。
それはなぜかというと、社員一人ひとりが、業務の効率化をしたり、問題を解決したり、できるようにするためです。

トヨタの改善は全て、今ある問題や高い理想と現実のギャップを解決すること、つまり問題解決にあるんです。

だから、それをできるようにならないと、改善も進まないし、ムダもなくならないし、良い商品を作ることもできません。
そして、そういう力は一朝一夕に育つものではありません。
だから、常に大事にしている。
だから、良い商品が作られ、社内の改善が進み、そこに利益がついてくるのです。
そして、長い時間をかけて育ててきたものだから、ピンチのときでも揺らがない強さがあり、習慣として日々実践されています。
だから、「常に」利益を出し続ける土壌ができているのです。

利益が出ると、ついもっともっとと投資に走ってしまいます。
利益が下がると売上を上げることに注力してしまいます。
でも、「大きな利益」を「常に」出しているトヨタを参考に、そんなときこそ、ムダをなくしてコスト削減、業務の効率化を考えましょう。
それが、会社や事業を長続きさせる秘訣です。

講師プロフィール

お問い合わせ
facebook
pagetop