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2021.12.06

予測と事実と感想

高橋威知郎氏
株式会社セールスアナリティクス 代表取締役

議論や報告書などで……

 ●何かしらの事実(ファクト)を元にしているのか
 ●予測した結果(もしくは推論した結果)から導き出したものなのか、
 ●単なる感想なのか

……よく分からないことがあります。

受け手(聞き手や読み手など)は、常に元になった事実(ファクト)が何なのか意識したほうがいいでしょうし、送り手(話し手や書き手など)は、常に明確に分かるようにしたほうがいいでしょう。

今回は、「予測と事実と感想」というお話しをします。

事実と感想

昔から、事実(客観的な何か)と感想(主観的な何か)を明確に分けて、報告書を書きましょう!
とは言われたものです(少なくとも、私は……)。

事実(ファクト)には、客観性の高い数値などの裏付けがあります。

例えば、数値的な裏付けを確認することなく、
「日本人の中学1年生の身長は明治時代にくらべ増えている」というのは、
単なる感想というか主観です。

一方、文部科学省「学校保健統計調査」の結果を知っていて、
「日本人の中学1年生の身長は、明治時代にくらべ増えている」、
というのは客観性の高い数値などの裏付けのある事実(ファクト)です。

 ●日本人男性12歳(中1)の平均身長
   明治33年:133.9cm
   令和2年:154.3cm
 ●日本人女性12歳(中1)の平均身長
   明治33年:133cm
   令和2年:152.6cm

この事実(ファクト)を数値的な裏付けなく言及すれば、
それは感想というか主観に過ぎないということです。

たまたま、感想(主観的な何か)を調べてみたら、数値的な裏付けがあった、
ということはあるかもしれませんが、数値的な裏付けのないまま述べれば、
それは単なる感想(主観的な何か)です。

仮説思考

先ほど、数値的な裏付けを確認することなく、
「日本人の中学1年生の身長は明治時代にくらべ増えている」というのは、単なる感想というか主観だ、
ということを述べました。

この単なる感想(主観的な何か)は、「仮説」と言い換えることが出来ます。

仮説ですから、後で裏付けを確かめる必要が出てきます。

仮説の裏付けを取るとき、2方向から情報と言うかデータを集める必要があります。

 ●仮説を肯定する情報やデータなど
 ●仮説を否定する情報やデータなど

多くの人は、仮説の裏付けを取るとき、仮説を肯定する都合のよい情報と言うかデータを集めようとします。

そうすると、都合のいいものだけを集め、臭い物に蓋をすると言うか、
臭い物を見ない、寄り付かない、無かったことになる、という感じになり
可笑しなことになります。

ですので、仮説にとって都合の悪い情報と言うかデータも積極的に集めます。

そうすることで、仮説が成り立つ前提条件のようなものが見えてきます。

予測というややこしいモノ

最近、データを使った統計処理や機械学習による予測などが実施されるケースも増えてきました。

ここでは、予測にデータから導き出した推論も含めて議論します。
この推論とは、例えば統計的推測(推定と検定、因果推論など)などです。
ですので、ここで言っている予測には「未来予測だけでない」ということです。

先ほどの日本人の身長の例のように、客観的なデータから直接言及できる場合と異なり、
統計処理や機械学習による予測などの場合、注意が必要です。

なぜならば、統計処理や機械学習による予測などは、
データを使っているため客観性が高そうに見えますが、
実は人間の介在する余地が大きく、客観性が薄れます。

例えば、統計処理で有名な相関係数などは、一見すると因果関係のような錯覚を受けますが、
実際はそうではありません。因果のようなものを検討する際のツールに過ぎません。

機械学習による予測なども、どのようなアルゴリズムで予測モデルを構築するかで、
予測モデルそのものも異なりますし予測結果も異なります。

予測結果を事実(ファクト)のごとく扱うのは言語道断です。

このような予測というモノは、非常にややこしいモノで、
データを使っているがために事実(ファクト)のようにも見えますが、
実はそうではないく、人的要素が存分にブレンドされたものに過ぎません。

要は分けよう

要するに、予測と事実と感想は、明確に分けて考えた方が良いということです。

受け手(聞き手や読み手など)も送り手(話し手や書き手など)も、常に意識して分けた方がいいでしょう。

結構、ごっちゃになっているケースを最近目にします。

今回のまとめ

今回は、「予測と事実と感想」というお話しをしました。

議論や報告書などで……

 ●何かしらの事実(ファクト)を元にしているのか
 ●予測した結果(もしくは推論した結果)から導き出したものなのか、
 ●単なる感想なのか

……よく分からないことがあります。

事実(ファクト)には、客観性の高い数値などの裏付けがあります。
そうでない場合、それは感想というか主観に過ぎないということです。

最近、データを使った統計処理や機械学習による予測などが実施されるケースも増えてきました。

統計処理や機械学習による予測などは、データを使っているため客観性が高そうに見えますが、
実は人間の介在する余地が大きく、客観性が薄れます。

要するに、予測と事実と感想は、明確に分けて考えた方が良いということです。

常に意識して分けた方がいいでしょう。

講師プロフィール

髙橋 威知郎 (たかはし いちろう)

株式会社セールスアナリティクス 代表取締役
データ分析・活用コンサルタント

1974年生まれ。筑波大学大学院博士課程社会工学研究科中途退学、修士(数理工学)、中小企業診断士(経済産業大臣登録)。内閣府(旧総理府)、およびコンサルティングファーム、大手情報通信業などを経て現職。
官公庁時代から一貫してデータ分析業務に携わってきた。退官後は、官公庁時代に身につけたデータ分析スキルをもとに、おもに大手消費財メーカー・小売り企業に対し、プロダクト戦略をはじめ、近年注目されている経済指標のひとつで、マーケティングの投資効率を見るマーケティングROI、ライフタイムバリューなどに関するコンサルティングを提供。現在は、さらに一歩進めたフィジタル(リアルとWebの融合)マーケティングの体系化、およびそのコンサルティング業務に従事する。
本書は20年近い実務経験をもとに、マーケティングや販売促進、営業、商品・技術開発、物流・販売管理、経営企画などに携わる一般のビジネスパーソン向けに、仕事で成果を上げるために身につけておきたいデータ分析のスキルを平易にわかりやすくまとめたものである。

https://www.salesanalytics.co.jp/
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