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2018.05.07

心がモヤモヤ、イライラしたときには、電車の座席を譲ってみましょう

鈴木雅幸氏
臨床カウンセラー養成塾 塾長/心理カウンセラー

あなたが電車の座席に座っていたとします。
すると、目の前にお年を召した方が立ちました。
揺れる車内、足元も危なさそう。
そこで、あなたはそのご年配の方に席を譲ったとします。

そういう経験は、一度はあるのではないでしょうか。
そして、大抵「すいません」「ありがとうございます」と言って、ご年配の方は席に座られるでしょう。

その時、あなたはどんな気持ちになるでしょうか。
どこかすがすがしい感じであったり、どこかホッコリした気持ちになったりするのではないですか。
それは、誰かの役に立ったという気持ちの良さであり、感謝されたというありがたさであると思います。

私たちは悩んだり苦しんだり、イライラしているとき、
心の余裕を失い、自分のこと(自分が悩んでいること)で、頭が一杯になりがちです。
悩むことで感情的になり、視野が狭くなるので周りが見えなくなっていく。
それで余計に悩みが大きくなりやすいのです。
この悪循環にはまると、永い間苦しい状態が続きます。
ですから、なるべくこの悪循環に陥らないようにしたいし、陥っても抜け出したい。

そのために人に優しく接したり、親切にしたりするというのも一つです。
親切にした相手からは喜ばれたり、感謝されたりします。
ささくれ立っていた気持ちが緩み、冷たくなった心がホッコリします。
一瞬で心が穏やかなるので、感情も落ち着き、視野も広がります。

さらには、一瞬ですが、そこに人とのつながりが生まれます。
席を譲るのもほんの一瞬のことですが、そこで感謝されることで、人とのつながりを実感できます。
そうした人とのつながりを通して、社会とのつながりを実感することも。
よし、頑張ろうという気になることだってあります。

席を譲ることが良いのは、そこに「見返りを求める気持ち」がないからです。
この行為には、基本的に「見返り」を求めるところがない。
まあ譲った人に無愛想にされたら、いい気分はしないかもしれません。
でも、最初から何か報酬や見返りをあてにしているわけじゃないはずです。
ある種の倫理観みたいなものが自然と働いて、席を譲ろうと立つはずです。
ただただ、人に優しく接しよう、親切にしようという感覚。
こういう感覚を働かせることで、私たちの気持ちは穏やかになります。
ある意味、席を譲ることでこちらが救われているともいえるわけです。

つまり「おばあちゃん、席を譲るということをさせてもらってありがとう」という話かもしれないのです。

托鉢(たくはつ)というものがありますね。
お坊さんが町中を歩きながら、道行く人や家々から施しを受けて生活するというもの。
この施しも、実は、私たちに施しをさせることで、私たちが救われるという意味もあるそうです。
見返りを求めない施しをすることで、私たちの心が救われる。
そのための托鉢でもあるということなんですね。

電車の車内で席を譲るのも、これと同じではないかと思うのです。
困っている人に声をかけたり、気を利かしてあげたりする。
そこに見返りを求めないのであれば、声をかけた側の人間も救われる。

「情けは人のためならず」と昔から言いますよね。

もし、気持ちが荒んでいたり落ち込んでいたりしたら、敢えて人に優しくしてみるというものいいと思います。
相手も救われますが、何より自分自身がその行為によって救われるわけですからね。

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