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2019.09.09

「働き方改革」とは何か~女性の活躍をサポートするために大切な3つのこと~

加倉井さおり氏
株式会社 ウェルネスライフサポート研究所 代表取締役

「女性活躍推進」という時代の流れの中、働く女性も年々増え続けています。特に、“ワーキングマザー”に関しての議論が様々なところでされ、女性の潜在力の活用が経済成長に必要だという認識のもと「働き方改革」として、様々な議論が急激に進められています。

一方で、いつも私が疑問に思うのは、女性の活躍とは何か、そして女性が活躍する上で基盤となる健康については、十分に認識されているのだろうかということです。女性が働き続けるための環境整備という点で、健康面に対する配慮は置き去りにされているのではないかと感じています。

婦人科系疾患を抱える女性も増加―医療費支出と生産性損失で6兆円超

女性も男性同様、労働安全衛生法で労働者として守られていることにはなっていますが、そもそも男性とはホルモンバランスの変化やからだのしくみが違います。
この事実を当事者である女性自身も、自分のからだを守ることに対して十分な正しい知識をもって仕事に取り組んでいるだろうかと健康相談や女性の健康セミナーなどを通じて出逢ってきた女性たちを見てきて疑問に感じています。

働く女性の健康増進に関する調査によると、20代の約半数が婦人科健診に行ったことがないという結果であり、その行ったことのない人の半分が、その理由に「健康なので、行く必要がない」と答えています。(※1)
世界の婦人科がん検診(乳がんや子宮頸がん)の受診状況を見てみると、日本は約4割、アメリカやスウェーデンのように女性の社会進出が進んでいる国は8割を超えています。(※2)

また婦人科系疾患を抱える働く女性の年間の医療費支出と生産性損失を合計すると、少なくとも6.37兆円にのぼるという調査報告もあります。(※3)

働きやすい国―日本は149カ国中110位!

多くの女性たちが職業を持ち、社会を支える重要な存在となっている現代です。しかも、育児もして、男性と同じように働き、日本の経済のことも考えて、さらには介護も…と、女性への要求は高まる一方。それだけ女性の負担が大きくなっているのが実情です。

2018年に世界経済フォーラムで発表された、女性が働きやすい国の順位を見てみると、日本はなんと世界149カ国のうち、110位という低さです。女性が働きながら、結婚、出産、子育てをし、自分のやりたいことも犠牲にしないですむようなライフスタイルには、ほど遠いように感じてしまいます。

自分を愛する「ウェルネスライフ」が実現できる社会に

現代社会では、仕事や家事、育児で自分のことが後回しになっている女性たちが多いと感じています。自分のからだで気になることがあっても仕事や育児を優先し、やっと受診をしたら手遅れだった、また、心もからだも疲弊してメンタル不調で休職をすることになるという残念なケースにもこれまで出逢ってきました。女性がイキイキと活躍できる社会にしていくためには、自分を愛する「ウェルネスライフ」という考え方がこれからますます大切になってくると思います。そのためにも、次の3点について、提言したいと思います。

1.女性の健康教育の充実と男性も学ぶ機会を

働く女性のキャリアの形成期と妊娠適齢期が重なる場合も多いですが、企業としては、入社した新入社員教育の中で「女性の健康とキャリア形成」の視点も入れた健康教育を導入していくことを提言します。これは、ダイバーシティ社会を目指す上では、男性にも、また子どもを産む・産まないに関わらず、全ての女性にも知って欲しい知識です。
また、妊娠、出産、子育てしながら働く上では母性保護の観点からの情報提供も必要です。女性自身が知らないことも多くあります。私自身も研修で、このことを踏まえてお話させていただいていますが、多くの方が女性のからだや母性保護の法律や制度を知る機会がなかったという声をいただきます。人事と健康管理スタッフの連携によって、教育の機会をもっと各企業で取り組んでほしいと思います。

2.女性のライフステージに応じた健康支援体制を

月経に伴う心身のトラブルを感じながら生理休暇を使わず働くことは、生産性という視点から考えても、女性自身の幸せな働き方という視点から考えても、マイナスであってプラスにはならないと思います。ライフステージに応じた女性の心とからだの相談ができる窓口の体制を整備し、定期健康診断に婦人科がん検診を含めた実施や普及啓発も必要です。この健康支援体制において、私は企業の保健師・看護師等の専門職に多くの期待を寄せています。自社で体制を整えることが難しい場合は、各都道府県にある女性健康支援センターや男女共同参画センターなどの相談窓口などについても会社の女性たちに情報提供していきましょう。

3.女性の心が動く健康支援のサービスを

もっと気軽に美容室やネイルに行く感覚で婦人科健診も普及し、浸透するようなメディアの活用や気軽に健康管理ができるアプリなどのソフト開発や普及、女性の健康をテーマにしたイベントなども必要だと感じています。そういう意味では「楽しく、気軽にできる女性の健康支援」に向けての新しいサービス提供も期待したいところです。

いかがでしょうか。今すぐに全てができなくても、まずは学ぶ場を設けてみる、など、すぐにできることもあるはずです。一人ひとりの心とからだの健康があってこその「真の女性の幸せな活躍」だということを、もっと社会全体で考えていくことが必要ではないでしょうか。

(※1)「働く女性の健康増進に関する調査結果」日本医療政策機構 2016
(※2)OECD Health Statistics 2015
(※3)「働く女性の健康増進に関する調査結果」日本医療政策機構 2016

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